あるさいころゲームについて、期待値を考えてゲームの戦略を考察することから、
確率に興味をもち、単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。
サイコロで最後に出た目が点数となるゲームで、サイコロは最大n回振れるとする。
1回目に出た目を見て、そこでやめるか2回目を振るかを決めることができる。
振ってしまったら前に出た目は無効になる。
このようなルールのとき、n=1の場合から順に期待値を計算して、
出た目がいくつだったらやめるべきであるかの条件を考える。
サイコロの目の期待値はE1=(1+2+3+4+5+6)/6=7/2=3.5である。
E1=3.5だから、1回目が3以下のときは振りなおした方がよい。
このときの期待値はE2=(1/2)×{(4+5+6)/3}+(1/2)×(7/2)=17/4=4.25である。
あと2回振れる場合期待値はE2=4.25だから、1回目は4以下のとき、
あと1回振れる場合期待値はE1=3.5だから、2回目は3以下のとき、振りなおした方がよい。
このときの期待値はE3=(1/3)×{(5+6)/2}+(2/3)×(17/4)=14/3≒4.66である。
あと3回振れる場合期待値はE3≒4.66だから、1回目は4以下のとき、
あと2回振れる場合期待値はE2=4.25だから、2回目も4以下のとき、
あと1回振れる場合期待値はE1=3.5だから、3回目は3以下のとき、振りなおした方がよい。
このときの期待値はE4=(1/3)×{(5+6)/2}+(2/3)×(14/3)=89/18≒4.94である。
あと4回振れる場合期待値はE4≒4.94だから、1回目は4以下のとき、
あと3回振れる場合期待値はE3≒4.66だから、2回目も4以下のとき、
あと2回振れる場合期待値はE2=4.25だから、3回目も4以下のとき、
あと1回振れる場合期待値はE1=3.5だから、4回目は3以下のとき、振りなおした方がよい。
このときの期待値はE5=(1/3)×{(5+6)/2}+(2/3)×(89/18)=277/54≒5.12である。
あと5回振れる場合期待値はE5≒5.12だから、1回目は5以下のとき、振りなおした方がよい。
つまり1回目は6以外のときに振りなおし、2~4回目は4以下、5回目は3以下で振りなおし
た方がよいことがわかる。以下同様に期待値を計算していくことができる。
この方法を考察する前と後に実際にゲームをさせて、何回かの成績の平均を比較して検証する
とよい。最大3回振れるくらいが実験するにはちょうどよいだろう。
このときは、1回目は4以下、2回目は3以下のとき振りなおしすればよく、実験回数が多けれ
ば、考察前の平均より考察後の平均の方が大きく、その値は4.66に近づくはずである。