大日ヶ岳( だいにちがたけ、1709m 天狗山(てんぐやま、1659m                     [白山周辺] 

 

 大日ヶ岳に登るのは1985年以来2回目。前回は4月でひるがの高原から残雪を踏んで登った。
 当時はまだ東海北陸自動車道は開通しておらず、「ひるがの」は「蛭ヶ野」と書かれる時代で、国道156号をひたすら北上してたどり着くところだった。もちろん日帰りでは登れず、 高原の民宿に一泊しての登山だった。天気が良く真っ白な白山、別山が印象的で、残雪期の山の楽しさを満喫した。
 あれから33年。今ではスキー場のゴンドラに乗れば山頂近くまで上がれるようになり、積雪期には天狗山まで稜線歩きをするのが定番らしい。ということなら、らくちん 登山で雪の稜線を楽しんで来よう。

 高鷲スノーパークのインフォメーションで登山届を出し、ゴンドラのチケットを買う。1200円也。山頂駅で係員にチケットを渡してくださいと言われた。下る時は無料ということらしい。
 平日だが春休みなので若者のグループが多く、かなり賑わっている。スキー場に来るのは久しぶりで、ゴンドラからゲレンデを見ると、9割くらいがスノーボーダーである。
 休日で家族連れが多いと多少は構成比が変わるのかもしれないが、それにしても世の中変わったものだ。「わたしをスキーに連れてって」という時代ではないのだ。

最初はブナとミズナラの林

 

 ゴンドラ山頂駅の右手にカフェの建物があり、その横の網の切れ目を抜けてバックカントリーに出る。
 スパッツを履き、アイゼンを付けて出発。最初は林の斜面を登っていく。雪はよく締まっていてつぼ足でも沈まない。スノーシューも車に積んできたのだが、まあ大丈夫だろうと置いてきたが、正解だった。

 すぐに稜線に出て、前大日が見えてくる。前大日の最初の登りは短いけれど今日の行程の中では一番急。南斜面で雪が緩んでいて、アイゼンが効かずにずり落ちることもある。

前大日

 

前大日の急登の上からゲレンデのカフェ(左)を見下ろす

 

 急登を登り切って少し進むと今度は大日ヶ岳が目の前に迫る。山頂直下から雪がずり落ちかけていて、雪庇も一部崩れている。昨日から急に暖かくなり、融雪が進んでいるのだろう。 そう言えば、なだれ注意報が出ていた。

 少し危ないかもしれないと思いながら登っていったが、ひと登りした肩までくると、稜線は十分広く、左から安全に回り込めることが分かりホッとした。

右のピークの奥が大日ヶ岳

 

大日岳山頂から天狗山への稜線

 

 登り詰めた大日ヶ岳の山頂はだだっ広く、展望は360度。ぽつんと石の標柱が雪面から頭を出している。

 正面には真っ白な白山。別山とセットで双耳峰のように見える。その白山に向かって、これから歩く稜線が廊下のように続いている。そこを歩くことを想像するだけで気分が高揚し、思わず声を出したくなるくらい爽快だ。

埋もれた標柱

 

鎌ヶ峰と右手遠く荒島岳(帰りに撮影)

小白山(左)、野伏ヶ岳(右)

 

 白山の左右にも白い峰々が続いているが、残念ながら同定しきれない。わずかに分かるのは自分の好きな石徹白の野伏ヶ岳。地すべりした山腹がカールのようでカッコいい。その左手には荒島岳が霞んでいる。さらに左手の能郷白山はもっと霞んでいる。能郷白山のなおも左手の白い山が気になるが何だかわからない。(帰って調べたら平家岳だった。)
 白山の右手には山並みの中に三方岩岳や三方崩岳などがあるのだろうが、さっぱり分からない。背後の北アルプス、乗鞍岳、御岳はぼんやりと春霞の中に霞んで、 何となくその存在が分かる程度だ。
 

 山頂には三人のハイカーが座って白山を眺めていたが、その横を抜け、天狗山への稜線に踏み込む。

 ここの稜線も広く、雪庇は出ているが危険はない。雪もしっかり締まっているが、日当たりのいいところはやや腐りかけ。
 右手には33年前に登ったひるがの高原からの郡界尾根が伸びている。ブナ林と雪原のバランスが良く、気持ちが良さそうだ。

ひるがの高原へ下る郡界尾根

 

