金華山(きんかざん                                    [美濃] 329m

 

 金華山の山中にはツブラジイの樹が多く自生していて、その花が金色に輝くように見えることから金華山の名前が付けられたと言われている。シイの花が咲くのはちょうど今。金華山に登るのは 、金華山がまさしく金華山であるこの時期こそベストなのである。

岐阜公園から金華山を見上げる
(黄色がかって見えるのがシイの花)

 

 久しぶりに公共交通機関を使っての山歩き。JRと岐阜バスを乗り継いで岐阜公園のバス停を降りると、すぐに目の前に金華山が現れる。
 なかなか凜々しく聳えていて、329mの標高よりも高く感じられる。そして山腹は見事に金華に彩られている。

 

登山口

 

 岐阜公園の総合案内所でハイキングマップをもらい、園内を抜けて山裾の登山口へ。今回は山慣れていない友人2名が同行者なので、初心者コースの「めい想の小径(水手道)」を登る。距離は長いが、傾斜が緩やからしい。
 舗装された園路はすぐに終わり、ジグザグの山道になる。整備はされているのだが、所々岩が出ていて歩きにくい。
 見上げると樹冠の切れ間からシイの黄色い花がワサワサと密集して咲いているのが見える。 綺麗な花びらを持つわけではなく、どちらかと言えば地味な花なのだが、これだけまとまって咲くと金の花(華)に見えなくもない。

 

シイの花

 

 ひと登りすると広場があり、背丈ほどもある大岩と伊奈波神社旧跡と彫られた石柱が立っている。今は金華山の麓にある伊奈波神社は城の守り神として、もとはここに建っていたらしい。
 大きな岩はチャートでそばの解説板によれば、古生代のプランクトンのガラス質の殻が固まったもので非常に固く、金華山はこのチャートの岩山であるために 雨風の浸食から残ったらしい。
 この広場で急登が続く馬の背道が分岐し、めい想の小道は山腹を巻いていく。
 

チャートの大岩と伊奈波神社旧跡の碑

 

岩と木の根の道

 左手は長良川に落ちていく急な斜面の巻き道がしばらく続き、中間地点を過ぎると、小さな沢に沿って再び上りになる。木の根と岩が絡んで登りにくい。
 ゴールデンウィーク真っ只中ということで、ハイカーは非常に多い。おなじみの高齢者はもちろん、親子連れ、カップル、若者グループなどなど様々な人々が歩いている。 スローペースの我々をいろいろなグループがどんどん追い抜いていく。

 

天守が近づいてきた

 

モチツツジ

 尾根に出ると急に展望が開け、眼下に長良川や市街地を見下ろすことができる。長良橋の対岸に昨年訪れた岐阜メモリアルセンターの建物や野球場などがよく見える。振り返ると山頂の天守が大きくなってきた。

 ここからは岩尾根になり、日射しの照りつけるなか、急な道を喘ぎながら登る。そして、最後の階段を登り切ったらそこはいきなり観光地だった。

 

岐阜城天守から市街地と長良川を見下ろす

 

 南北に細長い金華山の山頂の一番北の端に登り着いたのだが、あたりは休憩する人があちこちで座り込み、 座る場所を探して立ち尽くす人、その間を通り抜けようとする人などでごった返している。目の前に天守があるのだが、そこの入り口には入場者の行列ができている。
 それでも天守に登ってみるとさすがに眺めは良い。岐阜の市街地の向こうには取り囲むように養老の山並みや伊吹山が立ち並び、振り返るとぼんやり霞んだ御嶽も見える。
 南側は広大な濃尾平野が広がり、名古屋駅前のビル群もよく見える。信長がこの地を欲しがったのが分かる気がする。

 

南北に細長い金華山山頂

 

シイに埋め尽くされた南東側の谷

岐阜城天守を振り返る

 

 天守を下りて展望台レストランに向かうがどこもすごい人。外国人も多く、中国語、韓国語などが飛び交っている。
 レストランとカフェの前も行列で、ここで小腹を満たそうかと考えていたのだが、即あきらめる。仕方ないので取りあえずレストランの屋上の展望台に上ってみるが、ここも高校生の団体などで落ち着ける場所ではない。
 この展望台からの眺めも天守にひけを取らないくらい素晴らしいが、日射しが暑くて長居はできない。

 

展望レストランから南に続く尾根

 

 展望台レストランを過ぎた先に長い行列ができていて、何かと思えば下りのロープウェイを待つ人々だった。確かに登山道を登ってきたハイカーだけではこんな混雑にはならない。ほとんどはロープウェイで上がってきた観光客 だったのだ。
 同行の二人は足腰が不調なのでロープウェイで降りることになり、自分は売店でみたらし団子2本を食べてエネルギー補給をし、当初の予定通り百曲り登山道を下ることにする。

 

百曲り登山道の下り口

 

 百曲り登山道の下り口はロープウェイ駅とリス村の間にあり、人混みがすごくて標識がないと分かりづらい。下りはじめに木製の階段があるが、その先はすぐ山道になる。
 百曲り登山道も所々岩が出ているがめい想の小道よりも歩きやすい感じだ。ただ、展望はほとんど無く、ただひたすらに下ることになる。こちらを登ってくるハイカーもいるが、時間的なこともあるのか下山していく人の方が多い気がする。
 ほとんどノンストップで30分かからずに下ったが、さすがにロープウェイの方が少し早く、山麓駅近くの池の端で合流した。

 

新緑が美しい岐阜公園の池

 

 今日はここからが本番のようなもので、バスで岐阜駅に戻り駅ビルで酒宴となる。下山後のビールは格別で話しも弾むが、ランチタイムの営業時間が終わってしまい、盛り上がったところでお開きになってしまった。 

金華山ルートマップ


[山行日] 2024/5/3(金・祝)
[天気] 快晴            
[アプローチ] JR岡崎 8:45 →(新快速)→ 9:36 岐阜 →(岐阜バス)→ 岐阜公園歴史博物館前
 
[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:35 10:20 めい想の小道登山口    
10:35 馬の背登山道分岐    
10:55 中間点 0:05  
0:40 11:00  
11:40 金華山山頂 0:45  
0:25 12:25  
12:50 百曲り登山道登山口   全行動時間
1:40     0:50 2:30