マンガン鉱山跡巻上機 探検: 北の細道 マンガン鉱山跡巻上機

マンガン鉱山跡巻上機
 − 林業から受け継がれた動力装置の系譜




栃木県某所

 巻上機(ウインチ)は、回転するドラムにワイヤーロープを巻き取り、
荷物を引き上げたり牽引したりする機械である。
本来は、専用の電動機・減速機・ドラムで構成され、荷役や運搬の基礎装置として発展した。
その用途は多岐にわたり、林業では伐採材の集材・積込、
土木では資材の吊り上げ、鉱山では鉱石や人員の昇降など、
「垂直・水平の移動を機械化する」ための原動機構として広く使われてきた。

林業における巻上機の始まりとして、1950年代の国有林では、
積込用機械として単胴巻上機に小型ディーゼル機関を取り付けたものが導入されていた。
当時の報告(『国有林十年の歩み』農林省林野庁、1957)によれば、
貨物自動車を改造したクレーン車や自走ジブクレーンなど、現場の条件に応じて多様な形式が存在したという。

この時期の巻上機は、木材を集め、積み上げる作業(椪積=はいずみ)に欠かせない装置であり、
林業現場では「素材椪積専用機」として整備が進められた。

椪積作業
巻上機による椪積作業

 同時期に使われた「キャブスタン」は、摩擦力を利用して鋼索を牽引する装置である。
地中に埋めた鉄製枠内に機械部分を収納し、地上には巻胴だけを設置。
エンドレス式(輪っか型)に鋼索を巻き付けて荷を引く構造で、
巻上機や集材機に付属する片持ちドラムもキャブスタンの一部とみなされた。

つまり、キャブスタンは巻上機の一種であり、
「回転による牽引力を利用する」という原理を共有する装置群である。

キャブスタン
船舶用キャブスタン

林業で培われた巻上技術は、やがて鉱山へと転用された。
鉱山では、立坑(シャフト)内で鉱石や人員を昇降させるため、
より大型・高出力の巻上機が必要とされた。
この立坑用巻上機は、単胴式(片胴式)が基本であり、
1つのドラムに2本の巻索を掛けて、ケージやスキップを交互に昇降させる構造をとる。

今回遭遇した巻上機は、こうした技術の流れの中で、
林業用の簡易ウインチから鉱山用の本格的巻上機へ移行する過渡期の装置と考えられる。
貨物自動車を改造した構造や、単胴式の簡易ドラム配置は、
1950年代国有林の現場技術をそのまま引き継いだ形跡を示している。

巻上機へ改造されたサニートラックそしてダットラ廃車体──
これは非常に珍しい事例で、炭鉱・林業・土木の現場でも「車両を巻上機に転用する」
というのはほぼ例がない。

鉱山としての施設なのか、林業としての施設なのかは断定に至っていないが、
軽量で山に持ち込みやすく、FRで構造が単純。
エンジンが丈夫(A12系/J13型)で部品が安価。
現場での“使い捨て”に向く。
つまり「現場で余っていた車を巻上機に転用した」可能性が高い。

山仕事や林業で昔よく使われた“車を固定式ウインチ化する方法”。
ピックアップトラックでも応用できるこの仕組みの、
現地に残る珍しい遺構を追ってみたい。

巻上機・PTO・ピックアップトラック・・・



輸炭橋
ダットラ620





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