平成26年度総会(平成26年4月1日福祉の森会館)

トップページに戻る

1 平成25年度決算報告

(収入)                        (支出)
 会費   個人  12000円            印刷代   33600円(市民フォーラムポスター、チラシ)
       施設  50000円            消耗品代   5725円
       賛助  57000円            郵便料   12180円
 利子           72円            謝礼    130000円(市民フォーラム演者)
 繰越        273619円            繰越    211186円  

  計        392691円             計    392691円

2 今年度事業予定
(1)定例会
   6月3日 友愛記念病院
   8月5日 総和中央病院
  12月2日 古河赤十字病院
   2月3日 古河病院
(2)市民フォーラム
  10月か11月に「地域で支える認知症」のテーマで開催
(3)会報発行
  5月と11月に2回発行予定
(4)ホームページ
  http://www7b.biglobe.ne.jp/~zaitakukoga/

3 前年度検討ケース振り返り(今年度から総会時に行うことにしました)

第1回(4月福祉の森)

1) やっと落ち着いた90歳の慢性呼吸不全ケース〜沖縄行きを決めたその結果は?
                             福祉の森診療所  赤荻栄一


・体調が安定し、本人の希望通り宮古島の老人ホームに向かうことができ、酸素吸入を続けて飛行機に乗ったが、宮古島到着時に機内で心停止しているのを発見された。
・呼吸不全の患者が、旅行支援サービスを利用して、酸素吸入をしながら飛行機を利用することのできることが分かったが、本ケースのようなことが起こり得るので、パルスオキシメーターと予備のボンベを持たせることが必要である。
・移住の希望を叶えさせることはできなかったが、図らずも眠ったまま死にたいという希望を叶えることになった。

第2回(6月友愛記念病院)
1) @緩和ケアチームと在宅支援チームが協働して在宅生活を支援したケース
                         
友愛記念病院 渡邊希代光 宮崎享
  Aリンパ浮腫が増強し急速にADLが低下した子宮頚癌の女性(@と同一ケース)
                         たんぽぽ居宅介護支援事業所 幾世和子

                             県西在宅クリニック 岩本将人

54歳女性 子宮頸癌骨盤内リンパ節転移 主介護者:夫(夫との二人暮らし)
・リンパ節転移が見つかった時点で、放射線治療を勧められたが、手術後に放射線治療を受けた後遺症の腸管癒着によって腸閉そくを起こした経緯があり、それを主治医には治療不可能と言われたにもかかわらず、自分で情報を集め、なんとか治すことができた経験を持つ。そのため、今回も自分で情報を集め、納得のいく方法でやって行こうとする気持ちが強くなっていた。
・一方で、悪い知らせは聞きたくないと言うなど、自分でも落ち込むことへの防戦を張る側面があった。
・退院後は、リハビリを行えばよくなると信じていたものの、結果がついてこなかったため、不安が増強。いつまで在宅生活ができるのかと聞かれても、支援側は見守ることしかできない状態。これからの関わりをどうすればいいのか?
・このようなスピリチュアルな問題は、がんの患者同士の話の中で本人が解決策を見つけることにするのがベスト。月1回だが、第3土曜日にがん患者会を福祉の森診療所で開催しているので、ぜひそこに参加するよう話してみては?
(その後の経過)
 結局、不安感が強くなり、実際に自分で歩くことができなくなったため再入院し、そのまま亡くなった。

2)家族の思いに寄り添った退院調整
                             古河赤十字病院  大木奈緒

 77
歳男性 左脳梗塞 誤嚥性肺炎 主介護者:長女 家族:妻、長女とその夫、ダウン症の次女、姉との6人暮らし 家族の希望:できるだけ家で見てあげたい
・家族が在宅での療養を希望した重度マヒと嚥下障害の残る脳梗塞患者のケアについて、長女を中心にオムツ交換・経管栄養・吸引・口腔ケアを指導し、最初の不安を解消して退院につなぐことができた。
24時間のケアが必要となるため、タイムスケジュールを作成し、訪問看護師と調整することにより家族の負担が最小限になるようできた。

310年に亘る長い認知症介護を在宅で終えることのできた1ケース
                             福祉の森診療所  赤荻栄一 

 90歳の女性 主介護者:嫁(長男夫婦との3人暮らし)
・長い経過の認知症ケアでは家族が大きな負担を背負うが、このケースの場合、かなり身体的状態が悪化して初めて当院を受診した。したがって、すでに治療を行う段階は過ぎており、対症療法と在宅介護を行うことだけが必要な状態だった。
・寝たきりとなり、誤嚥性肺炎を発症したため入院となったが、そのまま最期を病院で迎えさせるのは忍びないと思った家族が在宅での看取りを希望。
・在宅に戻った本人も笑みを浮かべ、それを見た家族も在宅へ戻ったことを喜び、最初はとまどいもあったが、すぐに痰の吸引などの介護にも慣れて、そのまま希望通り家で看取ることができた。

