パソコンとテレビの製造計画を考えることで、経営分野への線形計画法の有用性を感じ、
理解を深めるのが、この教材のねらいである。
ある工場では、パソコンを作るのに部品Aが4個、部品Bが2個、
テレビを作るのに部品Aが1個、部品Bが3個必要とします。
今、部品Aは全部で16個、部品Bは全部で18個しかありません。
パソコンとテレビの台数の合計が一番多くなるためには、パソコンとテレビを何台ずつ作れば
よいでしょうか。ただし、部品はすべて使いきらなくてもよく、他の部品は十分にあるとします。
適当に数字を当てはめて考えることもできるが、当てはめる
数字が多いと大変なだけでなく、その値が本当に最大かわから
ないので、条件式を考えながらグラフを使って解決する。
パソコンを x 台、テレビを y 台作るとする。
(x≧0、y≧0で、x,y はともに整数)
部品Aについて、4x+2y≦16
部品Bについて、x+3y≦18、となり、この領域を図示すると、図1のようになる。
パソコンとテレビの台数が一番多くなるためには、x+yが最
大になればよい。ここでx+y=kとおくと、これは傾きが-1、
y切片がkの直線を表すので、この直線が図1の領域と共有
点をもつようなkの値の範囲を調べればよい。このx+y=k
のグラフを書きこんで、kが最大になるようにずらしていくと、
図2のようになり、4x+2y=16とx+3y=18の交点が(3,4)
であることから、x=3,y=4 のときに、最大値x+y=7(台)であることがわかる。
よって、パソコンを3台、テレビを4台作ればよいことがわかる。
同じ条件で、パソコンとテレビを次の価格で売るとき、売り上げの合計が
一番多くなるためには、パソコンとテレビを何台ずつ作ればよいでしょうか。
① パソコン24万円、テレビ8万円
② パソコン20万円、テレビ4万円
直線の傾きが変わることで、最大となる条件が変わってくる。
① 売り上げの合計が24x+8yであるから、パソコンとテレビの
売り上げが一番多くなるためには、24x+8yが最大になれば
よい。ここで、24x+8y=kとおくと、これは傾きが-3、
y切片がk/8の直線を表すので、この直線が図1の領域と共有点
をもつようなkの値の範囲を調べればよい。この24x+8y=kの
グラフを書きこんで、kが最大になるようにずらしていくと、図3のようになり、
x=3,y=4 のときに、最大値24x+8y=104(万円)であることがわかる。
よって、パソコンを3台、テレビを4台作ればよいことがわかる。
② 売り上げの合計が20x+4yであるから、パソコンとテレビの
売り上げが一番多くなるためには、20x+4yが最大になれば
よい。ここで、20x+4y=kとおくと、これは傾きが-5、
y切片がk/4 の直線を表すので、この直線が図1の領域と共有
点をもつようなkの値の範囲を調べればよい。この20x+4y=k
のグラフを書きこんで、kが最大になるようにずらしていくと、
図4のようになり、x=4,y=0 のときに、
最大値20x+4y=80(万円)であることがわかる。
よって、パソコンを4台作ればよく、テレビは作らない方がよいことがわかる。