通常、IDE BIOS のあるD8000h-DBFFFFh のエリアには、CPUキャッシュは無効となっています。その理由は、このエリアの裏にはPnPおよびPCI BIOSがバンク切替で出現するためです。キャッシュ有効では切り替わりのあとに正しく動作できません。
ところがintelチップセット機に限っては、後述する「ある操作」を行うと、IDE BIOSがキャッシュ有効かつ書き込みも可能な状態にありながら、裏バンクのPCI/PnP BIOSも正しく動作するということが、判明しました。その「ある操作」を行うのが本ツールです。IPLwareアプリケーション, DOS実行プログラムの両方を用意しました。
実行に成功していれば、グラフィック画面にメッセージが1秒程度現れます。このときシフトキーを押していると表示は保持されます。実行後には、キャッシュ有効状態とROMバンク切替が両立した状態となっているはずです。CPUや機種が対応しないため実行に失敗した場合は、何も表示されず、短いビープ音が鳴ります。
本ツール導入の前と後のディスクのアクセス速度を、DOS版のHDDベンチマークテストでお確かめください。PCIセットアップユーティリティが実行できることも確認してください。もしハングアップするようでは、本ツールが対応できない機種ということになります。
キャッシュ有効状態とROMバンク切替が両立できるのはおかしいのですが、IDE BIOSとハードウェア(チップセット)の両方に、現在の状態をみてキャッシュをフラッシュ するか無効にする機能があると考えられます。ただし現時点ではその機構が明らかになっていませんので、過信はしないようにお願いします。
プライマリマスタのほかにスレーブやセカンダリにデバイスがあると、DOSでの実行時にハングアップするようです。複数のIDEデバイスを接続しているときはIPLwareで使用して下さい。それでもハングアップなどの異常はあるかもしれません。
Mate-Rではチップセットの操作に加えてCPUのMTRRというレジスタを操作してキャッシュを有効/無効の操作を行う必要があります。しかしこれで有効にするとPCI BIOSと両立できないことがわかっているため、現時点では対応から外します。キャッシュ無効の状態のままとなります。
「ある操作」とは、チップセットに対してIDE BIOSをPCI-ROMが現れるように変更するとともに、D8000-のROMバンクをIDE BIOS側にし、IDE BIOSのファンクションをなんでもよいので一回実行するという操作です。なぜこれでうまく行くかはわかっていません。詳細はソースプログラム IDEB4C.S を参考にしてください。Wildcatチップセットでは単にキャッシュ有効にするだけで問題が起きないようです。
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まりも
年月日 版数 変更内容 2025年9月23日 1.00 新規 2025年9月24日 1.10 チップセットや機種の判定強化、グラフィックメッセージ追加 2025年9月25日 1.20 Wildcatチップセットも対応、複数デバイス存在時の注意点追加