友人から「娘が山に登りたいと言っている。」との話があった。友人の娘さん（kohさん）はまだ小学一年生。ネットで調べると山歩きを始める時期は小学校の高学年が望ましいとあったので、 「もう少し歩きがしっかりしてからの方がいいのでは。」と答えたがどうも待てないらしい。
　再度調べると小学校低学年でも登れる、という山がいくつか見つかった。でこぼこのある山道をちゃんと歩けるか心配ではあるが、とりあえず友人の家から近い各務原権現山に登 ってみることにした。

　登山口の伊吹の滝の駐車場はほぼ満車。なんとか隙間を見つけて車を止める。予想外に人気のある山らしい。近頃は低山歩きがブームのようだ。

　山裾に不動明王のお堂があり、その右手にやや人工的な伊吹の滝が一筋落ちている。登山口はお堂の左手にある。

　歩き始めは樹林の中の急斜面をジグザグに登っていく。道幅は広いが傾斜は急で、階段も多い。路面には岩も出ていて、kohさんから目が離せない。
　まだ歩きの加減が分からず、大人と同じくらいの早さで登ってすぐに疲れてしまう。念のために持っていったストックを使いたがるので、短くセットして渡すと少しご機嫌。 ストックの使い方はいい加減だが、歩きの手助けにはなるようだ。
　猛暑は一段落ついたものの今日は陽が射して暑いので、背中に汗をかかないようザックは持ってあげる。水筒は別なのでザックの中身はお菓子くらい。ほとんど重さは無い。 水筒だけは最後まで自分で持っていた。
　下ってくる人に褒められ、休み休みながら順調に高度を稼ぎ、稜線まで上がることができた。

展望台

　稜線を右手に少し進むと第一目標の展望台に到着。東屋になっていてベンチもある。南側は広く濃尾平野が広がっていて、眺めがいい。木曽三川公園の138タワーはもちろん、遠く名古屋の高層ビル群もよく見える。
天気が良く見晴らしが利くので初めての山登りにはもってこいの日和。東屋の日陰は涼しい風が通る。
　歩くのが嫌になったらここから帰ってもいいと考えていたが、その心配はなさそうだ。お菓子を食べて元気回復。

　展望台からはしばらくなだらかな稜線歩き。しかし所々下りもあるので気が抜けない。下りで転びやすいのは前回の山行で自ら証明済み。やはり目一杯頑張ってしまい、ゆっくり歩かせるのは難しい。
　周りの樹木の背が低くなってきて、少し暑くなって来た頃に分岐に到着。ここから山頂までは距離は短いが急な階段や岩場が続く。

　下調べで最後に急登があることは分かっていたが、見上げてみると予想以上に急な登りだ。上に行くほど勾配がきつくなる登山道が、真っ直ぐ空に延びている。
　岩場なので転んだら怪我は免れないので、慎重の上にも慎重に登っていく。土留めの役目もしている階段が何カ所もあるが、段差が大きくて子どもには目一杯だ。足を置く場所を教えながら時間を掛けて登り切る。

　階段の最後に鳥居があり、それをくぐるとすぐに山頂。振り返ると濃尾平野が広がり、先ほどの展望台以上に眺めがいい。
　山頂には休憩所が建っていて中にベンチもあるが、既にハイカーが使っていたので休憩所横の日陰に腰掛けてお昼にする。
　友人親子は途中のコンビニでおにぎりを買ってきたが、ここで秘密兵器のカップヌードルを出す。予想通り目を輝かせたので、kohさんに半分分けてあげる。
　初めての山登りで山が嫌いになってしまってはまずいので、絶対に喜んでもらえるだとうと持ってきたのだが大当たりだった。きっとこのカップヌードルだけは記憶に残るだろう。

　山頂では北側の展望も開け、すぐ北に��賀三山の大きな塊が横たわっている。設置された展望写真と照らし合わせると御嶽山は雲の中のようで、裾野だけみえている。写真によれば乗鞍岳や北アルプスの笠ヶ岳、白山の別山などもみえるらしい。

　さて、コーヒーも飲み終わり、同じ道を下山することになるのだが、下山の方が一段と気を遣う。特に最初の急な岩場は前になり、横に着きして足場を示しながらゆっくり下る。運動靴なので靴裏の溝が浅く、滑りやすくて一度滑って尻餅をついたが、大事には至らなくてホッとした。
　何とか分岐まで下り、稜線の緩やかな道になって少し安心。
　途中の「鐘のある展望岩場」で鉄管の鐘を叩き、同じくらいの高さの岐阜城を眺める。

　展望台でもゆっくり休憩し、最後のジグザグの下り。階段の段差が大きいのでここも苦労するが、ストックの使い方に少し慣れてきて、歩きが安定してきたのが心強い。
　登りと同じくらいの時間を掛けて、無事下山。伊吹の滝の前ではkohさんの満足げな表情が見られて良かった。