EXIDE 拡張IDE BIOSにおけるCHSパラメータの設定フロッピーを作成するプログラム

[ EXIDESW2 ] 使用説明書

Version 2.00 Copyright (C) 2021 まりも(DOSsoft)

 

【このアプリケーションの目的および概要】

 別のツールEXIDECB(バージョン2.00以上)あるいはEXIDE55x(バージョン2.00以上)などを使うと、PCIバス搭載機のIDE BIOSにパッチをあてて4,3GB以上の容量を突破できますが、そのツールではIDE BIOSのCHSパラメータ(*)を変更することもできます。その際補助的に必要となる のが本アプリケーションです。(* CHSパラメータ:シリンダ、ヘッド、セクタ数のパラメータ)

 パラメータの設定は本体に記憶されますが、CHSパラメータの設定とフォーマット時のパラメータとが一致していないと、HDDからの起動やパーティションの認識ができなくなってしまいます。このような場合、パラメータ設定のためのアプリケーションがOS上の実行プログラムでは全く手出しができないということになってしまいます。

 そこで、どんな場合でもすぐにフロッピーが起動できる「FDローダ機能」でパラメータ設定を行えるようにしたのが、本アプリケーションです。一度CHSパラメータ設定フロッピーを作っておけば、[ESC][HELP][8]押し起動で一瞬で設定を開始できます。

 CHSパラメータをSCSI互換にすると、SCSI変換でSCSIアダプタに接続したときに好都合です。最近ではSSDを使用できますが、SCSIの場合のCHSパラメータは2の乗数となっており、SSDではSCSI互換パラメータを選択したほうがよいと言えます。

【フロッピーディスクの作り方】

 まずPC-98の1.25MBでフォーマット(1024バイト8セクタ形式フォーマット)されたフロッピーディスク用意し、ドライブに入れます。

 コマンドラインから EXIDESW2 A:

のように、フロッピーディスクの入っているドライブ名(A:)を指定します。 すると書き込みが始まり、起動用FDが作られます。

 なお、このフロッピーはシステムからダイレクトに読まれる物であるため、通常のファイルシステムに則った形式では書かれていませんが、それでは何だかりませんので、dirコマンドで見るとこのプログラムの存在や目的らしきものが判読できるようにはなっています。

【フロッピーの起動】

 フロッピーに入ったアプリケーションの起動方法には次の2通りがあります。
1.[ESC][HELP][8]押し起動
2.通常のブートプロセスでフロッピーから起動

HDDのパラメータが既に不適切になっている場合、ハングアップしてしまい、2.の起動ができなくなることがあります。1.のほうが確実で早く起動できます。

【パラメータモードの選択】

 起動すると次のような画面が出ます。

↑↓キーを操作すると、[1]〜[7]のいずれかが選択できるようになります。選択したらリターンキーを押してください。すると派手な音がして設定完了です。その後はENTERを押せば再起動となりますし、電源を切ってもかまいません。なおBSキーを押すと、この場面でやり直しができます。


   モード名   容量ゾーンと【ヘッド数:セクタ数】
[1] EXIDE(M9)モード 【8:17】< 4351MB <【16:63】< 32255MB <【16:255】< 127.5GB
[2] SCSI 混在モード 【8:17】< 4351MB <【8:32】< 8GB <【8:128】< 32GB <【16:255】< 127.5GB
[3] SCSI 標準モード 【8:32】< 8GB <【8:128】< 32GB |頭打ち|
[4] SCSI メルコ 拡張 【8:32】< 8GB <【8:128】< 32GB <【15:128】< 61GB <【15:255】|
[5] SCSI SSD 拡張 【8:32】< 8GB <【8:128】< 32GB <【16:128】< 64GB |頭打ち| 
[6] SCSI 混在/SSD 【8:17】< 4351MB <【8:32】< 8GB <【8:128】< 32GB 【16:128】< 64GB <【16:255】|
[7] シリンダ数拡張   4.3GBリミットのない機種と完全互換だが使用可能容量はそのまま


 デフォルトの設定は[1] のEXIDE(M9)モードです。8063MB未満では本来の98と互換性があり、32255MBまではそれを拡張したものです。それ以上128未満までは玄人志向から発売されたMistress9と同じにしてあります。旧作ソフトEXIDE32Gでもこれがデフォルトとなっています。詳しくはEXIDECBやEXIDE55xなども参照してください。

 ちなみに私は[2]で使用しています。基本的にSCSI互換としていると便利だからですが、たまに32GB以上のHDDを接続した場合にはその全容量が使え、いっぽうで515MB以下の大昔のHDDもそのまま認識できるという利点もあるためです。

