宇宙のインフレーション(指数関数的膨張)


 数億光年〜数10億光年の彼方にある銀河から地球に届く光の赤方偏移の発見により、この宇宙は膨張していることがわかりました。また宇宙背景輻射(3K輻射)の発見により、約138億年前に光子がはじめて解放されたこともわかりました。この光の解放は宇宙誕生から約30万年後で、その時点の宇宙の温度は約3000Kであったと推測されています。そして光が解放された約30万歳より以前の宇宙の姿は、現時点では観測できていません。

 ところで、宇宙は、その誕生直後の僅かな時間、指数関数的に膨張したであろうと考えられています。いわゆる宇宙のインフレーション(指数関数的膨張)です。この宇宙のインフレーション(指数関数的膨張)は、次のようにして導出できます。(注1)

 まず、一般相対性理論におけるアインシュタイン方程式からフリードマン方程式と呼ばれる時空の運動方程式 (式1) が得られます。

 ((da/dt)/a)2+k/a2−Λ/3=8πG/(3c2    (式1)

 ここで、a は時刻 t における宇宙の大きさ、k は曲率、 Λ は宇宙定数、G は重力定数、c は光速、ρ はエネルギー密度です。

 この式1は、宇宙が平坦(曲率 k がゼロ)でエネルギー密度 ρ が一定と仮定すると、次式のように簡単化されます。

 ((da/dt)/a)2=Λ/3+8πG/(3c2)ρ=B2     (式2)

 ここで、Λ/3+8πG/(3c2)ρ を B2( B は定数)と置きました。次に、この式2を変形すると、

 da/a=Bdt

となるので、両辺を積分すれば、次式が得られます。なお、次式において D は定数です。

 logea=Bt+logeD

 したがって、a を表す次の式が得られます。

 a=DeBt     (式3)

 式3は、宇宙の大きさ a が時間 t の指数関数となることを表しています。

 以上のように、宇宙のインフレーション(指数関数的膨張)は、一般相対性理論から比較的シンプルに導くことができます。



(注1) 参考資料 : Wikipedia 『宇宙のインフレーション』、『ド・ジッター宇宙』、『フリードマン方程式』

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