経ヶ岳(きょうがたけ                       [中央アルプス] 2096m

 

 7月に登ろうと思って出かけた中央アルプスの経ヶ岳。北沢山、コイノコ付近のササユリは楽しめたが、その先で転倒して頭に怪我をしてしまい、 そこから引き返したので山頂は未踏のままだ。
 何であんなところで転んだのかという問いは下山中からしていたが、結論として花に浮かれて注意力が散漫になっていた、というところで一応納得した。
 しかし、もう一度転倒した場所を確認したいという気持ちが抑えられず、3ヶ月経って再び登ることにした。
 

経ヶ岳登山口

 

 前回同様、国道19号沿いの道の駅「日義木曽駒高原」で車中泊。 日の出が遅くなったので、登山口出発は1時間20分遅い午前6時55分。駐車場には既に2台止まっている。
 登山口付近にはカラマツが多いが、まだ少し黄色くなっている程度。黄金色になるのは来週くらいか。

 

ガマズミ

 

 アンテナピークを過ぎ、小坊主岩も過ぎると岳見岩。前回はガスが湧いてしまったのでパスしたが、今日は木曽側に少し下って岩まで行ってみる。岩の上には上がれないが 、横からは真正面に御嶽が大きく見える。よく晴れている。

 

岳見岩から御嶽

 

まっくん岩

 前回気づかなかった、まっくん岩の間を抜け1884mピークを過ぎると北沢山の登りになる。山頂近くで今回もフェンスの扉を開けてお花畑ルートを登る。もちろん花はないが、草原にはヤナギランの花殻が銀色の細工物のように何本も立っている。振り返ると木曽駒方面がよく見える。上から見るとカラマツがそこそこ色づいている。

 

ヤナギランの花殻が立つお花畑

 

左端の一番高いピークが木曽駒

 北沢山の山頂からは南アルプスがずらりと並んで見える。伊那谷には逆光に輝く雲が浮かび、その上に甲斐駒、仙丈がシルエットで貼り付いている。その右に は間ノ岳がそびえ、北岳の山頂も少し覗いている。塩見は雲に隠れているが、荒川岳や赤石岳は見えている。
 振り返ると御嶽が大きく、その右には白山も見えている。どの山もまだ雪は被っていない。

 

甲斐駒、仙丈

 

悪沢岳、荒川前岳、赤石岳

北沢山からの経ヶ岳

 

コイノコの登り

 北沢山からコイノコの間はササユリの群落が広がっていたが、今はただの笹原。ダケカンバが点景になっている。
 ササユリの咲いていた斜面を登り切るとアヤメ平でその先がコイノコ。ここからは北沢山からは見えにくかった乗鞍がよく見える。右手には遠く槍穂も見えるが、手前の鉢盛山が邪魔をしている。

 

乗鞍岳
(帰りに撮影)

 

左から奥穂、前穂、槍ヶ岳
(帰りに撮影)

 コイノコの先が2038m標高点。そのすぐ先の下りが転んだ場所なので歩きが慎重になる。下りはじめてすぐのところに見覚えがあり、転倒場所だとすぐに分かった。倒れる時に目の前に迫ってきた四角い石も登山道の上にある。これに躓いたかと思われるような細い木の根もある。
 意外だったのは転げ落ちた斜面が思ったよりも急であったこと。灌木が生えているとはいえ、勢いがついているのによく止まったなあ、と思える。下手を
すればもっとあちこち傷だらけになっていたかもしれない。今思い出してもゾッとする。

 

2038m標高点

 

転倒場所

 さてここからは初めて歩く道。また転ぶわけにはいかないので、一層気を引き締める。
 下りきったところで道は二手に分かれる。この先に岩場があり、展望が効くらしいが、巻き道(迂回路)もある。
 展望があるならと真っ直ぐ進む方を選択。乗鞍方面がチラチラ見えるが、樹木が邪魔をして展望地というほどではない。その先はロープの架かった岩場を下りる。

