ローレンツ力のパラドックスに対する 解決策は 間違い。

トップページ (正確な新ボーア模型)
電子スピンは実在しない。
ローレンツ変換は間違い?

ローレンツ力のパラドックスに対する 回答はすべて間違い。

(Fig.1) 特殊相対論は 致命的なパラドックスを引き起こす。

最近の興味深い論文 ( M. Mansuripur 著、 ここ, arxiv, ニュース参照 ) によれば、 ローレンツ力 が 特殊相対性理論と矛盾するらしい。

静止した観測者 (= S ) の視点からは、 中性の電線回路が 電場 E の中で 静止している。
しかし 動いている観測者 (= S' ) からは、この電線の上下の部分が 正電荷、負電荷に帯電してしまい、結果 電場によって 回転してしまうことになる。

これは 明らかにパラドックスであり、特殊相対論の 欠陥を露呈している。

(Fig.1') 特殊相対論は ローレンツ力で破綻している。

もしこの論文が正しいと、量子電磁力学、標準模型 ( ゲージ対称性に依存 ) などの理論が 破綻してしまう。
そのため、彼の論文は このサイトにあるように 非常に多くの反対意見を招いてしまった。

結論から先に言うと、 Mansuripur が主張するように、特殊相対論は 電磁気学で 破綻している。
様々な反対論文 ( ここここここ ) などを見る限り、彼らの解決策は リアルでない "偽の" 回転中心なるものに依存しており、到底 正常な解決策とは呼べないものばかりである。

電荷が S' 系でのみ 電線に引き付けられる ← パラドックス。

(Fig.2) ローレンツ変換 → 新たな電荷 (= ρ'e ) が 発生する。 ↓

この論文は このページに示したような、電磁場のローレンツ変換における欠陥を ついている。

特殊相対論によれば、 電荷密度 (= ρe ) と 電流密度 (= J ) は ローレンツ変換の下で 時空間座標 (= ct, x, y, z ) のように 変換する。   ここ (p.16)ここ (p.3) など参照のこと。

Fig.2 左では、電線は 電気的に中性である (= S 系 )。
しかし 観測者が 動きだした瞬間に 奇妙な"正電荷"が 電線内に 生成されてしまう (= Fig.2 右、 S' 系 )。

結果的に、外にある荷電粒子 (= ここでは負電荷 ) が S' 系でのみ 電線の方向へ 引き付けられてしまうことになる。
これは明らかに 相対論における致命的な パラドックスである。

電荷 (= ρ ) と 電流 (= J ) のローレンツ変換。

(Fig.3) ローレンツ変換。

基本的に 電荷 (= ρ ) と 電流 (= J ) 密度は マクスウェル方程式を満たすために Fig.3 のように変換される必要がある。
この Fig.3 の変換こそが パラドックスを引き起こす根源である。

中性の電線が 観測者の運動のみで "回転"してしまう?

(Fig.4) 特殊相対論は ローレンツ力で 破綻している。

これらの論文では、 電流 J が 流れる 四角の電線回路を使用している。
この電線は 同数の正電荷と負電荷を含んでおり、電気的に 中性になっている。

外電場 E は x 方向を向いている。
この電線は 電気的に中性であるため、S 系では 電場によって 回転 しない

動く観測者からは 中性の電線が プラス、マイナスに帯電してしまう。

(Fig.5) 観測者の運動 (= S' ) で、 電線上部が正電荷、電線下部が負電荷に帯電する。

S 系では、観測者は静止しており、中性の電線のため 電荷密度はゼロ ( ρ = 0 ) である。
上部の電線の電流は "-J" であり、下部電線内の電流は +J である。

S' 系では、観測者が x 方向に 速度 V で動いている。

ρ=0Jx = -J を Fig.3 のローレンツ変換に代入して、S' 系では 上部の電線は 正電荷に帯電してしまうことが分かる。
一方、ρ=0 と Jx = J を Fig.3 に代入して、下部の電線は S' 系では 負電荷に帯電する。

S' 系でのみ、電線回路が回転してしまう。 ← パラドックス。

(Fig.6) 電場 E の下で 上部の正の電線が右に、下部の負の電線が 左に移動する。

結果的に S' 系では、電場 E の下で 上部の ( 正 ) の電線は 右方向に、 下部の ( 負 ) の電線は 左方向に動いてしまい、すなわち 電線全体が 時計回り方向に 回転してしまうことになる。

