現実事象について、実際にありえるかどうかを2次方程式で検証することで、
2次方程式や複素数に興味をもち、単元の有用性を感じるのが、この教材のねらいである。
昔(1987年頃?)のある大手コンビニエンスストアのCMで、たしか
「まっすぐ家に帰れば200m、コンビニ寄れば300m!」というCMがあり、図1
のような直角三角形の図とともに流れた覚えがある。
「駅からコンビニを経由して家まで帰ってもあわせて
300mで、歩く距離は100mしか増えないからおいで」
というCMだったわけだが、さてこのとき家からコンビニ
までは何mあるだろうか?
家からコンビニまでの距離をxとすると、
三平方の定理より、x2+(300-x)2=(200)2より、2x2-600x+50000=0 となる。
これを解くと、x=(300±200i)/2 と複素数になって、このような位置関係は
ありえないことがわかる。
では、実際に駅からコンビニを経由して家まで何mであればありえるだろうか?
駅からコンビニを経由して家まで a (m)あるとすると、
x2+(a-x)2=(200)2より、2x2-2ax+a2-40000=0 となる。このとき、
x が実数になるためには、判別式 D/4=a2-2(a2-40000)=-a2+80000>0
よって、a2<80000より、a >0から、 0<a<200√2 となる。
つまり、駅からコンビニを経由して家まで 約282 (m)以内 であれば、
あの図はありえることがわかる。