在宅ケアネットワーク古河平成22年度第2回研修会     (平成22年10月5日古河赤十字病院にて)

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 「利用者の変化に気づく介護を目指して」〜同マニュアルの使い方〜 

  県西在宅クリニック看護師 畠山淳也氏

 県西在宅クリニック(岩本将人理事長)では、このたび利用者に変化があったときにどうしたらいいかをまとめた、利用者のための「気づきのマニュアル」を作成し、それを利用者宅に置いて、利用者の急変時などに活用してもらいたいとしています。今回の研修会では、そのマニュアルの作成の意義と内容の解説を、同クリニック看護師の畠山淳也氏に、お願いしました。さまざまな症状について「気づきのポイント」を挙げ、そこからどのような場合に緊急対応が必要なのか、あるいはそのまま様子を見てもいいのかなどが分かるようフローチャート式に作られています。利用者だけでなく、支援に携わる人たちにとっても役立つものです。
 まず、畠山氏は力説します。在宅での支援に当たる職種のうち、医療職は「いのち」を守り、介護職は「くらし」を守る。そして、それらはばらばらにあるのではなく、重なりあい、たがいに連携して利用者の「こころ」を支えることができ、そして初めて、その「人」を支えることができる、と。
 県西在宅クリニックとして在宅医療に携わって2年半が過ぎ、これだけは在宅療養者の支援に関わる人たちに知って欲しいことを、気づきのポイントという形でまとめることにしたとのことです。そして、利用者の訴えのポイントを整理し、それに対する対応法を示したとのこと。まとめるに当たって重点を置いたことは、
1)利用者に最も近いところで支援にあたるヘルパーや家族が、利用者の健康状態の異変にどう気づき、どう対応するか
2)ヘルパーの守備範囲を守り、同時に医療者からの指示をどのような状態の時にあおぐか
3)最低限の医療知識について、用語解説の形でまとめる
ということだったそうです。
 そして、利用者の変化に気づくためには、日常の単純で小さなできごとにもつねに注意を払うことが第一に重要で、第二に、利用者に喜んでもらうことを大切にすることだと、畠山氏は強調します。
 このマニュアルには、30項目の症状が選び出されています。それぞれについて、訴えを聞き出すための声かけのポイントを挙げ、つぎにその訴えから気づく、気づきのポイントをまとめてあります。それにつづいて、観察のポイントをあげ、緊急性の有無を判断できるようなフローチャートがつくられています。
 これは、もっと早く家族やヘルパーに気づいてもらっていれば助かったかもしれないという経験に基づいてつくられたということです。どんどん利用してもらいたいとのことで、コピーをして使うことはまったくかまわないということでした。
 みなさんにとって、利用しがいのあるすばらしいマニュアルができあがりました。活用させていただきましょう。