S 系では、この電線は 中性であるため、回転しないのにである。
これは 明らかにパラドックスである。

なぜなら この観測者は 対象に触れずして 単なる単純移動 (= S' ) のみで 電線全体を回転することができるからである。
残念ながら、この致命的なパラドックスには 解決策は 何も 存在しない

回転する電線に作用するトルク。

(Fig.7) トルク ( N ) = 回転半径 (= r ) × 力 (= F )。

トルク (= N ) は 力のモーメントであり、これにより、角運動量 L が変化する。
このトルクは 半径 × 力 ( N = r × F ) で表される。

Fig.6 に示したように、上下部の電線に新たに発生した奇妙な電荷に 電場 E が作用することによって、 S' 系でのみ、回転トルクが 発生することになる。

"仮想の" 回転中心 = このパラドックスの解決策?

(Fig.8) "偽の" 回転中心が 解決には必要 ?

Fig.6 のパラドックスを解決するのに、彼らは "仮想"の回転中心を設定した。
この仮想の中心は 動いている観測者の地点に存在するらしい。

そして "P" が 所謂 隠れた運動量 (= hidden momentum ) であり、 人為的な概念である。
もちろん、この仮想の中心は Fig.7 の本当の回転中心とは 何の関係もない

"仮想の"回転中心は リアルでない。

(Fig.9) トルクの中身を"すり替える"のに 人為的なトリックを使用。

このサイトにあるように、トルク (= N、力のモーメント ) は 角運動量 (= L ) の時間微分で与えられる。
Fig.9 上 (= 1 ) では、S' 系で、電場 E が 電線全体を回転させている (= Fig.6,7 ).

回転を止める解決法として、彼らは Fig.9 下に示すように トルクの意味を 完全に 別のもの (= N = 半径の時間微分 × 運動量 ) に 取り換えてしまった。

しかし これらの解決策 ( ここ, ここ ) では、動く観測者の地点に "架空の" 回転中心を 設定する必要がでてくる。
もちろん、この観測者のところに リアルな回転中心は 存在しない

さらに、この運動量 P も 架空の 隠れた運動量というものである。
これら 架空の回転中心と運動量に頼るということは、 Mansuripur のパラドックスは 全然解決されていない ということである。

仮想の半径が長くなる → 角運動量が増加?

(Fig.10) トルクは 半径 (= r ) の時間微分 × 定数 P ?

彼らは Fig.9 に示したように、トルクの本来の定義 ( N = r × P ) を まったく別の物に すり替えてしまった。
さらに、観測者と伴に 速度 V で動く 架空の回転中心なるものを こしらえてしまった。

架空の半径 ( r = Vt ) の時間微分は "V" のため、このトルク (?) は V × P (= 隠れた運動量 ) に等しくなると 彼らは主張しているのである。

この人為的な定義が正しいとすると、観測者は 対象物に触れずして、単なる等速運動のみで、角運動量を増加させることが可能になってしまう。
つまり この考えは 物理の基本的な原理に 完全に違反していることになる。

ローレンツ力のパラドックスは 解決されていない。

(Fig.11) 回転の仮想の中心は 本当の解決策でない。

結果的に、ローレンツ力のパラドックスは 解決されていない
仮想の回転中心は 本来のトルクとは 何の 関係もない

なぜなら、観測者 (= 仮想中心 ) は 電線回路と 何かの力や紐などで 繋がってはいないからである。

これらの本当のパラドックスに対する解決策は 間違った人為的な定義に基づいている。
正しい解決策は 物理の基本ルールに従わなければならないことは言うまでもない。

隠れた運動量の計算と パラドックスの解決策。

(Fig.12) ローレンツ力のパラドックス。 ↓

このセクションでは、新たに発生した電荷や、電場 E によるトルクの値を計算していく。
そして、様々な論文にあるように、元のトルクが V × 隠れた運動量 P に 偶然に一致することを示す。

この隠れた運動量も 偽の運動量であり、 間違った定義に基づいている。
よって、ローレンツ力のパラドックスは 全然解決されていないのである。

中性の電線は S 系では静止している。

(Fig.13) 中性の電線が 静止した観測者 (= S ) の視点では 静止している。

静止した観測者 (= S 系 ) からの視点では、中性の電線回路 (= 四角形、一辺の長さが "a" ) は 電場 E の中で 静止している。

この電線は x-y 平面上にあり、電場 E は x 方向を向いている。
電線の上部 (下部) を流れる電流は -x ( x ) 方向である。

磁気モーメント μ = 電流 (= I ) × 面積 (= S )。

(Fig.14) 磁気モーメント μ = 電流 I × a2.

