複利計算

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等差数列・等比数列の和

利息やローンの計算法に数列が関係していることに興味をもち、数列の有用性を感じ、

等差数列・等比数列の理解を深めることが、この教材のねらいである。

①単利法と複利法

利息のつき方には、単利法複利法の2種類がある。

単利法とは、預金した金額つまり元金にだけ利息がつく計算法で、

複利法とは、元金と利息をたした金額つまり元金合計に利息がつく計算法である。

例えば定期預金で、利息だけを先払いして普通預金に払い込まれるプランの場合は、

定期預金の中では、利息に利息がつかないので、単利法の計算となる。

また、複利法の場合は、1年ごとに利息がつく場合、半年ごとに利息がつく場合、

1ヵ月ごとに利息がつく場合などの計算法がある。

(単利法は元金が変わらないため、1年ごとに利息がつく場合でも1ヵ月ごとに利息が

つく場合でも変わらない。)


   100万円を10年間預けるとき、次のどの銀行がお得だろうか?

 A銀行 年利10%の1年ごとの単利

 B銀行 年利8%の1年ごとの複利

 C銀行 年利8%(半年で4%)の半年ごとの複利

A銀行(1年後)100万+(100万×0.1)=110万円
 (2年後)100万+(100万×0.1)+(100万×0.1)=100万+(100万×0.1)×2=120万円
  
 (10年後)100万+(100万×0.1)×10=200万円
   
B銀行(1年後)100万+(100万×0.08)=100万×1.08=108万円
 (2年後)(100万×1.08)+{(100万×1.08)×0.08}=100万×(1.08)2116万6400円
  
 (10年後)100万×(1.08)10215万8924円
   
C銀行(半年後)100万+(100万×0.04)=100万×1.04=104万円
 (1年後)(100万×1.04)+{(100万×1.04)×0.04}=100万×(1.04)2108万1600円
 (2年後)100万×(1.04)4116万9858円
  
 (10年後)100万×(1.04)20219万1123円


単利法のA銀行と複利法のB銀行を比較すると、

1年後,2年後で見ると、単利法でも利息が10%と一番高いA銀行がお得だが、7年後で逆転し、

10年度では、利息が2%も低い8%でも複利法のB銀行のほうが、6万円近く得である。

また、1年ごと複利のB銀行よりも半年複利であるC銀行の方がさらにお得である。


   a円を次の銀行に預けるとき、n年後の元利合計を式で表してみよう。

 A銀行 年利 r の1年ごとの単利

 B銀行 年利 r の1年ごとの複利

 

A銀行n=a+(ar)+(ar)…=a+(ar)n=a(1+nr)等差数列…初項a(1+r),公差ar
B銀行n=a(1+r)+a(1+r)r+a(1+r)2r+…=a(1+r)等比数列…初項a(1+r),公比(1+r)


②ローン


 100万円を年利24%(月利2%)の1ヵ月ごとの複利で借りた場合、

 ① 半年後にはいくらになっているか?

 ② 5年後にはいくらになっているか?

 ③ 5年間(60回払い)月賦で返す場合、月々の返済額はいくらだろうか?

 

(借りた月の翌月から返済)

① 100万×(1+0.02)6112万6162円

② 100万×(1+0.02)60328万1030円

③ 毎月a円ずつ返済するとする。毎月a円ずつ年利24%(月利2%)で5年間60回積立をして、

5年後に328万1030円たまっていればよいと考える。

  1回目,2回目・・・60回目
1回目に積立したa円 a円→ 1.02a→(1.02)2a→(1.02)3a→………→(1.02)60a
2回目に積立したa円 a円→ 1.02a→(1.02)2a→………→(1.02)59a
3回目に積立したa円 a円→ 1.02a→………→(1.02)58a
 :    
60回目に積立したa円 a円→ 1.02a


よって5年後の合計は、S=1.02a+(1.02)2a+…(1.02)58a+(1.02)59a+(1.02)60a

これは、初項1.02a,公比1.02,項数60の等比数列の和であるから、

S=1.02a{(1.02)60-1}/(1.02-1)となる。これが、328万1030円になればよいので、

S=1.02a{(1.02)60-1}/(1.02-1)=3281030

これを解くと、a≒28204となり、毎月28204円払えばよいことになる。

28204×60=1692240円となるので、利息で692240円払わなくてはいけないことがわかる。

(※ 詳細プランは1回目支払い28338円,2回目以降28200円のようになる。

これは、28338×(1.02)60+1.02×28200×{(1.02)59-1}/(1.02-1)≒3281031と計算する。)

<参考文献>
[1]数研出版 編(2002),『楽しく学ぶ数学基礎』,高校数学基礎教科書,数研出版,pp.60-67.