実験劇場Vol.1
 
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私の名前は中尾沙智子。花も恥らう2※歳のおとめ・・・へぶしっ!!。
失礼。某F県の某A署で交通課に勤務してます。
出身は・・・どこかの村らしいのですが良く解りません。
小さい頃両親は事故で亡くなったと聞きました。
人づてに聞いた話なので本当のところは解りません。
そして、今の家に養子に出されました。最初は不安でしたが義母や義父、そして義理の兄
はとても優しく接してくれてるので安心しました。ちなみに兄は、同じ署で刑事課に配属
されてます。とても頼りに・・・・なってるかなあ。どうなんだろ。
同じ交通課には同い年のみっちゃ・・・(ごほん!)佐藤未来という人がいます。
彼女の出身は××県の雛見沢という村で、十年以上も前に約2000人が犠牲になった
雛見沢大災害という、有毒の火山性ガスが噴出した災害で両親を亡くしているらしいです。
どうやら彼女は奇跡的に助かったみたいです。
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「じゃ、また明日ね?」
「うん。みっちゃん、またね〜ばいば〜い」
「じゃ〜ね〜」
沙智子は未来と別れ、自分の車に乗り込む。家まで車で20分ほどの小さな村にある。
兄は今日、当直勤務らしい。
家に着くと、両親がいた。
「ただいま〜」
「おう、お帰り」
「お帰りなさい」
母親は夕食の準備の真っ最中だった。
「ねえ、御母さん、あたしも手伝うよ」
「お心使いご無用。あんたも疲れてるみたいだから。自分の部屋で待ってな?」
「うん、そうする」
自分の部屋に戻り、私服から部屋着に着替える。
「は〜疲れたぁ・・・・・・・・・・・・ぼふっ」
ベッドに思わず倒れこんだ。そして、そのまま寝てしまった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・・
「・・・・・・?」
「・・・したの?」
「え・・・・・?」
「さっちん・・・・どうしたの?そんなかおして?」
「ここは・・・どこ?」
「え・・・?ここは「ひなみざわ」だよ?」
「は・・・・・?」
「ま・・・まさか?・・・あなた、みっちゃん?」
「そうだよ?どうしたの?そんなかおして。きょうのさっちんどっかおかしいよ?」
「え・・・あ・・・なんでも・・・・・ない」
目の前には幼い頃の未来がいた?・・・思わず手を見る。
小さい。そうか、どうやらここは自分の小さい頃のようだ。
?「ひなみざわ?」・・ってことは、ここは「雛見沢」?あたしが?なぜここに?
「じゃあ、うらやまにでもいこっか」
「え〜?うらやまは、ちえせんせいが、あぶないからはいっちゃだめだっていってたよ
〜?」
え・・・・?うらやま?ちえせんせい?自分のどこからそんな言葉が出たんだろうか?
子供の頃の未来に連れられて、「うらやま」と言う所にやってくる。
「ここって、いろいろあぶないからはいっちゃだめだって・・・」
「だいしょうぶだよぉ〜」
未来はお構いなしに奥へと入っていく。私はというと・・・・・
入り口にただ立っていた。そして奥から声が聞こえる。
「どうしたの〜はやくきなよ〜」
未来の声だ。
「わかった〜いまいく〜」
返事は無かった。山を分け入っていく。声のしたほうへ。
「ねえ〜みっちゃ〜ん!!どこ〜!?」
返事は無かった。
あたりは夕焼けで赤く染まり、林の中が薄暗くなっていく。ひぐらしの鳴く声と、風に
梢がなびく「かさかさ」っという音が恐怖感を煽り立てる。
「ね〜どこにいるの〜!?」
やっぱり返事は無かった。だんだん不安になる。
「もう・・・・やめようっていったのに・・・・」
ここは引き返して大人でも呼ぼうか・・・・と思ったとき、
「ばきばきっ」
奥から小枝を踏む音が聞こえた。
「みっちゃ・・・・んじゃ・・・ない・・・・?」
そして奥から人影が現れた。
「だ・・・・・だれ?・・・」
「いやだなあ・・・・・・忘れちゃったの?毎日顔合わせてるのに・・・」
はっきりとその姿が現れたとき、思わず息が止まる。
白いワンピースとベレー帽の女の人・・・顔は・・・・・見たことが無い。だが向こうは
私を知っているようだ・・・その顔を見るよく見ると何かついている・・・・・・・
血だ!返り血だろう。服や両手、顔が真っ赤に染まっている!右手に大きな鉈、左手には
「・・・・・・・・・・・!?」
襟首をつかまれ、ひきずられている未来と思しき人影が!!