第3回(8月総和中央病院)
1)母を在宅で介護する長男への退院支援
                           
古河赤十字病院 福田ゆみ子

 87歳女性 老年性認知症、腰椎多発圧迫骨折  主介護者:長男(56歳)
家族の希望:長男:介護の負担は増えても、少しでもいい方向へ進んで欲しい。
家族の状況:夫(86歳)が慢性硬膜下血腫で要介護状態。嫁(49歳)と孫3人を含め7人家族。
・要介護者が二人になり介護や経済的な負担が増えることで在宅での介護に不安が生じていたが、介護サービスを利用できるよう介護保険申請を早期に勧めたことや、排泄を始めとする自宅での介護の手順を指導したことにより、退院後の在宅介護の不安を軽減することができた。
・今後も、在宅介護サービスを利用して、在宅での療養生活が維持できるようニーズに対応し、調整していくことが課題と考える。今後とも、患者様やご家族の状況に応じた在宅支援に向けて取り組んで行きたい。
(その後の経過)
 約3か月長女の努力で在宅介護が続けられたが、長女の疲れが頂点に達した頃、夜にやるべき痰の吸引ができずに朝起きてみると、呼吸が止まっていた。一時、長女は落ち込んでいたが、すぐに元気を取り戻した。

2)誤嚥性肺炎を起こし病院で最期を迎えた多系統委縮症の1ケース(本ケースは平成23年度 定例会に既出)
                              福祉の森診療所 赤荻栄一

 67歳 女性 多系統萎縮症 主介護者:夫(夫との二人暮らし)
・平成208月から寝たきりとなり、夫が一人で介護に当たってきた。
・途中に、縟瘡形成、バルーンカテーテルトラブル、誤嚥などの問題が生じたが、なんとか切り抜けてきた。
・しかし、ほとんど嚥下ができない状態になり、四肢も拘縮。その時点から誤嚥性肺炎をくりかえした。
・結局、その誤嚥性肺炎が致命的となり、入院はしたものの心肺停止となり、人工呼吸器装着となった。
・人工呼吸器装着となったところで気管切開を勧められたが、すでに多系統委縮症の末期の状態であり、人工呼吸器を付けたまま生きることは、ただの延命にしかならないと考え、子どもたちが気管切開に反対。
・夫が最後までこだわったが、結局、延命措置は行ってもらわないことになり、気管切開を置かず、そのまま永眠した。
・本人は、いつも夫の介護に感謝していた。夫も、本人の表情からどういう気持ちでいるかを理解できていた。ところが、しだいに表情が乏しくなり、夫にも本人の気持ちの理解が難しくなっていた。したがって、夫にもそろそろ本当に最期かもしれないという気持ちもあったかもしれない。また、夫には食べられなくなったら最期という思いもあったようだ。ただ、それは胃瘻造設で乗り越えられた。最期の時、呼吸が止まって人工呼吸器をつけたが、その後、意識はまったく戻らず、夫が声かけをしても反応はまったくなくなった。その時点で、夫もあきらめたと思う。

第4回(12月古河赤十字病院)
1)終末期を自宅で過ごしたいと望む本人と介護困難を訴える家族への支援
                                             古河赤十字病院 荒井恵子

 84歳男性 大腸癌末期 主介護者:妻(他に長女〜身障3級、孫が別棟で暮らす)
・尿閉で再入院したが、腫瘍マーカーの上昇があったため家族は医師から厳しい内容の説明を受けており、急変時の対応などに不安が大きかった。
・最後に外泊し自宅で過ごすことができたが、患者の本心は早く自宅へ帰ることだったと思う。終末期を住み慣れた自宅で過ごしたいという患者の意志を尊重し、よりその人らしい最期を迎えられるよう配慮するにはどのような関わりがよかったのか課題が残る。

2)在宅での最期を希望しながらも病院での最期を選んだ胃癌の1ケース
                             福祉の森診療所 赤荻栄一
                      訪問看護ステーションたんぽぽ 市橋淳子

