沼津アルプス 鷲頭山(わしずやま)392m 他 [富士山周辺] |
沼津アルプスは沼津市の市街地のすぐそばに並ぶ低山の連なり。ウィキペディアで検索すると「浦静山地」という名前もあるようだが、
ハイカーには沼津アルプスの方が通りがいい。低山ながら起伏が激しく、歩きがいがあるコースとして知られている。 |
沼津駅からのバスを多比(たび)で降りたが、登山口が分からない。地図を取り出し、見当をつけて少しバス道路を戻ってみる。セブンイレブンの前を通り過ぎた先に山手へ続く道があり、そこに標識が立っていた。人家が立ち並ぶ間に舗装道路が山に向かって続いている。行く手に見える丸い山が 、沼津アルプスの起点(終点)になる大平山らしい。 人家はすぐに尽きて周りはみかん畑になる。道端の梅の花が満開だ。メジロが蜜を吸いにきているし、ヒヨドリもうるさく飛び回っている。山に近づくにつれて道が急になり、コンクリートの路面には滑り止めの丸い輪っかが刻印されている。 |
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登山口の標識 |
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登山口は分かりにくかったが、その後は分岐ごとに標識やら矢印やらが出てきて迷うことはない。舗装道路から山道に入るところには、地面の石にも矢印が描いてあった。 山道に入ると気持ちのいい雑木林になる。落葉樹のケヤキ、コナラ、ヤマザクラ、アカメガシワ、リョウブ・・・常緑樹のタブ、アラカシ、ヒサカキなどなど、いかにも里山といった感じだ。カゴノキのジグソーパズルやカラスザンショウのいぼいぼなど、個性的な幹も目につく。樹木の種類が多く、おもしろい。 しかし、それにしても暑い。先週の雪模様から一転して、ここ数日は暖かい陽気が続いている。パーカーもフリースも脱いだので、デイパックが ぱんぱんに膨らんでいる。 |
山腹を横切るように進む |
大平山の山腹を横切るように進み、前方の木の枝越しに鷲頭山が見えてくると最初の峠、
多比口峠に到着。
大平山へはここからピストンする人が多いようだが、展望が利かないらしいのでパス。しかし、峠の標識に「10m上に富士山」とあったので、大平山方面へ少し登ってみたら展望が開けた。富士川の鉄橋を渡る頃は麓から山頂まですっきり見えていたのだが、残念ながら中腹に雲がかかっている。でも、すっぽんぽんの富士山よりも、奥行きがあっていい。暖かすぎてちょっと霞んでいる方が残念だ。富士の左手にはもっと霞んで、南アルプスの白い峰々が並んでいる。 |
多比口峠上からの富士山。前景中央の丸い山が徳倉山。 |
多比口峠からは尾根歩き。峠の標識に「沼アのハイライト ウバメガシの岩尾根」とあったが、まさしくその通り。岩がちの尾根にウバメガシが密生し、トンネルをつくっている。幹の細いものも多いが、最近まで炭焼きがされていたのだろうか?太めの幹は板状にひび割れた樹皮だが、細い幹や枝は赤茶色のつるりとした幹で、対照的で面白い。 |
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ウバメガシのトンネル |
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大平山を振り返る。背後は玄岳方面。 |
多比峠で一旦尾根を外れて山腹を行くが、また再び尾根道になり、じきに鷲頭山山頂に到着。沼津アルプスの最高点ではあるが、標高はわずか392m。ここでも休んでいる高齢者グループが何組かあり、山頂標識の周辺は占拠されている。 |
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鷲頭山山頂 |
「ぬまず食わずで、沼津アルプス」なんて思いながら歩き始めたが、少し下った先で富士山の見えるいいポイントがあった。小鷲頭山と標識にある。誰もおらず静かで、ここで昼食にすることにする。富士山は枝が掛かってすっきりとは見えないが、眼下には御用邸の森が良く見え、千本松原がその先に伸びやかな放物線を描いて駿河湾を縁取っている。 |
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沼津御用邸の森と千本松原 |
小鷲頭山山頂 |
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小鷲頭山からは急な下り。道の脇にロープが張ってある。普段ならロープなどには頼らないのだが、先日の雨で道が滑りやすく、目いっぱいロープにぶら下がって下る。 稜線から少し外れたところに岩壁があり、岩のくぼみに阿弥陀如来が祀ってある。解説板に「中将さん」の洞窟とあり、平安末期に平重衡(清盛の五男)が隠れ住んだ場所だとのこと。 |