「み・・・・ひっ!!!」
恐怖で声が出ない。
「沙智子ちゃん・・・どうしたのかな?・・・・かな?顔色、悪いよ?」
「その人」の目は・・・・正気をなくしているようだった。・・・まともな人間の目じゃな
くなっている・・・。
「その人」がこっちに歩いてくる。未来を引きずりながら。未来の頭を見ると・・・・。
「ひ・・・・・ひっ・・・・・あ・・・・・・」
割れている!?しかも全身血まみれだ!!鈍器のようなもので殴ったのか!!?右手に持
っている鉈の血痕が新しいのを見ると・・・その鉈で*したのか!?
「・・・・・*し・・・・たの・・・・?」
「*した?・・・ちがうよ、未来ちゃんは、こっちに「転校」したの」
「てん・・・・・・・・・・こう?」
「そう」
「その人」は立ち止まって言った
「だから・・・ね?沙智子ちゃんも一緒に・・・・・・・・・・・」
といって左手の未来をその手から離した。
「どさっ」と音がして未来の体が地面に落ちる。未来の目を見ると・・・・・・・・
瞳孔が開いていて・・・・・反応が無い!!
「こっちはとっても楽しいのに・・・・・どうして来ないの?」
「あ・・・い、い・・・・いやあ!!!!!!!!」
と叫ぶと沙智子は踵を返して、逃げるように走った!!!
「・・・・・はあはあはあ・・・・・どさっ!!」
走っては転び、また走っては転ぶ・・・・・。もうとにかく「あの人」から
逃げたかった。とにかく今は!!もう本能の赴くまま。方角なんて関係なかった。
「あははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
狂ったような笑い声が聞こえる。耳をふさいでも脳に直接響くようだった。
「沙智子ちゃん、鬼ごっこかな?・・・かな?・・・・・ナも負けないよ・・・」
名前の下のほうが聞こえた
「下に「ナ」の付く名前・・・・・」
解らない・・・・・知らない・・・そんなことより、とにかく今は逃げるのが先だ。
しばらく走ると開けた場所に出た。
「ここは・・・・・・・・・・・・・・・」
粗大ごみが堆く積まれた・・・・廃棄物処分場のような場所だった。
「沙智子ちゃん、みぃーつけた・・・・・・・・・・・・・・・」
背後からするその声に思わず心臓が止まりそうになる。いつの間に・・・!?
「ひっ!!・・・・・・・・・・」
血染めのワンピースと鉈・・・「その人」は息が全然乱れていない。どういうことだ?
「今度は沙智子ちゃんが鬼だね・・・・・・」
うっすらと不気味な笑みを浮かべながら言った。
「や・・・・・やあ・・・・いやだあああ!!!!!!・・・・・」
「何が嫌なのかな?・・・・・かな。そっちこそ雛見沢を捨ててよその土地に行ったくせ
に。あの時、みんな苦しみながら死んでいった・・・・沙智子ちゃんたちってひどい人。
こっちで皆待ってるのに・・・・・・・呼んでる声、聞こえないの?それに・・・・・
こっちの世界は楽しいのに・・・・・・」
恐怖で声が出せない。
「この土地を出て行った人は・・・みんなオヤシロさまに祟られるの。オヤシロ様は姿を
あらわせないから、使いとして私がここにいるの。もし、出て行った人が帰ってこないと
きは使いの私が祟りを・・・、祟りっていうのはちょっと怖い言い方だから「転校」って
言ってるの。未来ちゃんも、さっきこっちに「転校」したよ?」
「く・・・・・くるなああああ!!」
力を振り絞っていった
しかし、「その人」はこっちに近づいてきた。私も離れようと後ずさりするが・・・
「どさっ」
思わずしりもちをついてしまった。恐怖で体がすくみ少しも動くことが出来ない。
「か・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・ああ・・・・・」
声もまともに出ない。
「あははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!
