リーマン予想
リーマン予想の概略について、説明します。1859年、ドイツの数学者リーマンは、以下の予想を立てました。
まず、ゼータ関数を次式で定義します。
ζ(s)=1+2-s+3-s+4-s+5-s+・・・・・=Σn=1〜∞ n-s
(式1)
次に、このゼータ関数を解析接続してから複素数全体(ただし、s≠1)に拡張します。
そして、リーマンは、この拡張されたゼータ関数:ζ(s)の自明ではない零点 s は、ことごとく、
実部が 1/2 の直線上に存在する、であろう、と予想したのです。
なお、ここで、ζ(s)の零点とは、ζ(s)=0 を満たす s のことです。また、ζ(s)の自明な零点は、全ての負の偶数(-2, -4, -6, -8, ・・・)に
なります。
また、リーマンが上記の予想を立てた背景には、素数の研究が関係しています。リーマンは、素数の分布が有する規則性を追求して行く過程で、
上記の予想を立てたのです。
ところで、このリーマン予想は、残念ながら、現在まで、数学的には証明されていません。
ちなみに、2004年時点で、虚部の
小さい方から10兆個までの範囲における複素零点の全てが、リーマン予想を満たしている(実部が 1/2 になっている)ことが、
計算によって確認されています。こう言った計算結果もあり、数学者の多くはリーマン予想は正しい、と推測しているようです。
なお、解析接続について、補足説明しておきます。例えば、ζ(s)の零点の1つ:s=-2 を(式1)に代入すると、∞になってしまいます。
すなわち、実際の計算では、(式1)を解析接続する必要があるのです。ここで、解析接続とは、簡単に言うと、数式を変形することを指します。
例えば、
F(r)=1+r+r2+r3+r4+・・・・・=Σn=0〜∞ rn
(式2)
と言う式は、-1<r<1 の範囲であれば、
F(r)=(1-r)-1 (式3)
と言う式で、計算できます。次に、(式3)の定義域を、複素数全体(ただし、r≠1)に拡張してみます。すると、例えば、r=2 を(式3)に代入すると、
計算できて、-1 になります。しかし、r=2 を(式2)に代入すると、∞になってしまいます。このように、式の変形後に定義域が拡張できる場合、
その式の変形のことを、解析接続と呼んでいるのです。すなわち、(式2)の解析接続が(式3)になっているのです。
そして、(式1)についても、同様の方法によって、解析接続ができます。(式1)は、定義域を複素数全体(ただし、s≠1)に拡張できるように、
変形できるのです。
参考書籍 : 『リーマン予想を解こう』 黒川信重 著 技術評論社 2014年
参考資料 : Wikipedia 『リーマン予想』