(x+y+z)7-x7-y7-z7 の因数分解
もし、(x+y+z)7-x7-y7-z7 を因数分解せよ、と言う問題が与えられたなら、
その解答はどうなるでしょうか?
その解答を考えましたので、以下に示します。
f (x,y,z)=(x+y+z)7-x7-y7-z7 ---@ とすると、
f (x,-x,z)=(x-x+z)7-x7+x7-z7=z77-z7=0
であるから、
因数定理より、f (x,y,z) は x+y を因数にもつ。
f (x,y,z) は x,y,z の対称式であるから、同様にして、y+z , z+x も f (x,y,z) の因数である。
よって、f (x,y,z)=(x+y)(y+z)(z+x)g (x,y,z) と表すことができ、g (x,y,z) は x,y,z に関する4次の対称式である。
また、x,y,z に関する4次の基本対称式は x4+y4+z4 ,
x3y+x3z+y3x+y3z+z3x+z3y ,
x2y2+y2z2+z2x2 ,
x2yz+y2xz+z2xy である。
ゆえに、g (x,y,z)=a(x4+y4+z4)
+b(x3y+x3z+y3x+y3z+z3x+z3y)
+c(x2y2+y2z2+z2x2)
+d(x2yz+y2xz+z2xy) (a,b,c,d:定数) ---B
と表すことができ、@、A、Bより、次式が得られる。
(x+y+z)7-x7-y7-z7
=(x+y)(y+z)(z+x){a(x4+y4+z4)
+b(x3y+x3z+y3x+y3z+z3x+z3y)
+c(x2y2+y2z2+z2x2)
+d(x2yz+y2xz+z2xy)} ---C
Cは、恒等式であるから、x,y,z に任意の値を代入しても成り立つ。
そこで、(x,y,z)=(1,1,0), (2,-1,0), (2,-1,-1), (1,1,1) をCに代入すると、下記のようになる。
(x,y,z)=(1,1,0) とすると、Cの左辺=27-1-1=126 , Cの右辺=2(2a+2b+c) より、
126=2(2a+2b+c) ∴ 2a+2b+c=63 ---D を得る。
(x,y,z)=(2,-1,0) とすると、Cの左辺=1-27+1=-126 , Cの右辺=-2(17a-10b+4c) より、
-126=-2(17a-10b+4c) ∴ 17a-10b+4c=63 ---E を得る。
(x,y,z)=(2,-1,-1) とすると、Cの左辺=0-27+1+1=-126 , Cの右辺=-2(18a-18b+9c) より、
-126=-2(18a-18b+9c) ∴ 2a-2b+c=7 ---F を得る。
(x,y,z)=(1,1,1) とすると、Cの左辺=37-1-1-1=2184 , Cの右辺=8(3a+6b+3c+3d) より、
2184=8(3a+6b+3c+3d) ∴ 3a+6b+3c+3d=273 ---G を得る。
D−F より 4b=56 → b=14 、これをD、Eへ代入すると、2a+28+c=63 → 2a+c=35 ---H 、
17a-140+4c=63 → 17a+4c=203 ---I となる。
I−H×4 より 9a=63 → a=7 、これと b=14 をFへ代入すると、14-28+c=7 → c=21 となる。
(a,b,c)=(7,14,21) をGへ代入すると、21+84+63+3d=273 → 3d=105 → d=35 となる。
よって、(a,b,c,d)=(7,14,21,35) であるから、Bより、
g (x,y,z)=7{x4+y4+z4
+2(x3y+x3z+y3x+y3z+z3x+z3y)
+3(x2y2+y2z2+z2x2)
+5(x2yz+y2xz+z2xy)} ---J となる。
なお、Jの{ }内の項数は、3+2*6+3*3+5*3=39=3*13 であるから、{ }が因数分解できるなら、項数 3の因数と項数 13の因数に
分解できて、
項数 3の因数は1次の基本対称式:x+y+z になるはずである。
ところが、@より、f (x,y,-x-y)=0-x7-y7+(x+y)7≠0 であるから、
x+y+z は因数にはなれない。また、x,y,z の対称式に含まれる項数は 3の倍数であることから、{ }は項数 13の因数には分解
できない。
これらの理由から、Cの{ }部分は、これ以上因数分解できない。
以上より、(x+y+z)7-x7-y7-z7 を因数分解した結果は、
7(x+y)(y+z)(z+x){x4+y4+z4
+2(x3y+x3z+y3x+y3z+z3x+z3y)
+3(x2y2+y2z2+z2x2)
+5(x2yz+y2xz+z2xy)}
である。