東赤石山( ひがしあかいしやま/1706m)、西赤石山(にしあかいしやま/1626m) [四国] |
筏津から登り始めたら、じきに雨が落ちてきた。今日は予報は晴れだが大気が不安定で、山沿いでは昼前から降るかもしれないとのことだったが、少し早すぎる。 登山道の脇に朱色のツツジが咲いている。ヤマツツジに似ているが、三枚の葉が輪生する東海地方では見られないオンツツジだ。少し気分が明るくなる。 |
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筏津登山口の休憩所、登山道は右手奥 |
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オンツツジ
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瀬場谷分岐手前の橋 |
植林地を行くと、右手の木々の間に八間滝が見下ろせ、その先で瀬場谷を渡る。谷は深く水は澄んでいて、陽射しがあればさぞ綺麗だろう。
丸木橋を渡ると分岐になる。
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山腹の道はどんどん標高が上がり、背後の山が競り上がってくる。ふと見上げると見慣れた形の葉っぱがある。ええっ、ブナ?四国にもブナがあるのか!九州にもあるのだから、四国に生えていてもおかしくはないのだが、ちょっと意外な感じがする。 |
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自然環境保全地域の看板から上は明るい林
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林は気分が良くなったが、足元は岩がごろごろしていて、歩きにくい。 足元にツツジの花が落ちている。周りはミツバツツジが多いようだが、もう花期は終わっているようだ。と思っていたら、標高が上がるにつれて咲き残っていたものが現れてきた。ミツバツツジは種類が多くて同定が難しいので、識別のポイントになる子房の毛の状態を記録しておいて下山後に調べることにする。(どうやらアワノミツバツツジみたいだった。) |
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ヒカゲツツジ
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隣りの西赤石山はアケボノツツジの名所として知られているので、こちらにもあるだろうを思っていたら、もう少し高いところに咲き残っていた。 |
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アワノミツバツツジ
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笹ヶ峰(左奥)とアケボノツツジ
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アケボノツツジ
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見上げると木々の梢に上に、岩峰が雲をバックに聳えている。この高度感はちょっとスケールは小さいが、早池峰山を見上げた時と似ている。背後の雲は薄黒く、「もうここから動かんもんね」という椎名誠的な雰囲気を出している。
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まだまだ山頂は遠そうだと思っていたが、何とか、東赤石山の巻き道に上がり、少し左に行くと標識の立つ分岐に着いた。ここで瀬場谷を登って赤石山荘の近くを通ってくる道と合流 する。自分が登って来たルートの方がコースタイムは短いのだが、下の分岐で分かれた単独行者はもう登っていっただろうか。
ここからは岩だらけの道を急登する。岩だらけの斜面に背の低いヒノキがたくさん生えているのが変な感じ。 |
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ヒノキの間を登っていく
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雲が低く、もやっていて遠望は利かない。眼下には新居浜の市街地を挟んで瀬戸内海が広がっているはずなのだが、海岸線がぼんやりと見える程度だ。1700m峰から海を見下ろすなんて、利尻みたいではないかと期待していたのだが、残念!