 [4]の「SCSIメルコ拡張」というのは、同社のIFC-USPなどで採用された、32GB以上61.4GBまで使えるようにしたモードと互換があり、さらには122GBまで独自拡張しています。。しかしWindows NT/2000ではこのパラメータでは認識されなくなります(SCSI変換でSCSIアダプタに接続したときのみ、IDE接続では問題ありません)ので、さほど使い勝手がよいとも言えません。それであればヘッド数を16にしたほうが切りがよい、ということで[5]の「SCSI SSD拡張」というモードを設けてみましたが、32GB以上64GB未満でこのモードと互換性のあるSCSIボードもSATAボードも知られていませんので、完全独自仕様となります。

 さらに、それを超えたらEXIDEモードと同じでいいのではということで、[6]の混在モードを設けてあります。4.3GB未満はIDE互換です。

 [7]の「シリンダ数拡張」というモードは、4.3GBの上限がない機種に繋いだときと同じセクタ数・ヘッド数のパラメータでシリンダ数のみ拡張したもので、互換性は完全に保たれます。みかけの容量の限界は15ヘッドのとき30239MB、16ヘッドのとき32255MBとなります。4.3GBの上限がない機種ではそれぞれ7559,8063MBと少なく扱われますが、EXIDE拡張BIOSではそれを是正します。しかし実質的な容量は変わりません。

【注意・補足事項】

 このアプリケーションは、EXIDECB(バージョン2.00以上)EXIDE55X(バージョン2.00以上)EXIDEBX4でIDE BIOSにパッチが当たっている9821デスクトップ機専用です。それ以外の機種・状態・バージョンに対しては、何の作用もありません。

 モードは本体側が記憶していることから、異なるモード下でフォーマットしてしまった複数のHDDを接続すると起動時にどちらかが不適合となり、起動や認識ができなくなりますので注意して下さい。

 パラメータモードの設定記憶は何かの拍子で飛ぶことがあります。バックアップバッテリの消耗、スーパーリセットや[GRPH][SHIFT]押し起動で初期化すると、拡張IDE BIOSのデフォルトのモード(ROM書き込み時に決定)になります。他のモードで使用していた場合、設定が初期値に戻る場合があるということは心得ておいてください。余計なことはしたくないという人は、デフォルトのモードでずっと使い続けるのがよいでしょう。

 本アプリケーションで作ったフロッピーは、それ全体としてアプリケーションソフトとなります。内容識別のため、ファイルらしきものがあるように見える状態にしてありますが、アクセスできません。またファイルシステム上はスキップセクタが多数ある状態に見えます。そこに本アプリケーション本体がありますので、削除もできません。ただしファイルシステムとして正しい状態にはなっていますので、フロッピーの空き領域にファイルを書き込んで使うことは問題ありません。もしフロッピーをまっさらにしたい場合はフォーマットをしてください。

 フロッピーディスクにセクタエラーがある場合、通常起動時にIPLだけ読めてアプリケーション本体が読みとりエラーとなる可能性があります。その場合エラーメッセージは出ませんが、通常より低いBEEP音が鳴り続けます。もしそのような音がしたらフロッピーディスク不良ということです。古いフロッピーディスクを使い回していると得てして起こりますので、留意しておいて下さい。[ESC][HELP][8]押し起動時に読みとりエラーが出た場合は、BIOSがDATA ERRORというメッセージを出します。

【技術的説明】

 パラメータモードを記憶するソフトウェアディップスイッチは、I/O アドレス 891Eで設定されるもので、bit2〜0 に割り当てています。7(111b)のときは初期化されたとみなし、EXIDE BIOSの動作ではそのROMに書かれたデフォルト値に合わせます。本アプリケーションではデフォルトと表示され、特定のモードが選択されていない状態で開始します。

 Undocumented 9821/9801によると、ソフトウェアディップスイッチは、I/O アドレス 891Eは一時期のノート機種でしか使用されていないようです。MATE-R,MATE-X/W のITFやシステムセットアップメニューを調べた限りでも、このI/Oアドレスへの書き込みはないようでしたので、流用しています。

 なお旧バージョンEXIDE 1.xxでは 8C1Eを使用していましたが、設定情報が なにかのきっかけで破壊される機種があることから、891Eに変更しました。

【お約束】

 著作権は保持しますが、フリーソフトウェアですので、自由に使用してかまいません。ただし不特定多数がダウンロードできる場所に置く(公衆送信可能な状態にする)ことや、二次的な譲渡や販売を行うことは禁止とします。

 このソフトを使用したことによる損害(起動不能、何かの設定への干渉など)に関し、作者は一切責任を負わないものとします。自己責任でお使いください。

【改版履歴】

日付   版  内容
2017-11-05 1.00 公開
2017-11-25 1.10 EXIDECBの仕様変更に合わせて、シリンダ数拡張モードを追加
2017-12- 5    EXIDE55xの掲載に合わせて説明文書のみ更新
2018-01-21 1.11 デフォルトモード(初期化状態)のときはそれを表示するようにした
2021- 8-15 2.00 記憶場所を変更し、EXIDESW2に改名した


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