KT66 UL接続 Quad-II´型プッシュプル・パワーアンプ 最大出力18W (2018年)

オーナー:福岡県 丸田さん

最大出力 (クリップ前) 18W
周波数特性 (-1dB) 6Hz〜30kHz
ひずみ率 (1kHz, 1W時) 0.03%
ダンピングファクタ (1kHz時) 12.5
残留ノイズ (補正なし) 0.2mV (最大出力とのSN比96dB)
入力感度 (最大出力時) 1.6V
回路図 電気的特性
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 「ラジオ技術」誌2018年12月号に掲載していただいたKT66 UL接続プッシュプル・パワーアンプです。2016年に発表した3極管接続版をリニューアルしてUL接続版として生まれ変わりました。
 このひとつ前に製作した6L6/6L6GC Quad-II´型アンプはビーム管接続でしたが、そのノウハウを生かしてUL接続に挑戦したものです。6L6/6L6GCアンプと同様に高い完成度に仕上がりました。滑らかできめが細かいと同時に堂々と鳴ります。
 2018年11月に可聴外高域の安定性を改善しました。音質にもよい影響があったようです。
 位相反転回路はQuad-II型を採用していますが、本家Quad-IIに備わる出力管カソードNFBは備えていません。その代わりとしてUL接続を採用しています。
 UL接続はカソードNFBと同様に出力管の内部抵抗を下げる働きがあるため、アンプの特性は本家Quad-IIと似たような傾向になります。
 もうひとつ本家と異なる点として、本機は微分補正を備えています。UL接続では出力管内部抵抗が本家ほど下がらないために高域にピークが発生します。このピークは微分補正によりうまく抑えることができます。
 本機は完全なQuad-II型ではないので「Quad-II´(ダッシュ)型」と自称しています。オーディオアンプの自作では必ずしもカソードNFBは必要ではなく、本機のような構成でも十分実用になります。
 Quad-II´型と本家では最大出力が違います。本家は25Wまで出せますが、ダッシュ型UL接続では18W、ダッシュ型3極管接続では9Wとなります。
 しかし家庭で使う分には最大出力の差を感じることはできません。なぜなら大音量を出しても1Wていどしか必要ないからです。瞬間的なキック音で3Wも出すと家の床や壁が振動するくらいのエネルギーになります。
 また最大出力が大きいからといって迫力が出るわけではないし、いい音が保証されるわけでもありません。ただし、日常用途の低出力時に広い周波数帯域で低ひずみを維持しやすいというメリットがあります。
 試聴したロシア製KT66、2種類は音の性格がかなり違います。廃止品種のGT KT66 HPは彫りの深い音、現行品種のGold Lion KT66は広帯域でスケール感のある音に聞こえました。
 6L6GCも使えます。旧ソ連製はどちらかというとメリハリがあり、旧Svetrana製は上品な統一感というところでした。
 本機ではEL34を使用対象外としますが、挿して鳴らすことはできます。最大出力手前でノッチングが現れるだけなので、日常用途なら問題ないでしょう。
 B電源の直流化をダイオードでなく整流管によって行うと、整流管の銘柄によって音質が影響を受けます。そこで写真の各種整流管を聴き比べてみました(雑誌未発表)。オリジナルMullard製との比較です。
●ロシア製復刻版Mullard GZ34---高域がやや強くてメリハリがつく。リアル志向。
●ロシア製Tungsol 5AR4---高域に浸透力がある。余韻が聴き取りやすい。
●ロシア製Sovtek 5AR4---こちらは現行製品。普通な印象。
●旧ソ連製Sovtek GZ34/5AR4---こちらは旧製品。ややキレが後退する。
●ロシア製Gold Lion U77/GZ34---現代のSovtek製と特には変わりない印象。
●スロバキア製JJ GZ34S---ロシア製のような強調感がない。音のきめが細かく上品で聴きやすい。
 ロシア製はどれもアメリカ市場を強く意識してメリハリのある音作りをしているような印象を持ちました。一方スロバキアのJJ製GZ34Sはロシア製と明らかに音が違い、伝統的なヨーロッパトーンを引き継いでいるかのように聞こえました。

 背面、左右入力端子の間にスライドスイッチがありますが、入力端子のアース処理を選択するものです。
 接続する機器に合わせて残留ノイズが一番小さい位置を選択できますが、それほど大きな差は出ないようです。

製作の詳細と実体配線図は「ラジオ技術」をご覧ください。


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