パスカルの勝ち点問題

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確率論の歴史

確率論が生まれた歴史を通して、確率に興味をもつことが、この教材のねらいである。

フランスの数学者パスカル(1623~1662)が1654年にフェルマーにあてた手紙が、現在の確率

論の始まりだと言われている。当時の有名な賭博師メレがパスカルに以下のような問題を持ち

込み、その問題についてがその手紙のやりとりの中で論じられているそうである。


 甲乙二人がおのおの32ピストル(当時のお金の単位)の金を賭けて勝負したとする。

 そしてどちらかが先に3点を得たものを勝ちとし、勝った方がかけ金の総額64ピストルをもら

 えるとする。ところが甲が2点、乙が1点を得たとき、勝負が中止になってしまった。

 このとき、二人のかけ金の総額64ピストルを甲と乙にどのように分配すればよいだろうか。

 ただし二人の力は互角で、勝つ確率はそれぞれ1/2ずつだとする。

 

甲が乙の2倍の勝ち数なので、もらえる金額も甲が乙の2倍になるようにすればよいのでは

ないかという考えもでてくるが、期待値で考えるとどのように分配するのがよいのだろうか?

この問題をパスカルは次のように解いたといわれている。

あと1試合やるとすると、甲が勝った場合は3対1で甲が勝つため甲が64ピストルもらえ、

甲が負けた場合は2対2の同点なので32ピストルずつ分け合えばよい。

よって、甲は64×(1/2)+32×(1/2)=48ピストルもらえばよく、乙は残り16ピストルもらえばよい。

つまり、甲は乙の3倍のかけ金をもらえばよいのである。

では、甲が2点、乙が0点のときに勝負が中止になってしまったらどうすればよいだろうか?

次の1試合で甲が勝った場合は甲が64ピストルもらえ、甲が負けた場合は最初のケースになる

ので、甲が48ピストル、乙が16ピストルもらえばよい。

よって、甲2点乙0点で勝負が中止になった場合は、甲は64×(1/2)+48×(1/2)=56ピストル

もらえばよく、乙は残り8ピストルもらえばよいことになる。

(参考文献)
[1] 矢野健太郎(1967)『モノグラフ数学史』,科学新興新社.