CPUL1WB V1.4 説明書
Copyright (C) 2023 まりも
■ このプログラムの用途
このプログラムは以下のような機種で以下のようなことを行います。
(1) PC-9821Ap3,As3、Xe10、Xs,Xp(WB改造品)、PC-9801BA3,BX3,BX4 において 本体ITFが認知していないCPU、例えばAMD 5x86 CPUまたはWriteBack Enhanced i486 DX2-66,DX4-100を載せた場合、ライトバックキャッシュを正しく有効にする。 ※ 【注意】CPUがライトバックキャッシュ可なのにマザーボード側が無効状態と なっていると、FDやSCSIディスクへの書き込み(一般にCPUが関知しないメモリ転送) でデータクラッシュが起こるので、本プログラムは必須です。
(2)PC-9821An(新コアK6-2,K6III搭載時),PC-9821Xn(K5やP55C搭載時)でCPU 載せ替えに伴い無効化されたL1,L2キャッシュおよびライトバックを有効にする。 (初代Xa,Xtについては所有していないのでよくわかりません)
といったことを行います。対象機種・対象CPU以外では特に何も作用しません。一応 An,XnでCPUがK6(2,2+,3)の場合で、IPLware環境下においては、 CPUの Write allocate機能を有効にしますが、DOSコマンドライン実行時あるいはソフトウェア的再起動時には、Write allocateの設定を行いません(従前の状態のまま)。なお新コアでWrite allocate の設定が行われた場合に短いbeep音が鳴ります。
■ 組み込みかた
まずダウンロードしたZIPアーカイブは解凍しておいてください。 IPLwareとして組み込む場合は、別途IPLwareが必要ですので、ダウンロード しておいてください。それに含まれる IPLware.exe を同じディレクトリに置くか、 MS-DOSのPATH環境が通っているディレクトリにIPLware.exeを置いてください。
MS-DOSのコマンドライン(Win9xやWinNTのDOS窓を除く)から、
IPLware CPUL1WB.COM
と打ち込んでください。組み込み先ハードディスクは、現環境で起動可能なものが 標準で選択されます。それ以外の装置に組み込みたい場合は、スペースキーを押して 選択メニューを出して下さい。
IPLwareのフロッピー起動ディスク版の OSFD-IPLware も利用できます。むしろライトバックキャッシュが不完全な状態はFDアクセスで問題が起こるので、必ずCPUL1WB を組み込んでおくべきであるとも言えます。OSFD-IPLware の場合も、
OSFDIPLW CPUL1WB.COM
で組み込みます。 IPLware および OSFD-IPLware の操作方法はそれぞれのアーカイブを別途ダウンロードして、説明書を参照してください。 --
このプログラムの起動時メッセージの表示時間が短いと思われる 場合は 、[SHIFT]キーを押していると表示を保持します。
なお 後述の補助プログラム WB.EXE については WB.TXTを参照してください。
■ 一般的な注意事項
● ソフトウェア的再起動時のIPLwareやDOSコマンドライン実行時には、「とくに設定の必要がありません.」という表示が出ることがありますが、問題ありません。既に設定されているのに多重に設定することを避けるためです。
● S-specが"SK096"のIntel i486DX4 100MHzはライトバック可能であると言われています(マーキングに&EW3Vという文字がある)。このCPUを載せた場合でもライトバック有効にします。
● アイオーデータ製のPK-586A/98やバッファロー製のHAS-33QPなどもAMD 5x86が搭載されていますが、本プログラムは不要ないしは有害です。対応機種全てについてハードウェアで解決しているということであったはずです。マザーボードが持つキャッシュフラッシュ機構(本プログラムはそれをONにする)とCPUアクセラレータのそれとを両方作用させると、何かしらの障害を引き起こす可能性があります。
● Cyrixの586については本プログラムの対象外です。Cyrix586はCPUアクセラレータとして販売されたものだけと考えられ、そのメーカが添付したソフトウェアツールを使うのが基本です。そのソフトウェアの目処がない場合はCyrixの5x86搭載のCPUアクセラレータを無理に探し求めない方がよいでしょう。
● ソースプログラムはアーカイブのsourcewb.zipに同梱されています。
■ 機種固有の注意事項
