菊は比較的に病気にかかりにくい花卉とされます。
とはいっても人の作り上げた植物ですから 野菊など野生種に比べるとひ弱いため 病気にかかることがあるのはやむをえません。
主な病気について簡単に記します。
黒斑病
初めは葉に褐色の斑点が発生します。 やがて斑点がつながって次第に大きくなり大きな斑点に成長します。 梅雨
時分に発生しますが 梅雨が終わるといったん止まり 秋になると再発し下の葉から枯れ上がってきます。 病葉は切り取って
捨てます。
対処薬品 : ベンレート ダコニール(TPN) トップジン(チルファネートメチル) ダイセン ジマンダイセン など。
褐斑病
黒斑病と似ていますが色はやや薄く病斑はやや大きくなります。 発生時期および対処薬品は上記の黒斑病と同じとして
よいでしょう。
白さび病
主として葉の裏に発生します。 初めは淡黄色の小さな斑点ができ 次第に成長して数ミリの白ないし茶褐色のしわっぽい斑点になります。 病斑
が葉一面に広がると切って捨てるしかありません。
時期は黒斑病などと似ており 梅雨頃と秋頃にできやすい病気です。
対処薬品 : ベンレート サプロール(トクホリン) ダイセン マンネブダイセン ダイセンステンレス など
黒さび病 (褐さび病)
葉の裏のほかに茎にも発生します。 最初は黒褐色ないし青白い粒のような小斑点が発生し やがて大きく膨らんできます。 病気が
進行すると皮が破れて黄色ないし褐色の粉末が飛び散るように出てきて他の葉に伝染するので厄介な病気です。 時期は白さび病などと
同じで 梅雨期と秋です。
対処薬品 : ベンレート マンネブダイセン ダイセンステンレス
エムダイファー(マンネブ) など
灰色カビ病
主として花と蕾 時には葉に褐色の斑点ができ やがて文字どおり灰色のカビが生え微粉を散らすようになります。 梅雨どきなど多湿なときに風通しが悪いと
発病しやすいようです。
対処薬品 : ベンレート ダイセンステンレス マンネブダイセン エムダイファー(マンネブ)
うどんこ病
葉の表面にうどん粉のような白い糸状の菌が生え しだいに一面を覆うようになります。 梅雨の頃と 夏を過ぎた9月頃に発生しやすいようです。
対処薬品 : ベンレート モレスタン など
立枯病 立枯れ
やや性格は異なりますが 立枯れも病気と見なすべきかもしれません。 下葉から順々に枯れてゆき 全体が枯れてしまう場合があります。
原因としては次の場合です。
@土壌に病原菌がいる
A土壌の中に害虫がいる
B土壌が多湿すぎる
対策 :
土壌を消毒するか 完全な入れ替えが良いと思われます。
連作を避けるべきという意見があります。
消毒をする場合は 土壌燻蒸剤 を使用します。
薬剤は難しい名前が並んでいますが 園芸店ないしネット通販で購入できるのであまり難しく考える必要はありません。
菊に限らず 他の花や野菜類と共通するものです。
病名を見極めた上で 対処薬剤を買うようにしてください。
害虫にやられたものは病気にかかりやすくなるので 害虫予防駆除を兼ねた薬剤処理をお勧めします。
”オルトラン” という良いものがあり 初夏に軽く散布し葉から予防的に吸収させておくと良いでしょう。
≪菊の病気を避けるための最も根本的な方法≫
一度病気になったものは治まっても次の年にまた再発する可能性があります。
菊は年々に株を更新してゆくのが良い とされる理由はここにあります。 挿し木や種まき で更新してゆくと
子株は親株の病気は受け継ぎません。
つまり最も根本的には 年ごとに株を更新 してゆくことなのです。