プロローグ

 ほこり臭い匂いが漂っている暗い闇に覆われた通路。前も後ろも見えない。1人の影が蝋燭(ろうそく)に揺られてゆっくりとゆっくりと進んでいく。

 コツコツコツ…。
一定間隔で音が暗闇で反響して響き渡る。しばらくして響いていた音が止まった。蝋燭のわずかな灯(あか)りが鉄の扉を浮かばせていた。蝋燭を持っている影がゆっくりとノブを回すと、ドアは鈍い音を響かせながら開いていく。
 ギィィィィィィィィーーーー…。
中から灯りが漏れてきた。影は眩しさで左手で目を覆う。
 バタン!!!
ドアはゆっくりと閉まって通路に漏れていた光は消えた。再び、通路は闇と化したのである…。

 コンクリートに囲まれた部屋、蝋燭に囲まれた部屋…。1つの影がゆっくりと椅子の上に座る。
「ふぅーーーー…。はじまる…、とうとう始まる…」
呟き声が響く。
「俺の夢を壊した連中にさらなる恐怖を与えてやることができる…、ふっふっふっ…」
不気味に口をゆがめる。包帯に巻かれた腕がぬぅっと伸びる…。目の前の蝋燭の中から1本取り出し、底から何かを取り出した。
 そして、それを持ってゆっくりと立ち上がると、揺れる影は向かいに見えるドアを開いた。こちらは鈍い音はしない。けれども、中は暗闇だった。影は蝋燭をもっていない。本当の暗闇になったのだ。
 影はゆっくりと中に入った。ドアは閉じられて光すら入らない。男はしばらく暗闇の中を歩いた後ゆっくりと座り込んで床に寝ころんだ。暗闇の天井を仰ぐ…。
「まもなく…来る…。我の生け贄が…。くっくっくっ…」
声は反響して響いていた…。

 …………

 PCを起動した。メールを読もうと思い、ゆっくりと腰を落ち着かせた。メールが受信される。しばらく、たばこを吸いながらビールを飲んでいる。しばらくして、メールの受信が完了した。
「どれどれ…、1件か…。少ないな…」
マウスで受信トレイをクリックする。画面が切り替わる。そして…。
「うっ!?」
目を見開いて凝視している。
「な、な、な、何なんだ!?。これは…」
声が掠れて出てこなかった。画面に写し出されたもの…、それは…


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