瓢ヶ岳(ふくべがたけ)                              [奥美濃] 1163

 

 初冬の展望を期待して高賀三山の瓢ヶ岳に向かう。もう白山は真っ白になっていることだろう。
 今年の秋はずっと暖かったが、ここ数日は一気に冷え込んできた。冬型の気圧配置が、東シナ海に発生した低気圧のために少し緩んだ。こんな時は北アルプスも吹雪が収まって 好天になるので展望がきくはずだ。

 明け方から上空は薄雲が広がっているが、名高速からは白い能郷白山が見え、幸先はいい。

ふくべのもり登山口の駐車場とトイレ

 

林道中美濃線をふくべのもりの登山口まで上がると、もやに沈んだ関市の市街地が見下ろせる。遥かに遠く山並みが見え、帰宅後調べたら三ヶ根山だった。すると、くっきり晴れればその手前の平野の中に自分の家が見えることになる。

 林道に雪があるかもしれないと思い、昨日スタッドレスタイヤに履き替えてきたが、雪の気配はない。これなら林道をさらに進んで稜線上の中美濃登山口から登ればすぐに山頂に行けてしまうが、まあ、せっかくだから ここから登ることにしよう。

モヤの中の関市

 

 駐車場のすぐ近くに登山口があり、案内板が立っている。登山道は雑木の山腹を登っていく。岩の多い道で、岩を並べなおして階段状にしてあるところもある。

 沢を渡ると左から道が合流する。ガイドブックに登山口が二ヶ所あると書いてあったので、そちらからの道と思われる。
 木々の葉はほとんど落ちてしまっていて、林の中は明るい。わずかに聞こえたのはミソサザイの声か。

岩の多い登山道

 

 なおも登るとまた分岐になる。右手に行くのは岩屋不動に続く踏み跡と思われるが、標識はない。この辺りから周りは針葉樹の植林地になる。
 間伐されたものが散乱していて荒れた雰囲気があるが、伐り残された杉はそこそこの太さで、経済的には成り立ちそうな林だ。
 次第に周りに雪が現れ始め、暗い林の中をまだらに白く染めている。

植林地を登る

 

 植林地を登りきると稜線上の骨ヶ平にでる。約1時間かかった。北の方角には木立を透かして白い峰がチラチラみえるが、展望は山頂での楽しみにしておく。
 ここから山頂へは稜線の道になる。今年の台風によるものか桧や雑木の倒木が何本も登山道の上に横たわっている。根こそぎ倒れているのは、山が岩がちで土壌が浅い ためだろう。潜ったり跨いだり、笹薮を掻き分けたりと忙しい。

 少し下り、長い丸太階段を登り詰めると山頂は目前。分岐を右折し、ミズナラ林が切れると一気に展望が広がる。おーっ!思わず声が出てしまう。

稜線上は倒木が多い

 

白山 (左から三ノ峰、別山、御前峰)

 

笠ヶ岳 (左側後方は双六や三俣蓮華)

 

槍穂連峰 乗鞍岳

 

御岳

 

中央アルプス (空木、南駒方面)

南アルプス (悪沢、赤石、聖)

 

恵那山 (右手手前は笠置山)

 

 上空には朝からの薄雲が広がっているが、遠くの山々は良く見える。白山は予想していたが、右手には北アルプスの白い峰も連なっている。今年の夏 に登った穂高も良く見え、奥穂、前穂が懐かしい。目を凝らすと槍ヶ岳の黒い穂先も見える。
 さらに右手には乗鞍、御岳が蒼い山並みの上に広がり、なおも右手に中央アルプスや南アルプスもシルエットになって連なっている。一番右手は恵那山が締めている。いや〜、ホントにすごいなあ。
 ひょっとしたら富士山も、と思い、スマホの展望ソフトで調べてみたが、さすがに富士山は見えていなかった。

 

 振り返って西側を眺めると奥美濃の山々が広がり、お隣に高賀三山の最高峰である高賀山が並んでいる。
 高賀山に登ったのはもう30年近く前になるが、その時は山頂からはほとんど何も見えなかった。それが木立が繁っていたためか、雪曇りの天候のせいなのか記憶がないが、今は山頂附近が刈り払われて、展望がいい山 になっているらしい。