マクスウェルの法則によれば、ループ状の電流は 磁気双極子モーメント(= μ ) を生じる。

この 磁気モーメントは 電流 I と そのループ内の面積 S の積で表わされる。
この場合では 面積は S = a2 であるため、 磁気モーメントは μ = Ia2 となる。

電線全体に作用する トルクの計算。

(Fig.15) 観測者の運動で 新たな正と負の電荷が 発生する?

電荷 (= ρ ) と 電流 (= J ) 密度のローレンツ変換によれば、本来は中性の電線 (= S ) から、新たな電荷が 動く観測者の系 (= S' ) において 発生してしまうことになる。

電線のループの上下部には 互いに 逆方向の電流が流れている。
そのため、S' 系で生じた電荷は 上部の電線では で、下部の電線では 負 になる。

ローレンツ力におけるパラドックス。

(Fig.16) S 系で静止する電線が S' 系で回転する ?   ← パラドックス。

結果として、この中性の電線は S 系で静止しているにもかからわず、 新たに発生した電荷によって S' 系でのみ 回転してしまうことになる。

これは 明らかに 相対論の致命的なパラドックスである。
電線ではなく、荷電粒子が動いてしまうパラドックスに関しても 解決策は まったく存在しない。

ρ' は S' 系における 電荷 ( 線 )密度 である。

(Fig.17) 電線全体に対するトルク。

上下部の各電線に含まれる全電荷量は 電荷密度 (= ρ' ) × ( ローレンツ収縮した ) 電線の長さ で与えられる。

結果的に 各電線内の全電荷量は ±VJa/c2 になる。
(Fig.18)

電気力 F は 全電荷量 × 電場 E で与えられる。
上下部の電線は 逆電荷を持つため、電線全体は S' 系でのみ 回転してしまうことになる。

電線に対する トルク (= N )。

(Fig.19) 電線全体に対するトルクは F × 半径。

互いに逆方向に働く 電気力 F によって この電線全体に 回転トルク (= N ) が発生する。
このトルク N は 力 F × 中心からの距離 (= 1/2 a ) で 与えられる。

(Fig.20) 電線に作用する 全トルク (= N )。

正電荷、負電荷に作用するトルクを足して ( 1/2a × 2 = a )、計算結果は Fig.19.20 に示したようになる ( Fig.14 の磁気モーメント μ を用いて )。

(Fig.21) トルク (= N ) が 角運動量 (= L ) を増加させる。

Fig.19 にあるように、トルク (= N ) は 角運動量 (= L ) を増加させる。
Fig.16,17 では、 回転中心と 力の作用点の距離 (= r = 1/2a ) は定数値 である。

そのため、このトルクによって 回転の速度が 増加することになる。

(Fig.22) トルク = 角運動量 (= L ) の時間微分。

トルク (= N ) は 角運動量 (= L ) の時間微分で与えられる。
このケースでは、半径 r は 固定値 (= 1/2a ) である。

つまり トルクは r × F (= 力 ) という 本来の形式で与えられる。

↓ パラドックスの解決策の中の 間違ったトリック。

(Fig.23) ↓ これは リアルなトルクなのか ?

すでに述べたように、トルク N は 角運動量の時間微分で与えられる。
しかし 彼らは 運動量 (= P ) の代わりに 半径 ( r = Vt ) のほうを変化 (= 微分 ) させた。

これは 明らかに 間違ったトリックである。
Fig.16 や Fig.17 をみて分かるように、回転半径は このケースでは 固定された値である ( r= 1/2a )。

つまり 正しい答えでは、半径の時間微分は ゼロになる。

(Fig.24) これは本当にトルクなのか ?

