ハードディスク使用開始後、またはフォーマット前に、PC-9800シリーズの IPLと固定ディスク起動メニューを書き入れるプログラム
IPL_menu.exe Version 1.10使用説明書
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2021年1月現在、IPL_MENUはディスク管理ツール「fdsk98」の中の「IPL・起動メニューの更新」の機能に集約されました。以下の記事は、IPL・起動メニューを書き入れる必要性や条件を説明するうえで置いておきますが、変更にあたっては fdsk98を用いてください。
【1】このプログラムの目的
内蔵IDEハードディスク導入(増設)時に、DISKINITを行なっていないと、マスターブートレコードにIPLが正しく書き込まれず、そのために Windows9xで「MS-DOS互換ドライブ」となったり、ATAPIのCD-ROMドライブが認識できなくなることがある。増設側ハードディスクをDISKINITをし直せば解消するが、そうすると、バックアップかソフトの再インストール行なわねばならず、おおごとである。それに、そもそもIPLを入れるだけの目的のために DISKINITを数時間もかけて実行するのは、まったくの時間の無駄である。そこで、あとからDISKINITと同じ処理を行なうプログラムを作成した。
アイオーデータ製 UIDE-xx インターフェイス接続のハードディスクにはDISKINITが適用できないが、本プログラムはUIDE-xxでも使用できる。通常はFDISKの際に起動メニューは正しいものに書き直されるはずであるが、そうならない場合があるようだ。また、FDISKを使わないで98形式でフォーマットした場合(サードパーティ製のフォーマッタ使用時など)にも、IPLと起動メニューが書かれないままとなる。そうしたディスクを起動用に使いたくなった場合などにも、本プログラムは適用できる。
PC/AT形式でフォーマットされたディスクや全く未使用のディスクの場合には、98形式のIPLや起動メニューを書き込むことはできない。しかし98の領域を作成する前に98形式のIPLを入れておきたい場合もある。IPLwareの組み込みをしてからOSをインストールしたい場合などだ。その場合、FDISKする前に本ソフトでIPLを書き入れておくことで、IPLwareアプリケーションソフトのインストールが可能になる。
2020年のバージョン1.10からは、NEC固定ディスク起動メニューのほかに、FreeBSD(98)のブートメニュー1.20(KATO Takenori氏作成 2007)にも対応した。またオプション /F は廃止し、IPLと起動メニューが既に存在していても必ず更新するようにした。
【2】基本的使い方
MS-DOSまたはWindows9xのコマンドプロンプト起動、MS-DOSモード起動下で使用する。このプログラムでは、DISKINIT.EXE あるいは FDISK.EXEに含まれるIPL、起動メニューのデータを書き入れるので、実行時にはカレントディレクトにDISKINIT.EXEあるいは FDISK.EXEが存在している必要がある。または、それらが存在する、\Windows\CommandにIPL_menu.exeをコピーし、そこで実行すればよい。
(V1.10より)DISKINITやFDISKがない場合、FreeBSD(98)のブートメニューを抜き出したバイナリファイルを FreeBSD.MBRという名前でカレントディレクトリに置いておけばそれが使用される。FreeBSD.MBR はFreeBSD(98)がインストールされたディスクドライブから拙作rMBRを適用して抜き出したファイル(MBR.xx)を改名したものであるとする。パーティションテーブルも含まれているが本プログラムではそこは読み込まないので、予め取り除く必要はない。FreeBSD(98)をインストールせずにブートメニューのバイナリを得る方法については、当サイトのノウハウ記事を参照されたい。
FreeBSD(98)のブートメニューはNECの起動メニューと比べて遜色ないどころか、デバイスを選択するだけでスライス(パーティション)のリストも表示される点で非常に使い勝手がよい。
NEC版DISKINIT,FDISKなどとFreeBSD.MBRの両方がカレントディレクトリに存在する場合はFreeBSD.MBRが優先される。いずれもが存在しない場合はエラーで終了する。
実行は、コマンドラインからIPL_menuとタイプしてリターンキーを押すだけである。実行が開始されると走り出すと、まず次のメッセージとともに、ハードディスク一覧メニューが出現する。
IPLと起動メニューを書き込みたいハードディスクを↑↓で選択して下さい
