フィボナッチ数と黄金比の関係を分析することで、極限に興味をもち、理解を深めることが、
この教材のねらいである。数学Bにある「フィボナッチ数列の一般項とリュカ数」の続きで
行うとよい。
フィボナッチ数列は漸化式で表すと an+2=an+1+an(a1=a2=1)で、
{an}:{1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233…}である。
また、黄金比は1:(1+√5)/2 である。
ここで、フィボナッチ数列の隣接する項の比のn→∞の極限が、以下のように黄金比になること
が知られている。
黄金比 | |
---|---|
1:β= | 1:1.61803… |
フィボナッチ数列の隣接項間の比 | |
13:21= | 1:1.61538… |
21:34= | 1:1.61904… |
34:55= | 1:1.61765… |
55:89= | 1:1.61818… |
89:144= | 1:1.61797… |
144:233= | 1:1.61805… |
このことを証明してみよう。
α=(1-√5)/2 ,β=(1+√5)/2 とおくと、黄金比は1:βで、
an=(1/√5)(βn-αn)であるから、
an+1=(1/√5)(βn+1-αn+1)、
ここで、(α/β)=(1-√5)/(1+√5)=(√5-3)/2より、-1<(α/β)<0であることから、
lim(n→∞)(α/β)n=0より、
lim(n→∞)(an+1/an)=lim(n→∞){(βn+1-αn+1)/(βn-αn)}
=lim(n→∞){(β-(α/β)nα)/(1-(α/β)n)}=βとなる。