「中将さん」の洞窟。格子の中に阿弥陀像がある。 |
鷲頭山を下りきったところが志下峠。ここからしばらくはなだらかな稜線歩きになる。左手には駿河湾がきらきら光っている。春の海だ。 志下山を越え、一旦志下坂峠に下って、また登り返す。千金岩まではちょっと急だが、また、なだらかな道になる。 |
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鷲頭山を振り返る |
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徳倉山直前の登りは急な斜面を直登する。珍しいことに、両側に竹で手摺が作ってある。その手摺をついつい頼ってしまうところが情けない。 |
竹手摺の道 |
徳倉山の山頂は展望が開けて、気分がいい。遠足で弁当を広げるには、持ってこりの芝生が広がっている。 |
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徳倉山山頂から望む富士。あいだに横たわる山は香貫山。 |
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徳倉山からまた急な道を下り、横山峠に下りる。沼津アルプスは鞍部ごとに峠道が横切っていて、峠の数が多くて、今日幾つ目なのか分からない。ここはかなり低い峠で、家がすぐそばまで迫っている。 横山峠からまた急な道を登ると横山山頂。ここは木立ちに囲まれていて、展望が利かない。人家が近いとは思えない、静かな山頂だ。 |
横山峠 |
またまた急な道を下ると八重垣峠だが、この峠道は車道だ。歩道を歩いて少し西に下ると、標識があって香貫山に導かれる。狭いながらも舗装道路で山歩きの感じではない。香貫山は沼津アルプスの終点というよりは、八重垣峠から沼津駅への帰り道の途中にあり、登らざるを得ない山という感じだ。 |
香貫山の三角点はアンテナが林立する東よりのピークらしいが、道はまず、西側の展望台に続いている。 展望台の回りにはベンチや東屋があり、公園風になっている。ここも市街地のそばによくある健康登山の山らしく、高齢者の人が入れ替わり立ち替わり登ってくる。これも市街地近くにありがちの捨て猫が多く、餌をやっている人もいる。 |
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沼津アルプスを振り返る 左から丸い徳倉山、遠く鷲頭山、志下山 |
展望台に上がってみると富士山はすっかり雲の中に隠れてしまっていた。沼津の市街地を眼下に、愛鷹山越しの夕焼けの富士を見上げるのを楽しみに来たのに、残念。見えるのは広がる市街地と、霞んだ愛鷹山だけ。 |
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香貫山からの下りは、本当に舗装道路。途中にある五重の塔の慰霊塔のところから、適当に山道に入り、山の北側に下る。道路に出たところに登山口の標識があったので、間違いではなかったようだ。 沼津の駅まではのんびり歩いて25分だった。沼津駅前でしらすのかき揚げと寿司をつまみに一杯飲んで電車に乗る。 |
黒瀬橋から香貫山を振り返る |
[山行日] | 2011/2/16(水) | |
[天気] | 晴れ | |
[アプローチ] | JR岡崎 6:36 →(普通)→ 7:07 豊橋 7:09 →(普通)→ 8:54 静岡 9:05 →(普通)→ 10:00 沼津 10:25 →(東海バス)→ 10:50 多比 | |
[コースタイム] | 10:50 多比 (0:45) 多比口峠 (0:40) 鷲頭山 (0:05) 12:35鷲頭山13:10 (0:20) 志下峠 (0:20) 志下坂峠 (0:40) 徳倉山 (0:20) 横山峠 (0:20) 横山 (0:15) 八重坂峠 (0:20) 16:00香貫山16:30 (0:20) 黒瀬登山口 (0:25) 沼津駅 17:15 (計4:50) | |
「帰り道」 | 沼津 18:24 →(普通)→ 20:38 浜松 20:44 →(普通)→ 21:21豊橋 21:24 →(区間快速)→ 21:54 岡崎 | |
[ガイドブック] | マイカー登山「東名高速道」(山と渓谷社) | |
[地図] | 韮崎、三島(1/25000) |
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「沼津市産業振興部観光交流課」の沼津アルプスの紹介ページ http://www.city.numazu.shizuoka.jp/kankou/asobu/hiking_walking/alps/index.htm 地図もついてます。 |