明けましておめでとうございます。
昨年末、当院にとって大きな出来事がありました。
くっくの永眠です。
くっくは肺に癌ができ、治すことのできない病気でした。
その治療の中で、獣医師から飼い主という立場にもなり、
幸せな最後をむかえさせてあげる難しさを感じました。
呼吸が苦しい子には酸素吸入が有用ですが、慣れないケージ内で過ごさないといけません。
暖かい家の中に入れてあげたいですが、今まで外で暮らしてきた子には緊張やストレスを与えてしまいます。
最後の最後は安楽死を選択する場合もありますが、意識のある子では躊躇してしまいます。
咳から始まって一週間。
食べられなくなり、歩けなくなり、
最後の一晩は寝ることもままならない苦しい呼吸状態で過ごしたくっく。
翌朝、少し目を離した間に亡くなりました。
もっと早く気づいてあげられなかったこと、
最後の瞬間に付き添って看取ってあげられなかったこと、
安楽死を決断できず最後まで苦しい思いをさせてしまったことなど、
いくつも後悔が残っています。
しかし、亡くなったくっくには最後に「ごめんね」ではなく「ありがとう」とつたえました。
もしかするとつらい姿を見せないためにこのタイミングで亡くなったのかもしれません。
そして、くっくの闘病をとおして、飼い主様の立場・気持ちを今まで以上に理解することができました。「くっく ありがとう!」
「ありがとう」は伝えたほうも伝えられたほうも幸せにする言葉だと思います。
本年も、たくさん「ありがとう」の言える、言われる年にしていければと思います。
2020年、新しい年も、スタッフ一同よろしくお願いいたします。
2020年1月 千塚どうぶつ病院院長 稲葉祐次