藤原岳(ふじわらだけ)                             [鈴鹿] 1140m 

  

 同業のNom君に誘われて、Kawさんと3人で藤原岳に登ることになった。
 Nom君は昨年から山に目覚め、最近は百名山に登りたいと言い始めた。登りたい盛りの時期であるのは良く分かるので、誘われるまま同行することになった。Nom君とKawさんは昨年、猿投山や竜ヶ岳などに一緒に登っているが、自分は一緒に登るのは初めて。さてどうなることか。

 大貝戸登山口に到着したのは9時過ぎ。平日にもかかわらず、既に登山センターの駐車場は満車状態。さすが、花の百名山。早春の花が目当ての登山者が多いようだ。
 今年は寒い冬から急に暖かくなり、桜はあっという間に咲いて散ってしまったが、山の花はどうだろうか。

登山口の神武神社

 

 登山口の神武神社に登山の無事をお願いしてから横の登山道を登り始める。
 初めて一緒に登るので、どういう順番で登るのかと思っていたら、Kawさんは「すぐばてるから」と言って、どんどん先に登っていってしまう。自分は写真を撮りながらなのでNom君に先に行ってもらう。ということで順番は決まったが、KawさんもNom君も脚が早い。こちらはいつも通り息が切れないようにゆるゆると登っているので、みるみる距離が離れ、二人の姿は杉林の中に消えてしまった。
 こりゃ、ついていくのは大変だぞオ。

コツクバネウツギ

 

 KawさんとNom君は二合目、四合目などのポイントで休みながら待っていてくれるので、その度に追いつきはするのだが、歩き始めるとすぐにまた置いて行かれてしまう。それなりに速く登ろうとは思うのだが、無理は効かない。まあ、知った道だからゆっくり行こう。Nom君は初めての藤原だが、Kawさんは登ったことがあるようだし、一本道だから迷うこともないだろう。
 花はあまり目につかないが足元にはキランソウ、ミヤマカタバミなどがポツポツと咲いている。

ミヤマカタバミ

 

 藤原岳に登るのは4回目になる。最初に登ったのは就職して間もない1981年のことで、職場の人に誘われてフクジュソウ詣でに来たが、雪が多くて山頂まで行けなかった。調べてみたら今日と同じ4月12日だった。

 翌年の1月に初めて山頂を踏み、3回目は3年前の2月。この時はスノーシューで天狗岳に登った。よく考えるとあまりいい季節には登っていないが、まあ、花を見るなら今がいい時期なんだろう。

四合目付近のミズナラの新緑

 

 八合目で大休止。聖宝寺からの道と合流する。
 八合目から九合目へは、積雪期は雪崩のない樹林の中を直登するが、無雪期は右手の明るい斜面をジグザグに登っていく。この辺りからフクジュソウが姿を見せ始める。急に人が増えた感じで、花の写真を撮っている人が多い。
 小さな花で目立たないが、ヒロハアマナ、ネコノメソウの仲間、トウゴクサバノオなどが咲いている。

八合目、コバイケイソウ群落

 

フクジュソウ

 

ヒロハノアマナ

 

ハナネコノメ

 

キバナノアマナ

 

 昔もこの辺りでフクジュソウを見たように思うが、もっとたくさん咲いていたような気がする。今年はもう時期が遅いのか、それとも花が減ってしまったのか。そのあたりは良く分からない。
 Nom君は花には興味はないらしく、どんどん先に行ってしまうが、Kawさんはペースを落として花を見ながら登っていく。

 九合目から上にもフクジュソウは咲いているが、やはり数は多くない。

九合目で展望が開ける

 

 藤原山荘まで登るとやっと山頂が見えてくる。昔は山頂のピークを展望丘と言っていたような気がする。少し風当たりが強くなった。そこそこいい時間であるが、山頂まで登って昼飯にすることにする。

 広い山頂部は疎林状態でまだ冬のような裸木が立っている。緑色をしているのはアセビだけだ。大きなものは3m以上の高さがあり、いっぱいに花をつけている。
 最後の登りは草地に変わるが、ひとに踏まれたところがぬかるみの裸地になってしまっていて痛々しい。

トイレの向うに藤原岳山頂

 

アセビの大木

 

山頂間近(背後が山荘のあるピーク)

 

 山頂ピークに立つとやっと鈴鹿の山並みが見渡せるが、今日はモヤっていて遠望は利かない。
 振り返ると、藤原岳の山頂部の広さが良く分かる。なだらかな丘が続き、広々とした風景は気分も晴れ晴れする。空も広い。
 花の時期もいいが、やはり積雪期にスノーシューかスキーで自在に歩き回るのがいい山だと思う。

 

山頂にて

 

山頂から東側の丘、すぐ先はもう採石場

 

 今日もカップの出前一丁を食べながらふと目の前の灌木の根元を見ると、枯草の中にミノコバイモが咲いていた。田中澄江が藤原岳を花の百名山に加える理由のひとつにした花だ。
 だが、小さな花で地味で全く目立たない。興味がない者には目に入らないような花だが、花好きにはわざわざ1100mを登る気にさせる花、ということか。
 山頂一帯でも石灰岩の間を下を向いて歩きまわっているグループが何組もある。

ミノコバイモ(アワコバイモ)

 

天狗岩の向うに御池岳

山荘裏のカレンフェルト

 

 藤原山荘まで戻ってきたが、もう一度休みをとってコーヒーブレイク。登って来た時よりも人が増えて賑やかになっている。下山者が多いが、まだ登ってくる人もいる。

 天狗岳への道も面白そうだが、本日は少々寒いしここまで。下山にかかることにする。

オニシバリ

 

 下山もKawさんが早い。あっという間に姿が見えなくなる。Nom君も自分が花の写真を撮っている間に距離が開いてしまう。まあ、登りのようにどこかで待っていてくれるだろう、と思っていたが、八合目にも四合目にもいない。
 登山口には休憩所があるので、座るところはあるが、あまり待たせては悪いので、こちらも休まずに歩く。結局、一度も休まずに下ることになって登りよりも疲れた。

 降りてから聞くと、Nom君は10分前、Kawさんはもっと前に着いたと言う。いや〜、脚力のなさを痛感されられるなあ。

ヤマザクラ

 

 

藤原岳2 ルートマップ


[山行日] 2018/4/12(木)
[天気] 高曇り   2018年4月の天気図(気象庁)
[アプローチ] 新名神・東員IC (R365号、R306号 ) → 大貝戸登山口駐車場     [約17km]
      
・20数台駐車可能。
・登山者用休憩所があり、トイレ、靴洗い場など完備。
[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
1:30 9:35 大貝戸登山口駐車場(140m) 出発    
11:05 八合目(830m) 0:10  
0:45 11:15  
12:00 藤原山荘(1090m) 0:05  
0:15 12:05  
12:20 藤原岳山頂(1140m) 0:30  
0:20 12:50  
13:10 藤原山荘 0:25  
1:30 13:35  
15:05 大貝戸登山口駐車場 到着   全行動時間
4:20     1:10 5:30
登り 2:30        
下り 1:50        
 
[地図] 篠立、竜ヶ岳(1/25000)