 高賀山の右手には平家岳と滝波山が並び、そのさらに右手遠くにはこれも昔、新緑の頃に登った越前の経ヶ岳が見える。

高賀山

 

能郷白山
 
高賀山の右手に平家岳、滝波山、右端奥に経ヶ岳

 

 山頂は南側以外は開けていて、風があるとさぞ寒いだろうが、今日は穏やかでありがたい。のんびりとカップラーメンとパンの昼食。コーヒーもゆっくり味わう。

 ふと、山頂の一角の「剱岳」と書かれた矢印に気付く。矢印は北の方角を向いている。北アルプスの剱が見えるのだろうか。そう思ってよく見ると、川上 (かおれ)岳の左肩に白い山が覗いている。あれが剱だろうか。スマホの展望ソフトで調べてみると剱ではなく大日岳だった。ということは、もう少し右か。すると川上岳の上にわずかに白い点が見える。あれかもしれない。しかし、スマホの展望図では小さな三角が川上岳の上に描かれている だけで山名が出ていない。う〜ん、何とも言えない。こんな日は双眼鏡が要るなあ。
 帰ってからカシミールの展望図で調べてみたら、やはりこの白い点が剱岳だった。写真を撮ったが、手前の枝に邪魔されて上手く写っていなかったのが残念。

 

瓢ヶ岳山頂

 

川上岳の左にのぞく大日岳
右の枝の間にわずかに見える白い点が剱岳

 下山は同行のNom君の意見で稜線伝いに高賀山の方向に進み、稜線まで上がってきている林道経由で帰ることにする。

 ミズナラやリョウブ、ブナなどの落葉樹林に囲まれた気持ちのいい稜線の道を少し進むと、山頂では見られなかった南側の展望が開けてくる。奥瓢という小さな標識が大岩のそばに立っている。
 前方に伊吹山や養老山地が眺められ、左手に鈴鹿の山並みがシルエットになって連なっている。青く霞む濃尾平野の向うには白く水面が輝いている。海?伊勢湾だろか。意外な近さに驚く。

 

奥瓢から遠く海が見える。伊勢湾か?

 

稜線の道

 主稜線から北に延びる支尾根を少し下ったところで宮奥コースの道を分け、少し山腹を巻きながらなおも下るとポンと林道に出る。
 こちらの登山口には郡上市が立てた案内板が立っている。この林道中美濃線を北西に進むと高賀山の近くまで行けるようだが、車止めが置かれて、ここから先は通行止めになっている。

 あとは林道を下るだけ。舗装道路で少々膝がつらいが、手入れがされた植林地を見ながらのんびりと駐車場まで戻る。(車を止めた駐車場の手前にさらに大きな駐車場と休憩所があり、ここにも登山口があった。)

林道中美濃線にでる。右が登山道入り口。

 

瓢ヶ岳ルートマップ


[山行日] 2018/12/11(火)
[天気] 高曇り     2018年12月の天気図(気象庁)
[アプローチ]

東海北陸道・美濃IC ( 県道81号) 美濃市片知 (林道)→ ふくべのもり登山口    [約19km]  
・7〜8台駐車可。トイレ有り(但し冬季閉鎖)
・少し先にもっと大きな駐車場と休憩所がある。そちらにも登山口がある。

[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
1:00 9:40 ふくべのもり駐車場(710m) 発    
10:10 分岐    
10:40 骨ヶ平 0:05  
0:25 10:45  
11:10 瓢ヶ岳山頂(1162.6m) 0:50  
1:30 12:00  
12:40 中美濃林道    
13:30 ふくべのもり駐車場 着   全行動時間
2:55     0:55 3:50
登り 1:25        
下り 1:30        
 
[地図] 苅安 (1/25000)

 

[温泉]

武芸川温泉  <関市武芸川町八幡1558-7>
・日帰り温泉施設。630円。この料金で岩盤浴も利用できる。食堂もあり。
・広い浴槽。かなり収容できそう。
・露天風呂も広い。