Fig.24 に示したように、運動量 P が 変化しなくても、 増加した半径 (= r ) によって トルクは生じるとしている。
なぜなら 半径が増加するにつれて 角運動量 (= r × P ) が 増加するからである。

(Fig.25) 正常なトルク。

電線の1辺の長さは "a" である。
そのため 回転半径 r = 1/a は "固定値" である。

(Fig.26) "架空の"回転中心が このパラドックスの解決に必要不可欠。

Fig.23 のトリックを使用して、彼らは Fig.26 のように トルクの本来の意味を 人為的にすり替えてしまった。
問題は 移動する観測者の地点に 架空の回転中心を こしらえてしまったことである。

結果的に この半径は r = Vt ( V は 観測者の速度 ) のように変化する。
そのため、このトルクは N = V × P で与えられ、ゼロにならないということになる。

(Fig.27) しかし 回転中心自体が 幻想である。

しかし お気づきのとおり、この回転中心に リアリティーはなく、電場によって生じる本来のトルクとは 何の関係もない

同じ速度で運動する観測者が "リアルな"トルクを引き起こすことは 不可能である。
なぜなら この観測者は 電線回路に 力か紐などで まったく 繋がっていないからである。

S' 系で、電線回路に作用するのは 電気力のみしか存在しない。
そのため 何か他の外力が ない限り、本当のトルクは キャンセルされることは なく、つまり このパラドックスは 解決できないことになる。

隠れた運動量は "誤った" 概念に依存している。

(Fig.28) 電線内の正の電線が 電場 E で加速される?

このページでは、正電荷が電流として流れ、負電荷が 静止しているとする。
この 電流 J は J = ρv で与えられ、 ρ は 正電荷の 電荷密度で、 "v" は 電線内での これらの電荷の速度である。

隠れた運動量の計算では、これら正電荷が 電線内でも 電場によって 加速されるとしている。
そのため 右側の電線内の電荷は 左側の電線内よりも より多くの運動量 ( +ρEa ) を得ることになる。

[ 相対論的な運動量 P と エネルギー T。 ]

(Fig.29) 相対論的な運動量 P と エネルギー T。

相対論的な 運動量 (= P ) と エネルギー (= T ) は Fig.29 で与えられる。 このページ参照のこと。
エネルギー T に v/c2 を掛けると、運動量 P が得られる。

↓ この隠れた運動量 (= ΔP ) は 実在のものではない。

(Fig.30) 右電線内の電荷が得た運動量 (= ΔP ) ?

1辺の長さが "a" であることを考慮すると、右電線内の電荷が得た全エネルギー (= ΔT ) は (ρEa)a に等しくなる。
Fig.29 から、得た全運動量 (= ΔP ) は Fig.30 で与えられる。

右側の電線内に 余剰の運動量が含まれることになり、これを 隠れた運動量と見なしたわけである。
しかし、実際には 全運動量の合計は ゼロになり、隠れた運動量も 存在しないことになる。

電流 J は 共通値 → 全運動量は "ゼロ"になる。

(Fig.31) 電流 J は 左右の電線内で同じ値である。

電線の回路では、電流 J は 必ず 一様でなくてはならず、そうでないと、どこかに電流が溜まってしまうことになる。

そのため、たとえ 電荷が運動エネルギーを得て 各運動量が増加したとしても、一定の電流 J を保つために それらの電荷密度 (= ρ ) は 減少しなければならない。

(Fig.32) 左右の電線内の 全運動量は同じである。

もし 電流 J が 必ず同じ値であるとすると、左右の電線の全運動量も Fig.32 に示すように 必ず 同じになる必要がある。

なぜなら 各運動量の増加分は それらの電荷密度の減少分で キャンセルされるからである。

↓ 間違った 隠れた運動量 ΔP。

(Fig.33) 電線ループの 隠れた運動量?

Fig.31,32 の事実を無視して、彼らは Fig.30 から この電線の 運動量 (= ΔP ) を計算した。
Fig.14 の磁気モーメント μ = Ia2 の定義を用いて、Fig.20 の結果を得た。

(Fig.34) 偶然の一致 ?

偶然にも 完全に 異なった概念に基づく トルクの計算結果が完全に一致してしまうことになる。
Fig.20 のトルクは 半径 × 力 F で与えられ、その形式は 通常の形をしている。

Fig.27 の 架空の中心とFig.33 の隠れた運動量を用いて、Fig.20 と同じ結果を得ることができた。
これらの 人為的なトリックは 通常のトルクと同じ値を得るためだけに導入されたことは 明白である。

(Fig.35)

Fig.29 と Fig.30 を用いた運動量の計算もおかしい。
ΔP は 全運動量の ほんの一部にすぎない。

そのため 電流の全速度 "v" を この ΔP にあてがうことはできない。
( この ΔP は その速度の ほんの一部を与えるだけである。 )