 
42歳女性 胃癌末期 癌性腹膜炎によるイレウス 主介護者:夫(二人暮らし)
・家族で過ごす時間を大切にしたいという夫の希望から訪問時間、訪問回数を検討し、皮下注射の手技を夫に指導した
・訪問開始直後より自宅での入浴を希望されていたが、入浴サービスをケアマネと相談し導入したことで気分的に爽快感がえられ明るい表情へと変化した。
・スタッフと徐々に色々な話をする中で本人の気持ちに変化がでてきた。「病気になってなんで生きているのか分からなかったが、今は夫や息子のために一日でも長く生きたい」
・夫をもっと自由に外出させたいと希望があり訪問時に外出して頂くように声掛けをし外出して頂いた。夫の外出中には色々ご主人についての話(相談)があり話を傾聴した
・退院直後よりM-Tの抜去を希望され一か月ぶりに排ガス、排便があったことからDrM-Tを抜去。このことで嘔吐はあったものの夜間ゆっくり眠れた、一日だけでも自由になれて嬉しいと笑顔で話された。この時本人より最後に石垣島に海を観に行きたいと希望がきかれ。旅行会社等から資料を集めご本人へ提案予定だった。
・ご主人も持病を抱えながらの介護で食事がなかなか食べられない状況であった。その後主人を見ながらMさんは自分に何かできることはないかと思っていた。
・亡くなる2日前、本人より自治医大の先生に相談したいことがあるとご主人へ話があり介護タクシーで受診。ご本人より入院希望がありそのまま入院となる。Mさんが入院を決めたのは夫に対して自分ができる最後の思いやりだったのではないかと思われた。

第5回(2月古河病院)
1)骨転移で発見され8年に亘る治療後に自宅で最期を迎えた前立腺がんケース
                              福祉の森診療所 赤荻栄一
                      訪問看護ステーションはなもも 中澤由君子

 82歳男性 前立腺癌末期 主介護者:妻(妻との二人暮らし)
・もう治療はいらない、と。
・嘔吐した後、飲水も困難になり、連日の点滴の指示。傾眠傾向となり経口摂取量が減少し妻の不安や疲労が感じられた。
・不眠の訴えあり、妻より訪問の依頼。訪問すると普段は温厚なのに、訪問看護師を見るなり、呼んだ妻を怒鳴る様子あり。本人の苦痛・ストレスが限界状態である事が感じられた。翌日より眠剤の服用開始となるが、その際に主治医より妻へ病状説明があり、直後は動揺していた。眠剤服用後はさらに傾眠傾向となったが、声掛けに穏やかな表情がみられるようになった。また、苦痛の訴えも聞かれなくなった。そして、そのまま妻が入眠している横で眠るように永眠。

2)認知症の父親の介護途中に肺癌で逝った若年の1ケース
                             福祉の森診療所 赤荻栄一
                      さわやか訪問看護ステーション 岡泉真弓

 57歳男性 肺癌肝転移脊椎転移 介護者:なし(認知症の父親と同居)
・若い肺癌患者であり、下半身マヒがありながら認知症の父親の介護に当たっていた
・自治医大の主治医から「がんは固まった」と言われていたため、このまま治る可能性があると思っていた。
・肝臓に転移が起こり、このままだと余命いくばくという私の話に再治療を希望したが、意識障害が出現したため、果たせなかった。
・隣町に住む弟が夜の介護を引き受けてくれ、日中はホームヘルパーが介護に当たってくれたため、最期まで在宅が可能だった。ケアマネジャーの役割が重要だった。

3)胃瘻造設後自宅退院を希望した家族への関わり
                            古河赤十字病院 七五三掛志穂


 
65歳男性 脳梗塞・脳出血(両側マヒ)、肺炎 主介護者:妻(次男が同居)
・誤嚥性肺炎をくりかえしたため、胃瘻造設。
・胃瘻造設後も栄養剤が逆流して誤嚥をくりかえすため、市販の粘度調整剤を使用。しかもカテーテルチップを使って、一気に投与することにした。
・それによって逆流がなくなり、同時に投与時間の短縮となり、妻にとって最もいい方法となった。

4)自宅介護に不安を持つ妻が自宅退院を決定できるまでの取り組み
                                古河赤十字病院 坂井眞奈

 76歳男性 くも膜下出血後てんかん 消化管出血 主介護者:妻(二人暮らし)
・けいれん発作で入院後、吐血して血圧低下。「今回は厳しい」と主治医から説明。
・それに伴い自立度も低下し、妻にとって介護は困難という気持ちが強くなった。

・本人が退院を強く希望したため、妻の介護負担を軽減する在宅サービスを取り入れ、妻の気持ちを変えることができた。