幕末の名残
戦国の世より続く流派がある
名を幾天神段流と言う
一子相伝とされるこの流派は、
開祖一条刀斎によって創始され、
一つは京都に、
もう一つは遠州へと受け継げられた
双方とも宗家を名乗り、
共に奥義をもって一流とした
これより出る三名は
遠州の流れを組む者であり、
幕末の京都において
その命を散らすことなく、
生きて明治を迎えている
いずれ迎えに来る魂と戦いながら…
☆ 目次 ☆
宗康の章
宗平の章
政尚の章
☆ 登場人物 ☆
金子玄十郎宗康
金子元忠の嫡子
尾張藩に仕え、父の死後、
尾張藩名古屋探索方棟梁という
忍びの棟梁となって、
幕末の京都に暗躍した
明治に至り、
主家を継いで爵位を得るが
早くに辞して故郷に戻る
後に、宗平に家督と流派を譲って隠居する
金子唐十郎宗平
金子宗康の嫡子
大政奉還の日に尾張で産まれた
早くから剣術を嗜み、
父を超える器量を持つ
父より家督を譲られたと同時に
政府高官として明治政府に仕える
しかし、賄賂が横行する政府に
嫌気が差して職を辞して隠居
父より奥義伝授と共に
幾天神段流奥義継承者として
剣客として目覚めることになる
小笠原隼人正政尚
美濃小笠原家の出身で、
遠くは信州の守護に通づる名門の出身
兄が家督を継いだことで
藩政には興味がなく、
専ら剣術に打ち込んだ
後、幾天神段流宗家として
尾張に来た松平伯耆守頼長に師事し、
宗康と兄弟弟子として親交を深めた
明治に至り、兄が知藩事になったため、
爵位を得るがすぐに返上し、
師範代として妻と共に金子家に居候する
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