戻ります?実験劇場Vol.2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ある日。 その日は聞き込みをするために街の中にいた。 「そうですか・・・ありがとうございました」 と言って車に乗り込もうとしたとき、携帯に電話が掛かってきた。 「はい、中尾です」電話に出ると、 課長だった。電話の声からして慌てていようだ。いつもと様子がちがう。 「どうしました?何かいつもと様子が違いますけど?」 「そうなんだよ〜、あんたの妹さんが突然大声を出したと思ったら暴れ出してね」 「はあ?」 無理もない。あいつが、突然不良のような真似をしでかすのだから。 「とにかく、大至急署に戻ってくれ」 「分かりました」 と、言うと車を走らせた。 車を駐車場にとめ、急いで署に入ると・・・・・・ 中は、いろんな書類や物が散乱していて、阿鼻叫喚のようだ。椅子もあちこちでひっくり 返っている。署員が片付け始めているが、そんな状況なのに空気は静かだ。 「よう、遅かったじゃねえか・・・・はあ〜」 同僚の山内だ。かなり疲れている様子だった。 「何があったんだ。」 「何もかにも・・・・とにかく突然大声を上げたと思ったらそこいらへんにあるものを突 然投げ飛ばしたんだよ。一人じゃ押さえきれないから男の署員5人がかりだよ。相手は女の子だから 下手なことできないし。男だったら容赦なくぶっ飛ばしてたところだけど」 「怪我人とかは?」 「あ〜ほとんどいなかったね。切り傷が2人、ってところか」 「ところで・・・・・・沙智子は?」 「えっと、病院に運ばれていったよ・・・・まあ、とりあえずいってきな」 「わかった、ありがとう」 署を出ようとしたとき、 「あの〜」 沙智子の友人の未来だ。二人は所内でもかなり仲が言いことで評判らしい。昼休みとか巡回はいつも一緒。 共に同じ部署の交通課だ。 「悪い、話なら後にしてくれ。」 「今日のこと、心当たりがあるんですけど・・・・・・。」 「本当に悪い。話は帰ってきてから聞くから」 彼女の顔色は不気味なほど青白く、激しく不安の表情を表していた。普段は破顔一笑の言葉が1000% ぴったし当てはまるのに。一部署員や一般の人の中では二人のファンクラブが結成されていて そのまた一部の過激ファンの中には親衛隊が結成されているとか。 「わかりました。絶対ですよ」 僕は、車に乗り込み病院まで向かった。病院までは車で10分ぐらいだ。 病院に着くと、受付で事情を話した。 「はい。中尾さんは、現在処置室にいます。場所は・・・・・・・」 「わかりました。ありがとうございます。」 場所を教えてもらった処置室に向かった。どうやら救急病棟にあるらしい。 部屋の前には、どの病院の待合室にもあるような長椅子があって、そこに2人の人影が あった。課長と・・・・・署長だった。背筋が凍りつくのを通り越して痛いぐらいだった そして顔を合わせると、 「申し訳・・・・・ありませんでした・・・・・」 2人に向かって頭を下げた。 「ま、とりあえず頭を上げなさい」 署長が落ち着いた声で言った。 「しかし、どうしたんだ。いきなり暴れ出すなんて・・・・・確か君の妹なんだろ?何か 心当たりはないのか?」 「ほら〜何かいやなこととか・・・・・たとえば彼氏に振られたとか・・・何かないの?」 「いいえ、ないです。昨日だって家では普通でしたし。」 「そうか・・・・・」 深いため息をはいたのは署長だった。普段は強面であんた、本当は○○○なんでしょ? って言われるぐらいだ。街中を歩くとき、みんな避けてとおるぐらいなのだが 本当に困った顔をしている。彼も、また今回のことは信じられないようだった。 いつも沙智子を我が子のように接している署長が、だ。 3人が話していると部屋のドアが開いて、中から看護士さんが顔を出した。 「ご親族の方は?」と聞かれ、 「あ、僕です」と答えると、 「どうぞ、中へ」と言われた。2人の方に顔を向けると 「行って来い」と目配せをされる。 「わかりました」と一言言って、部屋の中に入っていった。 処置室は、ま、他の救急病院と同じようなつくりだった。何が何だかさっぱり分からない 機械が所狭しと並び、ベットが数床ある。その一つに沙智子が横になっていた。 「どうぞ、こちらへ。」 看護士が椅子に座るように促す。その近くには年のころは僕と同じぐらいの医者がいた。 「あ〜運び込まれたときにはかなりの混乱・・・・なんてもんじゃないです。暴れていた って言ったほうがいいでしょうね。現在鎮静剤を打って安静にしています。」 「で、どうでしょうか・・・?」 「?どうって?」 「何か、言ってませんでした?」 「そういえば・・・・・・・」というと、上を向いて少し考えた後、思い出したような顔 をして僕に向かってこう言った。 「ごめんなさい、とか祟りがどうとかって言ってましたね。とにかく極度の混乱状態だっ たんでね、何を言っていっているのか分からなかったんで」 「わかりました。ありがとうございます」 「今日はここで一晩様子を見て、それから判断しましょう」 「はい・・・・」 僕は椅子から立ち上がり、部屋から出た。廊下には署長がいた。 「あれ?課長は?」 「ん?ああ、一足先に署に戻ったよ。部下にだけ後始末を任せてられないってね」 「本当に、今日は申し訳ありませんでした」 「あ、もう謝らなくていい。怪我人もいなかったし、来客の人もいなくて不幸中の幸い だったねえ、本当」 「さて、戻ろうか?。中尾君は車だろ?、実は・・・帰る足がないんだよ。乗せてっても らえる?」笑いながら僕に尋ねてきた 「はい・・・・。」神妙な面持ちで答えると。 「ほら〜いつもの元気はどうした!!!!?」大声で笑いながら僕の背中を2回たたいた」 彼なりの励ましのつもりだろう。今回はこの好意に甘えることにする。 「ははは・・・・はい」僕らは署に戻った。 戻ると、さすがに中は元通りになっていた。 「早ぇえ・・・・・・」驚いた顔をしていると 「なにぼさっとつったってるんだよ!!おまえにはやることがあるんだろ!?」 先輩の竹田さんだ。その声にはっと我に返る。 「あ、そうでした。聞き込みの件について報告しますんで・・・」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ふう・・・・」 今日の仕事が終わり、外で一服していたとき、 「あのう・・・・」背後で僕を呼ぶ声がした。未来だ。 「お話があるんですけど」普段の表情とは180度違っていた。本当に正反対だった。 ここでは今までまったくそんな表情を見たことがない。 「ああ、そうだったね・・・・・・・」と、答えると 「本題に入る前に一つ聞きたいことがあります」 「うんいいよ?なんだい?聞きたいことって」 「××県の雛見沢村って聞いたことあります?」 「ああ、あるよ。確か・・・十数年ぐらい前に夜中に突然有毒な火山性ガス噴出して村が 壊滅状態になったとか・・・・・?」 「私たち、実はそこの出身なんです。」 「え・・・・・・・・・・・・・・・・!?」 〜実験劇場Vol.2 終り Vol.3につづく