このパラドックスに対する解決策は 間違った前提に基づいている。

(Fig.36) 各電荷は 自由粒子ではない。

Fig.28 では、運動エネルギーの計算のとき、電流を 自由粒子として扱った。
しかし 電流が一様ということは、各電荷は互いに独立状態ではない ( Fig.36 参照 )。
Fig.33 の運動量は正しくない。

もし 電流内の これらの正電荷が x 方向に流れるときに エネルギーを得るとしたら、これらの電荷は 電線全体を x 方向に プッシュすることになる。
( この押す力は エネルギーの差から x 方向のほうが -x 方向よりも強い。)

(Fig.37)

しかし 実際には 電線内の負電荷が 電場によって逆方向に引っ張られるため この正電荷のエネルギーをキャンセルすることになる。
なぜなら 電線内の負電荷と正電荷は互いに引き合っているからである。

隠れた運動量を得るための 他の方法。

(Fig.38) S 系での トルク = 0 からスタート。

この論文は Fig.33 の隠れた運動量を得るための 別の方法を導入している。
S 系では、外磁場 B は ゼロである。

つまり 磁気モーメント μ を持つ電線全体に対する全トルクは ゼロになる ( μ × B = 0 )。
ローレンツ変換の下で、 μ×B の関係は Fig.38 右のように変化する。

彼らは μE/c2 の部分を 隠れた運動量として定義した。
もちろん、この隠れた運動量は 実在のものではない

(Fig.39) 電磁場のローレンツ変換。

電磁場のローレンツ変換は Fig.39 のようになる。
電場 E は 観測者の速度に平行であるため、磁場 B は 外積のため 必ず ゼロになる。

つまり トルク = 0 の前提条件からスタートさせている。

(Fig.40) S と S' 系におけるトルク。

Fig.39 を用いて、 S 系 (= Fig.40 左 ) と S' 系 (= Fig.40 右 ) のトルクは Fig.40 で与えられる。
もちろん、最初からゼロのため、これらのトルクは 必ず ゼロになる。

電場 E は x 方向のため、ローレンツ変換で変化しない ( E = E' )。
また 磁気モーメント μ も 両方の系で同じと見なす。

(Fig.41)

Fig.41 を用いると、 Fig.40 は、

(Fig.42) S' 系でのトルクはゼロ?

最初の項は 電気双極子 (= p ) を含み これが通常のトルクを引き起こす。
彼らは 2番目の項を 隠れた運動量だと 人為的に定義し、これが 最初の項を キャンセルするとした。

しかし この定義は Fig.40 の N = 0 の前提条件に依存している。
"ゼロ" のローレンツ変換は "ゼロ" なのは当たり前である。
つまり この方法で パラドックスを解決したことには まったくならない

”架空の中心” は 隠れた運動量の利用に必須。

(Fig.43) 仮想の回転中心は 必要不可欠。

Fig.42 の2番目の項に含まれる速度 "v" は 仮想の半径 r = Vt から来ている。
角運動量の時間微分は トルクを与える。

彼らは Fig.43 下の 架空の関係式を トルクとして採用している。
何度も言うように、この仮想の中心は リアルなものではない

[ 電場の隠れた運動量。]

Fig.44 では 外電場 E と 電流の磁気モーメントがある。
つまり 電磁場の運動量 ( E × H ) が存在すると言われる。
しかし これらの電磁場の運動量は いわゆる 偽の運動量である。
"本当"のエネルギーや運動量は 電線の内部やコンデンサーにある。なぜなら クーロンエネルギーは "実在"の電荷が必須だからである (もちろん 2つ以上の)。

磁気モーメントは 次のように表せる。
(Fig.44)

ここで H は 磁場の強さ、 B は 磁束密度である。

そのため 電磁場の隠れた運動量は
(Fig.45)

そのため Fig.45 を用いて、観測者の移動によって増加した角運動量を Fig.34 でキャンセルされたと彼らは 主張しているのである。
もちろん この隠れた運動量が Fig.4 の電線の回転を止めることは不可能である。

なぜなら 外電場 E は 生じた電荷そのものに作用するからである。
それに もし この -y 方向の連続した電磁場の流れ ( E×H ) がリアルだとしたら、この流れの源流はいったいどこなのだろうか?奇妙である。
また すでに述べたように、電線内部の回転トルクは その全運動量とは関係はない。

to

2014/5/26 updated This site is link free.