● PC-9821Xe10と9801BX4では、マザーボード上のジャンパ(10B10)が正しく設定されている必要があります。このジャンパはCPUソケット左、マザーボードの左端のタンタルコンデンサの付近にあります。当該ジャンパにpinが挿してある場合、CPUはWrite Throughで動作します。またCPUIDも変わります。AMD 5x86の場合、ジャンパにpinを挿してあると CPUIDは04E4h(x4動作)または0484h(x3動作)になりますが、オープンのときは04F4h(x4動作)または0494h(x3動作)になります。
Pentium ODP5V 初期搭載機以外では、ライトスルー側の設定になっていると考えられますが、その状態ではこのプログラムを実行してもライトバックになりませんし、実行してもいけません。FDやSCSIへの書き込みででデータを失う恐れがあります。
● Ap3,As3ではそのようなジャンパはなく固定でWBの状態と考えられます。As3で WB関連pin対応(マザーとCPUがきちんと接続されている)のCPU電圧変換ソケット (いわゆる下駄)に5x86に載せ替える改造がなされている場合や、Ap3で直にAMD 5x86を 載せている場合は、本プログラムは既に述べたように必須です。
● Ap3,As3のハイレゾモードでも、CPU Am5x86時またはWBE 486のライトバック有効 の設定を行うようにしました。 このためHSB バージョン 3.7(おそらく最終)に よる再起動でハングアップしますが、これはHSBのオプションほうで調整(詳細不明) していただくか、HSBのソースプログラムを変更して再構築のうえ対応してください。 なおHSBの途中リブート以外の(通常のリセットを行う)再起動ツールについては、 この問題はありません。
● ハイレゾモードでHSBを使いたい場合、同梱の別のソフトウェアWB.EXE を使って ライトバックを無効にしてからHSBを適用するという手段もあります。ただしライト バック無効状態でFDやSCSIディスクに書き込みを行うのは危険ですから、HSBによる ディスクブートからの再起動の直前までは無効にすべきではありません。
●Ap3,Xe10,BX4では、AMD 5x86搭載のCPUアクセラレータを使うよりも、AMD 5x86を直にCPUソケット6に挿した方が性能が向上します。とくに i486DX4からの載せ替えでは CPUアクセラレータのコストパフォーマンスは極めて低いです。
● Xs,Xpのライトバック対応はCPUソケット3の配線を正しく改造したマザーボードに 限ります。概要としては、WBE i486DX2-66MHzで定義されたライトバック関連4pinと PODP5V83の外周pinで定義されたそれらとを接続するという改造になります。ハード ウェア改造をしない限りAMD 5x86やWBEi486DX2-66はライトバック動作にはなりません。 なおXeについてもこれが当てはまるかどうかは確認していません。
● Xn ではK6-2アクセラレータが動作するという情報も一部にありますが、試した 限りではまったく起動しません。K5 およびP55C は起動できて、本プログラムがCACHE ERRORの問題を解決します。なおP55Cの動作は、本体BIOSが MMX対応となっている 場合に限ります。
● Anと一部Xn以外の,PCIバス搭載機種ではAMD K6系の設定はおまけ扱いとします。
● PC-9821Af,9821Bf,9821Cf,9821Xfなどでは初代Pentium-60が搭載され、運が良け ればPentium ODP 133MHzが動作する可能性がありますが、本プログラムの必要性も 適用結果も全く不明です。もし Cache errorが出ても安定的に起動するようなら、 本プログラムが役に立つ可能性はあります。
● これらのハードウェア改造情報は別稿とし、ここでは深くは述べません。
■ お約束
このソフトウェアはフリーソフトウェアです。自由に使っていただいて構いませんが、作者は、このプログラムの動作結果や影響に対して、一切責任は負いません。著作権は作者である「まりも」が保有するものとします。不特定多数がダウンロードできる場所への転載はお断りします。連絡先メールアドレスは、ホームページ上に記載してあります。ソースプログラムを参考にして何かフリーソフトウェアを作ることは構いませんが、ほとんどそのままの物を商用のソフトにすることは禁止とします。
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まりも (連絡先メールアドレスはホームページ上で)■ 更新履歴
版 年月日 内容 1.0 2023- 8-20 [新規](K6WAL1WBでcacheの各設定が不完全だった問題の修正) 1.1 2023- 8-21 [修正] K6旧コアのときwrite allocateが有効にならない問題の修正 1.2 2023- 9- 8 [改良] 80386以前のCPUで実行したときにハングアップしないようにした 1.3 2023-10-30 [修正] BX4でハングアップする問題の修正 1.4 2023-11-14 [修正] XnでL2キャッシュが効かなくなった1.3の修正, 無駄コード削減←戻る