海洋に出た船の位置を特定するのに、双曲線の性質を使っている話題から、
現実事象との関連や単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。
第2次世界大戦中、複数の電波(パルス波)の到達時間差を利用して、自分の船の位置を
導き出す双曲線方式電波標識がアメリカ軍事用として開発された。戦後になり、一般の
航空機や船舶にも利用されるようになり、その範囲の広さと測定精度の高さから、欧米を
中心に広く普及した。
双曲線とは、2定点からの距離の差が一定である点の軌跡である。
下図のように、AとBから同時に電波を出し、船に到達した時間差から、A地点と船の距離と
B地点と船の距離の差を求めると、船が双曲線上のどこかにいることがわかる。
同様のことをAとCから行うと、二つの双曲線の交点上に船がいることがわかる。
現在使われている電波標識はロランCと呼ばれていて、ロランCは、日本に4つの送信局
新島:東京都、慶佐次:沖縄県、南鳥島:東京都、十勝太:北海道があり日本の近海をカバー
している。ロラン(LORAN)とは、Long Range Navigation(長距離電波航法)の頭文字によって
表現した呼称であり、ロランCは100kHzの周波数を使用した双曲線航法、有効距離は
4,000km、測位精度は500m~5km程度といわれている。(下図は犬吠埼灯台の資料館より)