もう遅いよ?沙智子ちゃんはこっちに「転校」することが決まってるんだから・・・・・・」
右手の鉈がすぅっと静かにあがる。右手が顔の前で重なったとき!!その顔が!!!・・・
「・・・・!?あ・・・・・が・・・・がい・・・・・・・・・・・こつ!!!!?」
そして右手が振り下ろされ・・・・・・・・・・・・・
「きゃああああああああっ!!!!!・・・・・・・・・・・・・・・・」

がばっ!!!!!
「・・・はあはあはあ・・・・ゆ・・・夢か・・・・・・ふう・・・・・」
見ると体中汗びっしょりだ。
「どたどたどた・・・がちゃっ!!どうしたの?一体?」
「どうしたんだ?おい!!」
両親があわてて駆け上がってきた。さっきの声に驚いて駆け上がってきたたらしい
「あ・・・ご・・・ごめん・・・・なんでも・・・ない・・・・。ちょっと悪い夢を
見てた・・・から・・・・大丈夫・・・だから」
「そう・・・・どうしたかと思った・・・あ、晩御飯できたから、降りてきてね」
「うん。わかった」
今の夢は・・・・一体なんだったんだろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それに「ひなみさわ」の地名・・・・・・・・・・・・・・・
あんな夢、初めて見た・・・・・・
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次の日。
「おっはよ〜今日も、びしばし挙げていこう〜・・・・どうした!?今日は元気ないぞ〜?」
今日もみっちゃんは元気だ。
「あ・・・・おはよう・・・・・」
「どうしたの?顔色悪いよ?具合でも悪い?」
彼女が心配そうにこっちを見る。
「あ、ううん。何でもない。今日もじゃんじゃん挙げていくよ?もう赤切符がじゃんじゃ
んのボーナスでウハウハなんだから!」
言っていることがさっぱり解らない。しかし、元気だってのは解った。
「おし!!その調子その調子〜!!」
二人を乗せたミニパトが街に出て行く。
午前中の仕事を終え、コンビニの駐車場で昼食をとり、食休みを取っていると。
「ねえ、みっちゃん?」
「?どうしたの?」
「こんな事言っていいのか解らないけど・・・・怒らないで聞いて?」
「どうしたのさ、突然。まあ、内容にもよるけどさ。ただ、お金の相談はよそでして?」
「ちがうって・・・ところで、下の名前に「ナ」って言う人、知らない?」
「は?」
「知らない?」
「え〜・・・・・・・・・・・・・え?下の名前に「ナ」!?いろいろ知ってるけど・・
それがどうしたの?」
「ん?あ、あのね?」
昨日の夢のことを話す。
「な〜んだ!そんなことだったのか〜!・・・・・ごめん、やっぱり知らないな〜!」
「本当?」
「本当だよ〜。ところで何〜その夢は!あたしがそいつに頭カチ割られるって!?ひっ
どい話だな〜あははははははは!!」
「みっちゃんって雛見沢出身だよね?」
と聞くと、未来の顔からたちまち笑顔が消える。
「ああ、そうだよ」
その後、未来は真正面を向いたまま何も言わなかった。
「・・・・・・・・・・・・」
しばしの沈黙。それを破ったのは未来だった
「だけどさ、今の生活のほうが断然楽しいし。さっちん家と同じでさ、義理の両親が
とってもいい人だし。だから全然気にしてないよ。今じゃこっちのほうが本当の故郷みた
いに思えるしさ」
気丈にも明るく振舞っているように見えた。
「・・・無理してない?」
「え?ぜ〜んぜん!!!な〜に言ってやがりますかな?この人は!!」
というと、未来は沙智子の頭をわしわしした。
「あ〜・・・・・!!何すんだよ〜!!(笑)もう・・・・」
「あはははははは・・・・・うりうり!!」
未来が沙智子の体をつっつく。
「きゃ〜!や〜め〜て〜!!」
そうこうしているうちに昼休みも終わり
「さっちん!午後もびしばし挙げていこう!!」
「お〜!!」

〜実験劇場Vol.1 終り 


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