数学史の話題を通して、累乗根を量(長さ)としてとらえることを実感することで、
累乗根のイメージを深め、単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。
一説であるが、BC400年頃、定規とコンパスのみの作図による三大難問のひとつに、
「デロスの倍積問題」があった。これは「デロスの悪疫を抑えるために祭壇の体積を2倍
にしたい。」という問題から、立方体の体積を2倍にしたときの立方体の1辺の長さを
求める問題である。この問題を、正方形から導入して、立方体に発展させて考え、
作図の話まで紹介する。
1辺が1mの正方形がある。この正方形の面積を2倍にするには、
正方形の1辺の長さは何mにすればよいだろうか?
平方根の単元では、図1から x2=2 より、
2乗して2になる数を考え、√2 と表した。
よって、x=√2(m)にすればよいことがわかる。
ちなみに、√2(m)は約1.41(m)である。
この導入から、「デロスの倍積問題」へと展開する。
1辺が1mの立方体がある。この立方体の体積を2倍にするには、
立方体の1辺の長さは何mにすればよいだろうか?
正方形のときと同様に、図2から x3=2 より、
3乗して2になる数を考える必要があることがわかる。
そこで、3乗して2になる数を 3√2 と表すこととする。
よって、x=3√2(m)にすればよいことがわかる。
ちなみに、3√2(m)は約1.26(m)である。
「デロスの倍積問題」については、3√2の作図が定規とコンパスのみ
では不可能なことはそれから2000年以上たって初めて証明された
が、この時代のギリシャの数学者たちは、コンパスと定規以外の
補助手段を用いて作図することに成功した。
原理は図3のように、OA=1,OB=2になるように点A,Bを取り、
BY⊥XY、XY⊥AXとなるように点X,Yを取れば、3つの相似な三角形
ができ、OX=3√2 が作図できる。
作図には、図4のような道具を用いたそうである。