コンビニの販売戦略

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期待値

コンビニの利益の期待値を計算し、コンビニの販売戦略について考察することから、

確率に興味をもち、単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。


 あるコンビニの店では、本部からお弁当を300円で仕入れて500円で販売する。

 売れたお弁当については利益の50%(この場合1個当たり100円)は本部がロイヤリティ

 として持っていくとし(つまり、売れたお弁当1個当たりの店側の利益は残り100円)、

 売れ残ったお弁当は店側が原価(300円)で買い取って廃棄するとする。

 さて、このコンビニの店でお弁当が売れる数は日によって違うが、統計をとると売れる数は

 6,7,8,9,10個のどれかで、その確率はそれぞれ1/5であったとする。

 利益から買取分を引いた純利益を最大にするには、店側は本部からお弁当を何個仕入れ

 ればよいだろうか?

 

まずモデルをわかりやすくするために、原価300円で仕入れたお弁当を400円で売って、

1個100円の利益を上げるとし、売れなければ廃棄するとする。

売れる数が6個~10個なので、仕入れる数も6個から10個のうちのどれかが適している。

①6個仕入れたとき

必ず全て売れるので売上げは400×6=2400円で、仕入れは300×6=1800円なので、

純利益は2400-1800=600円である。

もちろん売り切れで客の不満が・・という話もあるが、ここは利益についてのみ考察する。

②7個仕入れたとき

4/5の確率で売り切れ、1/5の確率で6個売れて1個売れ残るので、

売上げは400×7×(4/5)+400×6×(1/5)=2240+480=2720円で、

仕入れは300×7=2100円なので、純利益は2720-2100=620円である。

③8個仕入れたとき

3/5の確率で売り切れ、1/5の確率で7個、1/5の確率で6個売れるので、

売上げは400×8×(3/5)+400×7×(1/5)+400×6×(1/5)=1920+560+480

=2960円で、仕入れは300×8=2400円なので、純利益は2960-2400=560円である。

9個仕入れたときは、2/5の確率で売り切れ、1/5の確率で8個、1/5の確率で7個、

④9個仕入れたとき

2/5の確率で売り切れ、1/5の確率で8個、1/5の確率で7個、1/5の確率で6個売れるので、

売上げは400×9×(2/5)+400×8×(1/5)+400×7×(1/5)+400×6×(1/5)

=1440+640+560+480=3120円で、仕入れは300×9=2700円なので、

純利益は3120-2700=420円である。

⑤10個仕入れたとき

1/5の確率で10個、9個、8個、7個、6個売れるので、売上げは400×10×(1/5)

+400×9×(1/5)+400×8×(1/5)+400×7×(1/5)+400×6×(1/5)

=800+720+640+560+480=3200円で、仕入れは300×10=3000円なので、

純利益は3200-3000=200円である。

よって、店側にとっては7個仕入れたときが純利益が最大になるといえる。

しかし本部としては売れ残りがあっても店側が買い取るので損失はなく、単に売り上げが

多いほうが利益が高くなるので、10個仕入れたときが本部の利益は最大になる。

両者の利害が一致しないこの仕組みが問題なのである。

(参考文献)
[1] 森山滋司(2009)「ニュースを数学で分析する」,平成21年度神奈川県数学教育研究会連合会研究大会発表資料.