山本山( やまもとやま/324m) 〜賤ヶ岳(しずがたけ/421m) [湖北] |
琵琶湖の北東の湖岸に沿って、南北に細長い稜線が伸びているのが以前から気になっていた。稜線の南端に山本山という海苔屋のような名前の300m程の小さな山が
あって、そこから北に向かって標高200mくらいの顕著なピークの無いなだらかな稜線が続き、古戦場で有名な賤ヶ岳に至る。その間約7km。賤ヶ岳からさらにJR余呉駅まで歩けば全長約12kmの低山縦走となる。
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JR北陸線の河毛駅から8人乗りのコミュニティバスに乗 り込んだのは自分一人だけ。貸し切りである。バスは田んぼの中に点在する集落の細道を巡り、バス停で乗客を拾っていく。乗客は乗る時に 、降りるバス停を運転手に告げるので、このバスが郵便局や駅など地域の主要施設を巡る大事な足であることがわかる。 百円玉2枚を料金箱に入れて山本山登山口で降りると、目の前は神社。神社の鳥居をくぐった石段が縦走路の出発点になる。 |
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コミュニティバスの車窓からの山本山
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山本山の登山口は二つあって、こちらは南西の登山口。もう一つ南東にも登山口があり、そちらには朝日山神社という神社がある。どちらもスタートは神社だが、そちらには駐車場があるらしい。 石段の横に案内板があり、これからたどるルートが「近江湖(うみ)の辺の道」という140kmに及ぶ長距離自然歩道の一部であることを知る。 なんだ、しっかり整備されているんじゃないか。 |
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登山口の宇賀神社
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石段を登り、社殿の左側を抜けて山道に入る。しばらく行くと獣害防止の柵あり、それを抜ける。熊に注意の看板が登山口にあったが、これは主にイノシシが里に下りてこないようにする柵だろう。
柵を過ぎると道は勾配を増し、なかなかしんどい。雑木林の中を、あまりつづらも折らずに登っていく。 |
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獣害防止柵
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竹生島
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イカリソウ |
急登を登り詰めると山本山山頂。この山は琵琶湖や北国街道を見下ろすには絶好の場所にあり、昔は山城が築かれていたそうだ。湖上からも目印になり「見当山」の名もあったと、解説板にある。今は樹が茂ってそれほどの眺めはないが、手ごろな高さで下を見張るのにはよさそうに思われる。
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土塁に囲まれた山本山山頂
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土塁の切れ目から山桜 |
ここからは稜線歩き。歩くにつれ、白い筋の入った幹のシヌシデや、しわの多い幹のクヌギが目立つ雑木林と、ヒノキ、スギの植林地が入り混じって現れる。
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イワカガミ |
昔通学路だった峠道
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歩道の横に何本か案内板が立っていて、稜線上に古墳が連なっていると解説してある。古墳時代の全般に亘って築造され、判明しているものだけで132基もあるそうだ。方墳、前方後円墳などいろいろな形のものが混じり、国の史跡に指定されているとのこと。 |
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古保利古墳群の寺ヶ浦古墳 (全長52.5mの前方後円墳)
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今年は桜が遅かったとはいえ、平地ではもうほとんど終わってしまったが、稜線上はまだ山桜が咲いている。今日は風が強くて、歩いていると花びらが顔に当たるし、登山道の上に一面に散り敷いている。思いがけず花見が楽しめる。 北風は冷たいが、気温はさほど低くないので、陽射しのある南斜面を登る時には少し汗をかく。北斜面を下る時には北風を正面から受けるので体が冷える。北に向かって歩いているので仕方がないが、風のある方で登り、暖かい方で下る方がいいのだが。 |
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山道の花びら
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山桜満開
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稜線の雑木林
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最低鞍部で林道と交差すると、この稜線ではちょっとした登りになる。登りついたところの木に「西野山」という地形図にはない山名板がぶら下がっていた。 360.4mの標高点には「湖北丸山」という、これも地形図にない山名板が付いていて、そのピークの先でやっと賤ヶ岳が見えてきた。 |
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小谷山と遠く伊吹山
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賤ヶ岳は2000年の2月に登ったことがある。余呉駅から余呉湖畔の道路を半周して賤ヶ岳に登り、南側の観光リフト沿いを下って木ノ本駅まで 歩いた。雪を楽しみながら琵琶湖を眺めようとしたのだが、山頂はガスで何も見えなかった。 そのリフトのそばを通り、最後の登りにかかる。リフトの園地からやっと琵琶湖の眺めが開けた。山頂直下では辿って来た稜線の奥に山本山を望むこともできた。さすがに7kmの稜線は長い。 |
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賤ヶ岳
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やっと開けた琵琶湖の眺め。向かいが葛籠尾崎。
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一番奥が山本山。この長い稜線を歩いてきた。 |
賤ヶ岳山頂は意外に広くて芝生の広場になっている。前回はガスでそそくさと下山したので、こんな広場があったという印象は全くない。 |
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余呉湖
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横山岳
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湖面の風紋
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賤ヶ岳山頂
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それにしても風が強い。北風が山頂の山桜の花びらを絶え間なく飛ばし続けている。余呉湖の写真を撮ろうと北に向って構えると、風にあおられて転びそうになる。のんびりお茶でも飲もうと思っていたが、たまらず下山にかかる。ただ一人山頂にいたカメラを抱えた人も、「こりゃ、どうしようもない」というような様子で苦笑いをしていた。
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熊の皮剥ぎ防止のテープ
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中川清秀の墓
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この下山路はどのガイドブックにも載っているオーソドックスなコースだが、ほとんど植林地を通る道で面白くなかった。途中の大岩山にある賤ヶ岳の戦いで戦死した中川清秀の墓が唯一の見どころになる。 さすがに尾根歩きにも飽きてきて、大岩山の先で支尾根を下り湖岸に下りた。湖畔の桜はギリギリ見られる感じで、賤ヶ岳の姿を引き立てていた。 |
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余呉湖畔からの賤ヶ岳
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[山行日] | 2017/4/19( 水) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[天気] | 曇りのち晴れ、風強し 2017年4月の天気図 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[アプローチ] |
JR岡崎 6:56 →(特別快速)→ 8:09 大垣 8:13 →(普通)→ 8:47 米原 9:00 →( 普通)→ 9:17 河毛 9:30 →(湖北コミュニティバス・こはくちょうバス)→ 9:56 山本山登山口
・コミュニティバスは琵琶湖線に乗る。時間によって南回りと北回りになっており、北回りの方が早く登山口に着く。(上記の便は南回り) |
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[コースタイム] |
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[帰り道] |
JR余呉16:10 →(普通)→ 16:42 米原 17:00 →(新快速)→
18:41 岡崎 |
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[地図] | 竹生島、木之本(1/25000) |