男体山( なんたいさん)                             [関東] 2486m 
神と仏の山 No.9

 今から30年位前の梅雨時に男体山に登りに来たことがある。その時は中禅寺湖畔の宿に泊まったのだが、翌朝は深い霧。「こりゃあ、山頂は雨だなあ。」と思い、登山は諦めて戦場ヶ原のハイキングにしたのだが、時間がたつにつれて見る見る霧が晴れてきた。梅雨時の奥日光はそういう天気らしい。
 その時はそれなりに戦場ヶ原ハイクを楽しんだのだが、それ以来登る機会がなく、30年たってしまった。今回はやっと山登りである。

 朝5時、車中泊していた中禅寺湖畔の歌ヶ浜駐車場から二荒山神社中宮祠の駐車場に移動。6時に登拝受付が始まるので、それまでトイレに行ったり身支度をしたり。6時に門が開くときには、5組ほどの登山者が待っていた。
 まずは、安全を祈願して拝殿前でお参り。その後、登拝受付をし、入山料?500円を払う。紐のついた登拝章を渡されるが、特に首にかけていろとは言われない。
 

二荒山神社中宮祠から見上げる男体山
 

 男体山は二荒山神社の御神体なので登山にはいろいろ手続きがいる。山頂に奥宮があり、登山ではなく登拝である。
 同じく御神体である奈良の大神神社の三輪山は「山中では参拝証のタスキをかけ、写真厳禁」という厳しさで、、まあ 何も言わずに登らせてもらえるだけでも、有難いと思わなければいけない。

登拝門
 

 本殿横の登拝門をくぐると、いきなり長い石段。石段が終わり山道になるとじきに一合目。ここには遥拝所がある。
 山頂まで登れない人は、ここで奥宮を拝むことになるが、山頂が見えるわけではない。

  一合目から三合目にかけては大木が並ぶ森の中を行く。山の傾斜はまださほどでもないのだが、道は直登に近い感じで、登りに体が慣れていないのでしんどい。

一合目の遥拝所
 

 周りはシラビソなどの針葉樹と、ミズナラ、ブナなどの広葉樹が混じっているが、針葉樹の根元にはネットが巻いてある。日光は鹿の食害がひどいので有名だが、これだけネットを設置する にはかなりの労力を要する。広葉樹には巻いてないが、針葉樹の方が樹皮がうまいのだろうか?
 幹だけでなく、根元にも青いネットが掛けてあるが、ネットからはみ出した根っこはしっかり皮が食べられている。

鹿の食害防止ネット
 


  三合目から四合目の間は、砂防工事用の道路を歩く。ブナやハウチワカエデの新緑が眩しいほどで、気分がいい。

 

芽吹き始めたシラカバ

 

新緑の木陰を歩く

 

四合目の鳥居

 

四合目から中禅寺湖を見下ろす

 まだ新しそうな鳥居が立つ四合目から、再び山道に入る。傾斜はきつくなったがつづら折りに登っていくので、先ほどよりも楽だが、岩だらけ、根っこだらけで歩きにくい。
 トウゴクミツバツツジが咲き始めているが、シロヤシオはまだつぼみの方が多い。

トウゴクミツバツツジ
 

  五合目の避難小屋を過ぎたあたりから、観音薙の岩の道になる。観音薙は山腹の崩壊谷だが砂防工事が進んでいて、石垣が段々に積まれ、カラマツが植林されているところが多い。そういうところは、樹林帯の中に付けられた新しい道を登ることになるが、こちらもやはり岩だらけである。

岩だらけの巻き道
 
もうじき七合目

 

八合目の瀧尾神社の祠

 

 七合目の先に鉄製の鳥居が立っていて、これを過ぎると傾斜が緩くなる。
 八合目を過ぎると日陰には雪が残っている。苔の上にも薄っすら雪が積もっているが、これは昨夜の雨が山上では雪だったということなんだろう。

 九合目あたりから樹林が低くなり、浸食防止の階段が多くなる。百名山の上に信仰登山の人も多いので、オーバーユース気味なのだろう。

山道をふさぐ残雪

 

 その上は赤っぽい溶岩の斜面が広がり、山頂は近い。
眼下に中禅寺湖が見下ろせ、その向こうには皇海山が象の背中のような稜線を見せている。
 皇海山も百名山だが、はっきりと姿を見たのは初めてだ。見たことのない山はなかなか食指が伸びず、今回の遠征も男体山と赤城山をセットにしてしまったが、距離的には皇海山の方が近い。姿を認めたので、これでちょっと登る気になってきた。 