 稜線は小さくうねりながら高度を下げていく。あまりにも快適で鼻歌がでるくらい。のんびりと景色を眺めながら歩く。
 鞍部から再び登りになるが、気分の良さが続き、あまり辛さはない。天狗山の方が大日ヶ岳よりも50m程低いので、往きよりも帰りの登り返しの方がしんどそうだ。

 左手を振り返ると鎌ヶ峰がかっこよく見える。桧峠から大日ヶ岳へ登る尾根道の上にあるピークで、大日の山頂からは荒々しい姿を見せていたが、こちらから見ると堂々とした貫禄のある山に見える。登ってみたくなる山だが、大日からのピストンを考えるとあちらの方がレベルが高そうだ。

大日ヶ岳を振り返る

 

 尾根上には最近は雪が降っていないのか、いろいろなトレースが残っている。アイゼン、スノーシュー、スキー、スノーボードの跡の他、キャタピラーのようなものまである。こんなところまでスノーモービルが登ってくるのだろうか。
 大日ヶ岳の山頂には無かったはずだがと思い、帰りに気を付けて歩いていたら、大日と天狗の間のピークから北東の尾根に下って行く跡が残っていた。ひるがの高原から林道を伝って登ってくるのだろう。身勝手とは思うが、静かな山で出くわしたらイヤだろうなと思う。

 

鎌ヶ峰

石徹白側の尾根模様

 

 天狗山は稜線上ののっぺりしたピークで、これといった特徴はない。スマホアプリの地図で三角点に到達したことを確認する。隣のピークは尖っていて、天狗の鼻と呼ばれているようだが、あちらの方が天狗山の名にふさわしい。

 山頂から北に派生する広い尾根がブナ林になっているので、少し下がって風当たりの少ないところでランチにする。正面は白山で贅沢な眺めだ。
 コンビニに最近気に入っている出前一丁のカップがなかったので、今日はチキンラーメン。ちょっと脂っこいのが残念。

天狗山山頂から隣のピーク(天狗の鼻)を望む

 

左から三ノ峰、別山、白山 (天狗山山頂から)

ブナの影

 

 ランチの最中に何やら飛行音がしたので見上げるとドローンが飛んでいた。最近はテレビの山番組でもドローンの映像をよく見るが、山で飛んでいるのを見たのは初めてだ。
 ランチを終えて、帰りかけたら男女3人のパーティーが登って来た。雰囲気としてはガイドに女性客2人といった感じ。どうもこのガイドらしき人が飛ばしていた感じだ。客が歩く姿をサービスといて撮影していたのかもしれない。

 帰りは大日ヶ岳まで登り返しになるので大変かと思っていたが、それほどのことはなく戻ってこられた。再び山頂でコーヒーブレイク。最後の展望を楽しむ。

雪庇の稜線の奥に大日ヶ岳

 

大日ヶ岳南面

ブナの幹の周りは雪融けが早い

 

 前大日まで戻ってきて大日ヶ岳を振り返ると、朝とは陽射しの方向が変わって雪庇がはっきり見える。暖かいので雪のずり落ち具合が大きくなっている ように見えるのは、気のせいかだろうか。


 大日ヶ岳、天狗山ルートマップ


[山行日]   2018/3/13(火)
[天気] 快晴    2018年3月の天気図(気象庁)
[アプローチ]

東海北陸道 高鷲I.C. →(R152大門街道)→ 高鷲スノーパーク  [約11km]
・広大なスキー場の駐車場あり。駐車料金1,000円
・ゴンドラ登山券、1,200円

[コースタイム]
         
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:45 9:35 ゴンドラ山頂駅(1520m)    
10:20 大日ヶ岳山頂(1709.0m) 0:05  
0:35 10:25  
11:00 天狗山山頂(1658.5m) 0:40  
0:50 11:40  
12:30 大日ヶ岳山頂 0:25  
0:30 12:55  
13:25 ゴンドラ山頂駅   全行動時間
2:40     1:10 3:50
1:20        
1:20        
 
[地図] 石徹白、二ノ峰(1/25000)
[装備] 12本爪アイゼン、ダブルストック

 

[温泉]

湯の平温泉
・高鷲IC近くにある日帰り温泉。
・入浴料600円。(JAF会員割引100円)
・ボディソープ、シャンプーあり。
・浴室はさほど広くない。
・露天風呂あり。広くて気分がいい。一部屋根あり。

[風景印] 高鷲局
 (岐阜県郡上市高鷲町大鷲743-1)

・図案
  大日ヶ岳、スキー、ミズバショウ