物理的に考えられる3種類の重心を位置ベクトルで分析すると、比較が容易なことから、
ベクトルの有用性を感じることが、この教材のねらいである。
数学Aにある「三角形の3種類の重心①」の続きで行うとよい。
三角形の3種類の重心の位置ベクトルを比較する。
なお、表記上、ベクトルは太字で表示する。
三角形ABCの幾何的重心Gの位置ベクトルはg=(a+b+c)/3となる。
図1のような三角形ABCの物理的重心Pの位置ベクトルは、
p=(2OM+OC)/(1+2)=[2×{(a+b)/2}+c]/3=(a+b+c)/3となる。
よって、物理的重心と幾何的重心は一致する。
図2のような三角形ABCのフレーム重心Fの位置ベクトルは、
OQ=(aOL+bOM)/(a+b)=[a×{(b+c)/2}+[b×{(a+c)/2}]/(a+b)より、
f={cON+(a+b)OQ}/(a+b+c)=[c×{(a+b)/2}+a×{(b+c)/2}+[b×{(a+c)/2}]/(a+b+c)
={(b+c)a+(a+c)b+(a+b)c}/2(a+b+c)となる。
これは、三角形ABCが正三角形のときは、a=b=cなので、f=(a+b+c)/3となり、
幾何的重心、物理的重心とは一致するが、
それ以外のときは、幾何的重心、物理的重心とは一致しないことがわかる。