 戦場ヶ原の上には、まだ残雪が多い日光白根山が凛々しい姿で聳えている。あちらの方が少し高い。日光白根は学生時代に尾瀬から縦走してきて最後のピークとして登り、湯元に降りている。

山頂近くの溶岩の斜面

 

 

中禅寺湖の向うに皇海山

 

戦場ヶ原の向うに日光白根山

 

  溶岩の斜面を登りきると山頂。まずは奥宮に参拝。
 山頂は思っていた以上に広く、三角点のピークは奥宮の右手、100mほど先にある。山頂からはこれまで見えなかった北側の太郎山、女峰山などの日光連山の仲間たちが見える。太郎山はこちらより100mも低いはずなのに、随分立派で高く見える。上空は晴れているのだが、北の方は雲が多く、燧や至仏の尾瀬の山々は見えない。
 それにしても風が強い。東の海上に台風があるせいか、山頂の岩場に立っているとバランスを崩しそうになるくらい風が強い。こんな風に遭うのは久しぶりだ。ゆっくり山座同定をしたいところだが、とてもそんな余裕はなく、奥宮に戻る。

 

太郎山 大真名子山、女峰山(左)

三角点から奥宮

 

山上の大剣

 

 奥宮の陰でも風が避けられず、南側の木陰に入り込み昼飯のパンを食べる。といってもまだ9時過ぎなので、朝飯の続きといったほうがいいかもしれない。風のないところでホッとして上空を見上げると、ものすごい速さで雲が飛んでいく。東側の日光上空でも、黒い雲が踊るように渦巻いている。晴れているからいいようなもので、これで曇っていたらさぞ怖いことだろう。

 さて、下山は同じ道を戻る。急な下りだけに、膝の負担が大きい。明日もあるので、時間をかけてぼちぼち下る。ウィークデイにも関わらず、まだまだ登ってくる人が多い。100人まではいかないだろうが、50人以上はすれ違ったのではないだろうか。さすが百名山である。

 

中禅寺湖の遊覧船

 

ミネザクラ

 

中宮祠のシロヤシオ(ここが一番よく咲いていた)

 

三本松茶屋からの男体山

 

 中宮祠に下り着き、赤城山に移動する前に奥日光観光。竜頭の滝を見、三本松茶屋で蕎麦を食べる。
 昨日の東照宮もそうだったが、戦場ヶ原周辺も修学旅行の小学生でいっぱい。引率の先生に聞くと東京の清瀬からと言う。自分も中学の修学旅行で日光に来たので、変わり映えがしないと言えばそれまでたが、今は世界遺産になったこともあって、目的地としてはより評価が高くなっているのかもしれない。

 さて、明日は赤城山だ。

 赤城山へ

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[山行日] 2015/5/21(木)
[天気] うす曇りのち晴れ    2015年5月の天気図(気象庁)
[アプローチ] 20日 岡崎IC 7:55 (東名、新東名、首都高、東北道、宇都宮日光道路)→  日光IC →  14:00 日光東照宮 →(第二いろは坂)→  18:20 中禅寺湖畔・歌ヶ浜駐車場    [約487km]

21日 歌ヶ浜駐車場 5:00  → 二荒山神社中宮祠駐車場   [約2km]
    
・第一、第二の登山者用駐車場がある。第一駐車に止めたが、10数台しか止まれない。トイレは第二の方が近い。6時から登拝受付けだが、5時には駐車できるらしい。
 

[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間 4:15起床
1:00 6:05 二荒山神社中宮祠出発 (1275m)   8℃
6:45 三合目、車道    
7:05 四合目(1667m) 0:05  
1:00 7:10  
8:10 七合目 0:05  
1:05 8:15  
9:20 男体山山頂(2486m) 0:35  
0:40 9:55  
10:35 七合目 0:05  
1:25 10:40  
11:25 四合目(1667m)    
12:05 二荒山神社中宮祠着   全行動時間
5:10     0:50 6:00
登り 3:05        
下り 2:05        
 
[ガイドブック] 「日本百名山登山ガイド(上)」 山と渓谷社

 

[温泉] 老神温泉「湯本華亭」

・群馬県沼田市利根町大楊1519-4
・日帰り温泉施設。
・気持ちのいい温泉なのに、他に誰も入っていなかった。
・入浴料3時間まで700円。
・露天風呂あり。
・石鹸、シャンプー、ドライヤーあり。
[風景印] 中禅寺局
 (栃木県日光市中宮祠2478−71)

・図案
  男体山、中禅寺湖、華厳滝