放射線元素の崩壊実験

back

指数関数

放射線元素の崩壊について考察し、さらに実験を行ってデータを分析することから、

指数関数に興味をもち、単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。

放射線元素は、放射線を出しながら自分が壊れ、別の元素に変わっていく。

例えば、ラジウム226(Ra)の原子は、ヘリウム(He)の原子核を放射して、ラドン222(Rn)の

原子に変わる。しかし、崩壊する時間はいつであるのかは、まったく予測できない。

ただ、ある定まった時間内にこの原子が崩壊する確率が知られている。

ラジウム226の場合、原子が半減する期間である半減期は1600年である。

つまり、ラジウム226の原子は1600年で約半分になるということである。

このモデルを実験でシュミレーションしてみる。

生徒1人が10枚のコイン(10円玉など)を投げて裏が出たものを取り除いて、毎回の個数を記録

する。取り除いたコインが半減期で崩壊した原子という意味となる。

生徒40人分のデータを集めると400個のデータが取れる。次の時間に集計したデータを配り、

グラフをかかせると、y=400×(1/2)x の指数関数に近似する。

1人のコインの枚数をもっと増やすとさらに近似する。

このモデルから、例えばラジウム1gの崩壊曲線は、tを年数,yをt年後のラジウム226の量

とすると、y=(1/2)(t/1600)(g)となる。またこのグラフから、鉱物などの放射線の量を測定して、

その鉱物が何年前のものかを推測したりすることもできるそうである。

(参考文献)
[1]何森仁,小沢健一,近藤年示,時永晃 共著(1995),「サイコロで放射線元素の崩壊実験」,
 『のびのび数学』,三省堂.