身近にある渦巻線を極方程式で表して分析することで、極方程式に興味をもち
理解を深め、極方程式の有用性を感じることが、この教材のねらいである。
数学A「いろいろな等角らせん」の続きで扱ってもよい。
身の回りにある渦巻を分類すると、アルキメデスの渦巻線と等角らせんのどちらかに分類で
きるものが多い。アルキメデスの渦巻線は、動径の長さが偏角に比例して変化する曲線で、
極方程式で表すとr=aθ(a>0,θ>0)となる曲線である。
渦巻が等間隔に広がっていく渦巻線で、蚊取線香やソフトクリームなど人工的なものにみられ
る。それに対して、等角らせんは、動径の長さが偏角に対して指数関数的に変化する曲線で、
極方程式で表すとr=aebθ(a>0,θ>0)となる曲線である。
渦巻の中心からの距離が中心から離れるにつれて指数関数的に大きくなっていく渦巻線で、
オウム貝や台風、竜巻やお風呂の水を流すときにできる渦など、生物界や自然界にみられる。
とっておき、(π/2)ごとに、点B、点C、点Dと取っていくと、
この渦巻は、(π/2)ごとに3(cm)すなわち、πごとに6ずつ
増えていくが、回転方向が逆なので、
r=(-6/π)θ+k>(kは基準点Aの位置で決まる定数)
で表されるアルキメデスの渦巻線に近似できることがわかる。
ように点Bをとり、同様に、点C、点Dと取っていくと、この渦巻は、回転角が(23/18)πと一定で、
r=k・2(18/23π)θ で表される等角らせんに近似できることがわかる。
ここで、点Aと点Bの間の渦巻線をさらに分析するために、OA:Oa=1:√2 になるように
点aを取り、同様に点b,点cと取っていくと、∠AOa=∠aOB=(23/36)π と一定である
ことがわかり、等角らせんであることがわかる。
そこで、比をOA:OB=1:e(e≒2.7とする)になるように、
統一して点を取って計測していくと、この渦巻は
回転角が(17/9)πで、r=ke(9/17π)θで表される
等角らせんに近似できることがわかる。
下図の台風の雲の写真を見ると、その渦巻線は、
回転方向が逆なので、回転角が(-25/18)πで、
r=ke(-18/25π)θで表されることがわかる。また、下図のM51星雲の写真を見ると、
その渦巻線は、回転方向は逆なので、回転角が(-113/90)πで、
r=ke(-90/113π)θで表されることがわかる。
以上のように生物界や自然界にある渦巻線は、等角らせんになるものが多いようである。