 先ほどから草刈り機の音が聞こえていたが、岩場を折りたところに、笹払いの作業をしている人がいた。先行者がその人と話をしていたので、ありがとうございます、とだけ声をかけて通り過ぎる。
 ササユリを見に来たときも感じたが、この登山道の周囲はよく笹刈りがされていて歩きやすい。しかも、ササユリなどの花の咲く植物を残して丁寧に草刈りがされている。地元愛に心打たれるとともに、感謝の念に堪えない。
 

だいぶ経ヶ岳が近づいた

 

 最低鞍部からは最後の登りに取りかかる。最後に標高差300mの登りがあるのはきつい。コイノコあたりから脚が攣りそうだったが、まだ登らなければならない。
 しんどくて歩き続けるのが難しく、50歩歩いては立ち止まる。しかし、これはなかなかいい。休み休みではあるが、着実に前に進む。50歩目が立ち止まりにくいところだと数歩くらいは先に行く気力が出る。「50歩登山法」と名付けよう。

 

山頂近くのシラビソ林

 

 西の肩の平坦地を過ぎれば山頂は近い。と思っていたが、そこから先が意外に長かった。傾斜は緩くなったものの、シラビソの中を真っ直ぐ延びる登山道はめげる。
 とは言え、着かない山頂はない。周りをシラビソの疎林が囲む開けた山頂に何とか到着。前回の無念を晴らす。

 

経ヶ岳山頂

 

ヤマスタ

 山頂には女性の先行者が一人。登山口に車があった人だろう。すぐにその人は下山していったので、かなり早く登り着いたようだ。
 残念ながら雲が掛かり始めて展望は効かない。樹間にわずかに乗鞍方面が見えているが南アルプスは見えない。展望アプリで調べると八ヶ岳も見えるらしい。経ヶ岳は木曽駒よりも北にあることを再認識させられる。
 頭上に踊る絹雲を眺めながら昼飯を食べる。

 下山は同じ道を戻る。山頂で休んでもまだ脚に力は戻らない。久々にストックを取り出し、それに頼りながらよろよろと下る。
 それでも北沢山まで下って来るとちょっと安心。傾斜が緩くなった稜線を坦々と歩く。

作業車が登ってきた

 

 アンテナピークまで下ってきたら、何やらゴトゴト音がする。ちょうど運搬モノレールが作業員を乗せて登ってきたところだった。資材運搬用だと思っていたが、人も乗れるのだ。
 南箕輪村のガイドには携帯基地局のアンテナとあったので、その関係の保守の人たちなのだろう。珍しいものが見られた。

 

経ヶ岳ルートマップ


[山行日] 2024/10/17(木)
[天気] 晴れ           
[アプローチ] 16日 中央道・中津川IC (R19) 道の駅・日義木曽駒高原   [約63km]

 

17日 道の駅・日義木曽駒高原 (R19、R361) 権兵衛峠トンネル西口

     (林道) 経ヶ岳登山口P   [約19km]

 ・未舗装、25台くらい駐車可。トイレあり(手洗いあり)。
 

[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:45 6:55 登山口 出発(1550m)   10℃
7:40 アンテナピーク(1807m) 0:05  
0:50 7:45  
8:35 北沢山(1969m) 0:10  
0:25 8:45  
9:10 コイノコ(2035m) 0:05 19℃
0:30 9:15  
9:35 最低鞍部    
9:45 2043m三角点 0:05  
0:55 9:50  
10:25 経ヶ岳西の肩    
10:45 経ヶ岳山頂(2296.4m) 0:35 17℃
0:40 11:20  
12:00 2043m三角点 0:05  
0:30 12:05  
12:30 2038m標高点    
12:35 コイノコ 0:10  
0:20 12:45  
13:05 北沢山 0:05  
0:35 13:10  
13:45 アンテナピーク 0:05  
0:35 13:50  
14:25 登山口 着   全行動時間
6:05     1:10 7:15
登り 3:25      
下り 2:40