しばらくして、下で分かれた年配の方が登って来た。大阪から来て、昨日は三嶺に登ったそうでお元気な方だ。促されて稜線を少し先に進んだ東峰まで行ってみたが、三嶺の方角は霞んで見えなかった。東峰の
南側の崖はかなり急で、こちらの方が高度感がある。 |
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東赤石山山頂から八巻山方面
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パンをかじっていたら、海側からガスが流れてきてあっという間に視界が閉ざされてしまった。鞍部をかなりの勢いでガスが流れていく。ここからは稜線伝いに八巻山の岩場を抜けて西赤石山に向かう予定だったが、風の吹く岩の稜線は怖い。雨も降りそうだし、取りあえず 一旦巻き道まで下り、赤石山荘まで行って考えることにする。 |
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イシヅチザクラ
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赤石山荘付近から見上げる八巻山
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赤石山荘
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標識分岐まで降りて、巻き道を赤石山荘に向かって辿る。右手の頭上には八巻山の岩峰が聳える。 赤石山荘に着いて、下ろうか進もうか迷っていたら、雲の間から一筋の光が届いて山荘の白い壁を輝かせた。これは行けということだなと思って気を取り直し、西赤石山に向かうべく石室越の登りにかかる。 |
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ホシガラス
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前赤石山の山腹をトラバースする
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岩の丸い模様 |
石室越を越すと少し下りになり前赤石山のトラバースになる。ちょっと見にはどこがルートかと思うほどの岩場だが、そこそこスタンスはある。ただ岩場なのでルートが分かりにくく、最後のところで見失い藪を分けて無理やり稜線に戻った。地衣類の一種かと思うのだが、岩の表面に丸い模様になっていて、これがルートのペイントに見えてしまって困る。 |
物住頭を越えたあたりで、とうとう雨が降り始めてしまった。西赤石山までは降らないでいて欲しかったけど、まあ、仕方ないね。 ガスに包まれた西赤石山山頂は思いもよらず、登山者で賑わっていた。ウィークデイでこんな天気なのに、アケボノツツジのために登山者が多いのだろうかと思ったのだが、聞いてみると高知から来た10数人のひとつのグループだった。このグループとは後先になりながら、日浦の登山口まで一緒だった。 |
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西赤石山山頂
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西赤石山山頂から見下ろす稜線
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アケボノツツジが花盛り
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西赤石山のアケボノツツジは山頂から北に下った兜岩あたりが多いらしいのだが、銅山越に下る主稜線にもたくさん咲いていた。 |
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ダイセンミツバツツジ
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ツガザクラ
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銅山越への明るい稜線を下る
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銅山越の地蔵 |
花火のようなアセビの若葉
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銅山越からは南側の足谷川に沿って下っていく。この谷の周辺は元禄から大正にかけての別子銅山の遺構が数多く残っている。山の北側には東平(とうなる)と呼ばれる銅鉱精錬所の近代化遺産があるが、この谷はそれ以前の遺構で、よくもまあこんな山奥に多くの人が住んで鉱山町をつくっていたものだと感心させられる。 |
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初期の主生産抗の歓喜抗の坑口
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右側は谷から石積みをして道を作っている
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急な足谷川の流れ
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橋で足谷川を渡る
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登山道はかつて鉱山を結ぶ道だったもので、石畳が残っており、道自体も谷から石積みをして平場を作っている。 ダイヤモンド水の水場で一休み。ここにはバイオトイレがあり、このトイレは用をたした後に便器の横にある自転車のペダルを20回ほど回して、おがくずを撹拌しなければならない。 |
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ダイヤモンド水の水場
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土木課倉庫(劇場)の石積み
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接待館のレンガ塀
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下り着いた日浦の登山口からは、昨夜デポしておいた折り畳み自転車で筏津登山口へ戻る。ずっと下りなので漕がなくても済むかと思っていたが、勾配が緩くなると止まってしまうので、やはり半分くらいはペダルを踏んだ。 |
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日浦登山口
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[山行日] | 2017/5/17( 水) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[天気] | 曇りのち雨 2017年5月の天気図(気象庁) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[アプローチ] | 1
6日 三島川之江IC
→(R11、R319、県道6号)→ 筏津登山口 [約33km] ・登山口から橋を渡った対岸に登山者用駐車場がある。15、6台駐車可。トイレなし。 ・筏津登山口には休憩所、トイレ、湧き水あり。 ・日浦登山口には駐車場(10台くらい)、トイレ(ペーパー有り)、水場あり。 |
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筏津登山口 登山者用駐車場 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[コースタイム] |
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[ガイドブック] |
「日本二百名山登山ガイド(下)」 山と渓谷社 新居浜市HP 赤石山系登山案内 |
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[温泉] |
別子温泉「天空の湯」 ・新居浜市立川町707-3 マインドピア別子内 ・日帰り温泉施設。 ・入浴料 500円。 ・露天風呂あり。 ・石鹸、シャンプー、ドライヤーあり。 |
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[風景印] |
別子局 (愛媛県新居浜市外山町18-12) ・図案
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