木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ) [中ア] 2956m |
ロープウェイ駅の外は地吹雪が舞っていた。「やっぱり、そうか。」とちょっと気分が落ち込む。 伊那市の天気予報は晴れだし、天気図的にも高気圧に覆われていて申し分ない。ただ、「てんきとくらす」の「山と高原の天気」のHPでは、風が強く登山不適の「C」ランク。「この気圧配置で強風はないだろう。」と 高をくくっていたが、やはり高山の気象は厳しい。
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それでも同じロープウェイで上がってきた登山者は平日にもかかわらず20人ほどいて、皆出発の支度をしているので、自分もアイゼンを履き、ヘルメットを被る。 ドアを開けて外に出ると目の前は真っ白な千畳敷カール。稜線を越えて西側から雲が飛ぶように越えてきて、雪面に影が走る。一応まだ陽射しはあるが、雲が多い。建物に風が当たり、雪煙が舞い上がる。 |
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千畳敷カール
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一旦、カールの底に下り、宝剣岳と伊那前岳の鞍部である乗越浄土を目指す。 クラストした雪 の上を薄い新雪が覆っている感じで、柔らかい部分と固い部分があり、少し歩きにくい。凍っているわけではなく、ピッケルを突きさすとブレードまで沈んでしまう。先行者のトレースを地吹雪が消してしまうが、ガスってはいないので迷うことはない。歩こうと思えばどこでも歩けるが、雪崩の恐れがあるのでカールの真ん中は避けて右寄りを進む。 |
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カールの縁を登る
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ロープウェイ駅を地吹雪が覆う |
この辺りが一番傾斜がきつい
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進むにつれて次第に傾斜がきつくなってくる。空気が薄いためなのか息が苦しく、足が重い。先行する男女二人連れを追うように登っているのだが、一向に近づかず、むしろ離されていく。靴の紐を少し締めすぎたようで足の甲が痛くピッチが上がらない。
何気なく足を踏み出そうとすると、脚が上がっていなくてアイゼンの歯が雪にひっかかり、バランスを崩しそうになって危ない。
足場を固め、一歩一歩を意識して踏み出す。
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宝剣岳に遮られているためか、乗越浄土付近の風はさほどではないが、宝剣山荘の立つ主稜線に歩を進めるにつれてどんどん風が強くなる。 |
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浄土乗越
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宝剣山荘付近の吹き溜まっている雪の壁を越えると、とたんに猛烈な風が襲ってくる。宝剣岳と中岳の鞍部を吹き抜ける風は容赦なく、雪を巻き上げてバチバチと顔に当たる。一瞬息が止まる。
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中岳の登りから乗越浄土と宝剣岳を振り返る |
三ノ沢岳
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あちこちに岩が出ている斜面を転ばないように気を付けて下り、木曽駒との鞍部に降り立つとまた強烈な風が吹き抜ける。体があおられて、たまらず耐風姿勢をとってやり過ごす。顔に当たる雪が痛くて、後ろを向いて休む。 やっとの思いで斜面を登り切り、傾斜が少し緩くなったところが山頂だった。 |
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中岳を振り返る
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山頂は少し風が弱く、先行者が雪に埋もれた神社の陰で休んでいる。伊那側と木曽側に二つの神社があり、鳥居も含めて皆雪に埋もれている。
展望は南側に中央アルプスの主稜線上の山々が連なり、何とか空木岳、南駒ヶ岳までは見える。宝剣岳は鋭く見栄えはいいが、如何せんスケールが小さく、自分としては三ノ沢岳の方に軍配をあげる。ときどき薄日が射し、伊奈前岳や将棊頭山が白く光る。 |
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中岳山頂からの木曽駒ヶ岳
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宝剣岳 |
空木岳(左)、南駒ヶ岳(右)
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伊那前岳 |
将棊頭山
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コースタイムよりも早く山頂に着いたので、本当ならばここでゆっくりしたいところだが、なにせ風が強い。取りあえず風が避けられそうな宝剣山荘まで戻ることにする。 |
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とにかく風が強い
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下りの方が怖い |
宝剣岳のカール側の岩壁
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乗越浄土からの急斜面は下りの方が怖い。横向きに一歩ずつ慎重に下りる。同じ向きで下っていると片足が突っ張ってくるので、時々向きを替える。転ばずに慎重に
、とは思うが、滑り落ちても最後にはカールの底で止まるだろうという安心感は少しある。尻セードで下りようとしている人もいるが、あまり滑らないようだ。 |
[山行日] | 2019/3/27(水) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[天気] | 曇り、強風 2019年3月の天気図(気象庁) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[アプローチ] | 26日
中央道 駒ヶ根I.C. →(県道75)→ 菅の台バスセンター駐車場 [約2km] ・1回600円。トイレ有り(暖房されている)。 |
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[コースタイム] |
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[地図] | 木曽駒ヶ岳(1/25000) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[装備] | ピッケル、アイゼン、ヘルメット |