南木曽岳(なぎそだけ)                              [木曽] 1679m 

  

 「穂高の前に足慣らしでどこか登りませんか?」というNom君の要望を受けてひねり出したのは南木曽岳。
 最初に思いついたのはしぶきを浴びて涼しい田立の滝だったが、こちらは既に2回行っている のでちょっと食指が伸びない。南木曽岳は1988年の11月に行ったっきりなので30年ぶりになる。田立の滝よりも歩き甲斐があって足慣らしにはいいし、歩き始めの標高が900mを超えているので少しは涼しいのではないか、と思ったのだが。

 蘭の集落で国道256号と分れ、林道に入る。意外に賑わっているキャンプ場の横を抜け、車止めのある南木曽岳登山基地まで入る。涼しいというほどではないが、猛暑の下界よりも呼吸は楽である。

 車止めを越えてすぐに右手の遊歩道に入り、しばらく歩いてまた林道に戻る。林道から左折して砂防工事の作業道に入るところが登山口。
 新しい大きな砂防堰堤を右手から回り込み、しばらく行くと目の前に南木曽岳が見えてくる。見上げるとかなり高い。間違いなく急登であることが分かる。

南木曽岳登山基地

 

 先ほどよりもやや小さい堰堤の前に木製の橋が架かっており、それを渡ると登山道になる。沢沿いに落葉樹の下を登っていくと分岐に出る。左手が登山道、右手が下山道で基本的に一方通行になっている。険しい道で鎖場や梯子が多いので安全のためらしい。

 分岐には丸太を割ったものがキャンプファイヤーのように井桁に積んであるが、梯子や桟道の補修用の部材だと思われる。
 登山基地の案内板にも書いてあったが南木曽岳は日本山岳遺産認定地になっており、地元のボランティア団体が日本山岳遺産基金の助成を受けて登山道の整備、補修を行っているらしい。
 ちなみに日本山岳遺産基金は(株)山と渓谷社と(株)インプレスホールディングスが中心となって設立された基金で、 『次世代に伝えたい豊かな自然環境や人と自然の関わりを有し、それらを守り、活用するような地元の活動が盛んな山や山岳エリアを「日本山岳遺産として認定している』とのこと。2010年度から17年度までに26の地域と団体が認定を受けているようだ。

木橋から山頂を見上げる

 

 分岐を過ぎると道は傾斜を増し梯子も現れるようになる。金時の洞窟などと名づけられた岩屋を左下に見てなおも登ると、少しずつ道は巻き始め 、山腹をトラバースした後、尾根に出る。

 

梯子を登る

 

コウヤマキ林の尾根道

  この辺りは道沿いに木曽五木のひとつのコウヤマキが多く見られるが、これだけ密度が高いコウヤマキ林は珍しいと思う。
 尾根道になって傾斜は一層急になる。鎖場や梯子が連続して現れ、どんどん高度を上げていく。あまり風がないので暑い。熱中症に気を付けながら休み休み登る。

 

コウヤマキの葉

 

急登が続く

 

 上の鎖場には巻き道の桟道も付いていて、Nom君とKawさんは巻き道を、自分は鎖場を登る。鎖場は途中にワイヤーネットの部分もあり少々高度感があるが、距離的には短くて 、すぐに巻き道に合流してしまった。
 林間からは船底型の特徴的なスカイラインの恵那山が見えてくる。

 なおも急な尾根道をひたすら登り、かぶと岩の解説板を過ぎ、やっと山頂の一角に到着。いや〜、しんどかった。

 山頂は高原状で笹原と樹林地が入り混じって広がり、その中に幾つかの小ピークがある。最初のピークが三角点であるが、樹林の中で展望はない。
 その先にピークには大岩の上に南木曽岳山大神の石柱が立っていて、ここが1679mの最高点らしい。展望台の標識に導かれて左手の大岩の上に出ると、青い色紙を切り抜い て重ねたような山並みの向うに、これも青い平板な御岳が空に貼り付いている。御岳の右には乗鞍や北アが見えるそうだが、ただ霞んだ青が広がるばかりだ。

上の鎖場(左)と巻き道の桟道(右)

 

南木曽岳三角点

 

御岳

 

 その先は道に笹が覆いかぶさっていて、半袖の腕で払いながら進むのは少々辛いが、眼下に避難小屋の屋根が見えると展望が開ける。笹原の向うに中央アルプスの長い稜線が横たわっている。なかなかいい感じだ。

 避難小屋の先の展望ポイントで昼食にする。日陰があまりなくて暑いが、岩の上に上がると展望が素晴らしい。中央アルプスの北端の麦草岳から南端の摺古木山まで一望のもとに眺められる。摺古木山の右には南アルプスの稜線も覗いている。

避難小屋と中央アルプスのパノラマ

 

左から麦草岳、木曽前岳、木曽駒(中央)、中岳、三ノ沢岳

 

左から空木岳、南駒ヶ岳、仙涯嶺

 

 空はとことん蒼く、思わず伸びをしたくなるが、陽射しはきつい。夏山ではあるが、爽やかさには少々欠ける。時折吹き抜ける風がありがたい。
 Kawさんからもらった冷たいフルーツパックが美味しい。

 

展望ポイント

 

展望ポイントから摩利支天へはこんな感じ

 

 展望ポイントから再び笹原を抜け、下山の前に摩利支天展望台に寄り道。大岩の上には怖くて上がれないが、恵那山への展望が開ける。谷底に蘭の集落も見える。右手に見える三角点ピークは笹原と樹林の感じが大川入山に似ている。

 

摩利支天から恵那山遠望

 

摩利支天から三角点ピーク

 

 下山路もこれまた急な道。こちらも鎖場や梯子が続く。急な下りは登りよりもきつい。気を抜けない道が延々と続く。今回は穂高の予行演習ということでトレッキングポールを持ってこなかったので膝への負担が大きい。焦らず、無理をせず、ボチボチ下る。

 木橋まで下って振り返るとやはり山頂は遥かに高い。それにしても暑かったな〜。真夏にアルプス以外の山に登ってはいけない。

山頂を振り返る

 

 

南木曽岳ルートマップ


[山行日] 2018/8/6(月)
[天気] 快晴
[アプローチ] 中央道・中津川IC (R19号、R256号 ) →蘭  (林道 ) → 南木曽岳登山基地     [約30km]
      
・避難小屋、トイレ、登山届BOXあり。
[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:35 8:30 南木曽岳登山基地(960m)    
9:05 登山道、下山道分岐(1150m) 0:05 26℃
0:25 9:10  
9:35 尾根 0:05  
0:15 9:40  
9:55 上の鎖場 0:05  
0:45 10:00  
10:45 南木曽岳三角点 (1677m) 0:10 昼食
0:15 10:55  
11:10 展望ポイント 0:45  
0:15 11:55  
12:10 摩利支天 0:05  
0:45 12:15  
13:00 1300m付近 0:05  
0:15 13:05  
13:20 登山道、下山道分岐 0:05  
0:25 13:25  
13:50 南木曽岳登山基地(960m)   全行動時間
3:55     1:25 5:20
 
[地図] 南木曽(1/25000)
[ガイドブック] 分県登山ガイド15「長野県の山」(山と渓谷社)

 

[温泉]

あららぎ温泉「湯元館」
・長野県木曽郡南木曽町吾妻2333にある、日帰り温泉。
・入浴料550円。露天風呂はないが桧の湯船が気持ちいい。
・ボディソープ、シャンプー、ドライヤー完備。コインロッカー100円。
・同じ棟にある食事処「ひのき」で食事もできる。