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問題あるディスクは、たいてい増設側であるから、それを選択し、リターンキーを押す。よくわからない場合はとりあえず全部のディスクに試みてもよい。
プログラムは、IPLと起動メニューが存在しているかをチェックし、98形式のパーティションが存在しないハードディスクの場合、 PC/AT互換機で使用の可能性があるので、警告が表示される。しかし未使用のハードディスクに98のIPLを先に書き込んでおきたい場合もあるだろう。その場合は続行して構わない。IPLwareを入れてからハードディスクのフォーマットを開始しなければならない場合は、次の手順で行なう。
- (1)FDでDOS起動し、IPL_menuを実行してIPLを書き込む。
- (2)IPLwareのアプリケーション(EXIDE32G,UIDESCSIなど)を組み込む。
- (3)そのHDDから起動してIPLware起動後に、FD起動に移る。
- (4)FDでDOS起動し、FDISKで領域確保、FORMATXでフォーマットを行なう。
- (5)同様の方法で再起動ののち、その領域にOSを入れる。
起動メニューの色
本プログラムでNEC固定ディスク起動メニューを組み込むと、起動メニューのカーソルに色がつくようになる。これは、どのハードディスクのIPLから実際に起動したか識別できるようにするためのものである。ただし本プログラム適用のディスクの場合のみであり、組み込んだときの接続位置で色が決まるので、その後に接続位置を入れ換えた場合でも、色はそのままである点に注意。なおFreeBSD(98)のブートメニューについてはこれは該当しない(色などはつかない)。
最初の起動IPL 選択中ディスク 領域選択中 固定ディスク#1から グリーン レッド 固定ディスク#2から シアン レッド SCSI固定ディスクから シアン マゼンタ もしメニューカーソルに色が付くのは困るという場合は、コマンドオプションに /M を付けて実行すること。
【3】諸注意
- Windows9xやOS/2の DOS互換BOX(DOS窓...全スクリーンモード含む)では使用できない。
- 非常に古い規格である「標準フォーマット」でフォーマットされたディスクは対象外。
- 物理/BIOSセクタ長が512バイトでないディスクも対象外。
- 既に起動メニューが入っているところに適用すると、IPLware準拠のアプリケーションソフトウェアも入れ直しとなる点に注意。とくにハードディスクやメモリ関係のソフト(EXIDE32G, MEMSETUP)を入れていた場合は、本プログラム実行のあとすぐにインストールし直したほうがよい。ただしメモリスイッチ指定のブートデバイスでなければこれはとくに影響ない。FreeBSD(98)のブートメニュー(2007年)もIPLwareに対応している。
- Windows9xで「MS-DOS互換モード」となる原因は、DISKINIT忘れが原因とは限らず、他のことである場合もある。例えば「標準IDEハードディスクコントローラ」がインストールされていないなどである。これがWindowsのデバイスマネージャに存在しない場合は、「ハードウェアウィザード」を実行してインストールすること。
- Windows2000が施す「ディスクへの署名」は、本プログラムを適用しても影響受けることはない(変化しない)。
【4】お約束
本ソフトの著作権は、作者である「まりも」 が有する。基本的にコピーフリーなソフトとする。しかし不特定多数の人がダウンロードできる場所への転載は禁止とする。
動作の検証はある程度行なっているが、作者は、本ソフトウェアの動作を細部に至るまで保証するものではない。いかなる状況下でも、本ソフトを実行・適用した場合における、損害(データの損失・機器の故障・利益の損失・精神的苦痛など)に関する一切の責任をとらないので、予めご了承すること。それに同意できない方は、本ソフトを使用してはいけない。
また、本ソフトは、ハードディスクのフォーマットの仕方に関する一定の理解をお持ちの方を対象としている。
まりも(連絡先メールアドレスはwebページ上で)【5】改版履歴
年月日 版 内容 2002. 4. 3 1.00 新規作成 2002. 4. 7 1.01 HDD無接続時のエラー処理、メッセージ、本文書修正 2002. 9. 1 1.02 HDD無接続時のエラーメッセージ修正 2002. 9.14 1.03 起動メニューカーソルの色付けを選択できるようにした 2003. 6.15 1.04 98領域が一個もなくても強制的に作成するオプション /F追加 2020. 2.27 1.10 FreeBSD(98)のブートメニューに対応、オプション /F廃止 IDEドライブでデバイス名表示を廃止(スレーブ強制認識で対応が崩れるため)