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すずきさんお返事有り難うございます。
卵巣癌は千者千様で、治療法もそれぞれと思います。
ので、一様にこの手のタイプはこうするといった結論は無いと思いますが、一例としてご参考になればと思い、母の状態をまとめてみました。(すずきさんの奥様の詳細な記録には足元にも及びませんが。)
本人:67歳、自営業(事務)
家族歴: 卵巣癌III期-5年生存中(妹)、胸腺腫-22年生存中(長男)、胃癌-逝去(父)
既往歴: 特記事項無し
主訴: 腹部緊満感
入院時: 身長147cm、体重56kg(平時48kg)、その他特記事項無し
現病歴:
平成17年11月 PET-CT検査: 画像所見、マーカー値異常なし。
平成18年11月 婦人科癌健診: マーカー値異常なし。
平成19年 6月 腹部緊満感を覚え始める。婦人科以外の癌検診をするも異常なし。
平成19年7月 中旬より腹水が出始め、産婦人科で検診する。CA125値が異常に高い(1680u/ml)ことが発覚。複数の病院に当たるが、入院待ち・検査待ちが1ケ月以上の状況、そのうちに腹水貯留で状態が悪化していたため、7月29日に救急で現在の病院に入院となった。
細胞診: 腹水=癌細胞陽性、胸水=癌細胞陽性
CT,MRI検査結果: 多量の腹水貯留、両肺の下3分の1に胸水貯留を確認。骨盤腔から上方に進展する最大径約20cmに達する大きな腫瘤が認められる。腹膜播種を示唆する所見あり。
胃、大腸検査:原発巣と考え得る所見無し。
呼吸機能: 血中酸素88(自覚症状無し)
状態(PS)が極度に悪化しているため、試験開腹、骨盤腹腔鏡による生検術を行うことができないが、上記検査所見から病期はIV期(原発不明)と診断される。
入院後経過
7月30日 PSを下げるために腹水を約3200ml吸引した。
8月6日より術前化学療法(MonthlyTJ)を開始。胸水の影響で8月7日に血中酸素が88になり、酸素管を入れるが9日に管は外れる。(根治術前に酸素濃度は97〜99に回復。)
TJ静脈投与で以下術前化学療法を実施した。
H19年 8月 6日, TJ療法1コース目施行。
H19年 8月27日, TJ療法2コース目施行。
H19年 9月18日, TJ療法3コース目施行。
H19年10月15日, TJ療法4コース目施行。
TJ療法の評価は血中腫瘍マーカーとCT・MRIでフォロー。CA125は1680U/ml(7月)→3100U/ml(8月)→830U/ml(9/13)→285U/ml(10/2)→156U/ml(10/15)→89U/ml(10/30)→57U/ml(11/19)。 TJ4コース後のCT・MRIでは、腹水の消失と胸水の消失、腫瘤の減少と腹膜播種所見の軽減を認めた。
H19年11月21日, 根治手術を実施。
両側卵巣全摘出術、腹式単純子宮全摘出術、両側付属器摘出術、大網全摘出術、虫垂摘出術、骨盤リンパ節生検術、傍大動脈リンパ節生検術を施行。原発巣と考えられる右卵巣の縮小は認めたものの、腹膜播種、横隔膜下の播種(注)は依然として数多く存在した。
残存播種巣は、腹腔内最大径7mm(可能な限り焼灼、数多い)、横隔膜下最大径10mm未満(焼灼不可で数が多い)、以上のことから根治術はOptimal(残存腫瘍径10mm未満)と言えるが、根治術終了段階の病期はIIIb期相当。
組織検査の結果、組織型は奨液性腺癌、分化度は低分化型であった。
根治手術後の化学療法
術前化学療法4回でTJが奏功する腫瘍はほぼ消失し、残存腫瘍はTJ耐性の癌が主力である可能性が高いため、セカンドラインとしてTJと違う系統の抗ガン剤(CAP=3種類混合)を使用する。
H19年12月 6日, CAP療法1コース目施行。
H20年 1月 4日, CAP療法2コース目施行。
H20年 1月28日, CAP療法3コース目施行。
CAP療法の評価は血中腫瘍マーカーとCT・PETでフォロー。CA125は47.8U/ml(12/4)→32.7U/ml(12/19)→22.7U/ml(1/4)→18.0U/ml(1/28)。
H20年 2月25日, マルチスライスCTにて、根治手術時に取り残った横隔膜下や原発巣を中心に撮影、画像上の寛解を得る。同日CAP療法4コース目施行。
今後weeklyTJにて寛解維持療法を行う予定。
以上です。
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