観覧車の動きを分析して、三角関数のグラフにしたり、三角関数の式にしたりすることで、
単元の理解を深め、単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。
高さ R(m) ,1週 T(分) の観覧車がある。
この観覧車が地上を出発してから t (分)後の高さ y を求めよ。ただし乗り場までの高さは
0(m)とする。
答えの式は、とりあえず次の4通りが考えられる。
実際の演習でもよく見られた、求める方法は、以下の2パターンである。
いくつかの時間における高さを求めてグラフを書き、そのグラフから式を読みとる方法である。
書かれたグラフからサインカーブ(y=sinθ)と考え、振幅が (R/2) ,角速度が (360°/T) である
ことから、θ=(360°/T)t、乗り場が-90°の位置であるため、位相のずれが 90° なので、
これらを考えると、Aの式を導き出すことができる。
また、y=cosθ から考えると、位相のずれが180°となり、Bの式を導き出すことができる。
図1から、0°≦θ≦90°のとき、y=(R/2)-(R/2)cosθ=(R/2)(1-cosθ)のように、
場合分けして幾何学的に求めていく方法である。
θ=(360°/T)t よりCの式を導き出すことができる。
これを半角の公式に適用すると、比較的綺麗なDの式に
変形することができる。
文字で考えていくのは難しいので、具体的な数字を使って
考えていくのもよい。
横浜みなとみらいにある観覧車コスモクロック21は、直径100(m)で、16(分)で1周する。
この観覧車が地上を出発してからt (分)後の高さをy (m)とするとき、y をt の関数で表せ。
ただし、乗り場の位置は一番低い位置で、高さは0(m)とする。
円運動の高さなので、y=rsink(t-α)+q の形で表すことができる。直径が100(m)なので、
振幅 r は50(m)より、r=50となる。1分間の振動数(周波数)kは、16(分)で2π回転するので、
k=(2π/16)=(π/8) となる。ただ、観覧車の乗り場は(-π/2) の位置なので、角度0の位置より
4(分)前がスタートとなるため、tを4(分)前にずらしα=4、また観覧車の中心が50(m)の高さ
のため、y軸方向に50(m)平行移動させるのでq=50。よって式は、y=50sin(π/8)(t-4)+50
となる。また、余弦(コサイン)を利用して、y=50cos(π/8)(t-8)+50 とも表せる。
さらに、y=-50cos(π/8)t+50 の形に変形したり、幾何的に考えると、y=50(1-cos(π/8)t)
と表したりすることもできる。この式の形はきれいである。さらに半角の公式で、この式を
y=100sin2(π/16)t に直すと、さらにきれいな形となる。ちなみにグラフは以下のとおりである。