身の回りの対数について考察することで、対数について深く理解し、単元の有用性を感じる
のが、この教材のねらいである。
明るさや音など人間の感覚的なことは、どれだけ増えたというよりも、何倍になったかという方
が変化を一定に感じると言われている。例えば、1本のろうそくがあり、ここにもう1本ろうそく
が増えると明るくなったと感じるが、5本のろうそくから1本増えて6本になっても、明るくなった
ことに気がつきにくい。同じように明るくなったと感じるのは、ろうそくが2倍の10本になった
ときである。つまり、人間は変化を何倍になったかというかけ算で感じる。
昔、人間の目で見ることのできる一番暗い星を6等星とし、その100倍の明るさの星を1等星
と定めた。5等級あがると100倍になることから、1等星は2等星の5√100≒2.512倍の明るさ
である。星の明るさの等級は、T=-log (5√100) x-14( x は星の明るさ(ルクス))で表せる。
明るさの単位はルクスで、1ルクスはだいたい1m離れたところで見たろうそくの光の明るさ
である。1等星の明るさは100万分の1(10-6)ルクスなので、次のように計算できる。
=-(-6)/(2/5)-14=15-14=1(等星)。
ちなみに同様に計算すると、太陽は約10万(105)ルクスなので、-5/(2/5)-14=-26.5 (等星)
といえる。
地震の単位マグニチュードは、M=log10xで表される。
( x ;震央から100km離れた地点での地震計の振幅(ゆれ),振幅の単位はμm=10-6(m))
例えば、x=1000μmのときは、M=log101000=3(マグニチュード3)
x=10000μmのときは、M=log1010000=4(マグニチュード4)であり、
つまり、マグニチュードの値が1大きくなると地震のゆれは10倍、2大きくなると地震のゆれは
100倍にもなることがわかる。
また、マグニチュードの値が0.1大きくなると地震のゆれは10√10≒1.26倍となることも計算
できる。
音量の単位は(dB:デシベル)で、H=10log10x( x ;音のエネルギー)で表される。
これは、0dBを人間が聞き取れる最小音量の限界と置き、それから10倍するごとに+10dB、
100倍では+20dBとなるように音量を決めている。70dBと90dBでは、音のエネルギー
つまり、大きさは100倍になる。
騒音表示の「ホン」も「dB」と全く同じだが、こちらは日本でしか通用しないそうである。