『大蛇』

目の前に巨大な蛇がいる
場所は僕の住む家の近く
20年も前に造られた一戸建てが並ぶ団地
いつも目にしている場所に
突如、現れた大蛇
その大蛇は屋根よりも高く
舗装された道よりも太くて大きい
目は鋭く、口からはシュルっと舌が巻きつかせる
どこから現れたかはわからない大蛇
人間たちはなす術なく飲み込まれている
僕は友人たちといた
そして、不思議な魔法が使えた
目の前に女性がいる
親しく話しをしていたが見覚えはない
会ったこともないのだ
「心配いらないから」
僕は彼女にそう言い聞かせて手を翳す
「またあとでね」
僕が呪文を唱えると光に包まれて消えた
どこかに移動したのだ
「いいのか?」
という声が友人たちから漏れる
死ぬかもしれないと言っているのだ
僕は頷いた
それぐらいの覚悟はできている
僕は見上げた
戦う意志を大蛇にぶつけたのだ

僕は大蛇の後ろにいた
大蛇の出現によって異常発達した木の上にいた
視界には大蛇の体が見える
そして、呑み込まれた人々の姿も
半透明の皮膚を通して目に焼きつける
それが一番忘れられない記憶だ
何の罪もなく呑み込まれた人々
助ける術がなかった自分を悔いた
今は倒すことしか考えていなかった
友人たちが大蛇の視線を引き付けている間に
僕が魔法で倒す作戦だった
しかし…

僕は全ての目的を達することのないまま、
朝を迎えた…
いつもと変わらぬいつもの朝が目に入った…



夢を見続ける

夢から覚める


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