非常時持ち出し袋

今年も台風、豪雨等の自然災害が各地で起こりました。
災害で被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。

災害はいつ、どこで起こるかは予測できませんので非常時持ち出し袋を準備される方は多いと思います。

歯科医療人の視点から、準備される中にぜひ加えておいていただきたい物が2つあります。

1つ目は歯ブラシです。
日本で市販の非常時持ち出し袋にはまず入っていませんが、実は海外では歯ブラシが入っているのは当たり前の事です。
日本では市販の非常持ち出し袋はおろか、災害グッズチェックリストにも歯ブラシが入っている事が少なく、未だに日本は予防後進国であることを裏付けます。

どうしても災害時に歯磨きは二の次と考えてしまいがちですが、お口の中には300種以上の細菌が住んでいます。
歯磨きをしないとお口の中は不衛生になり、虫歯や歯周病のリスクが極めて高くなるほか、最悪は誤嚥性の肺炎を引き起こす危険性があります。
東日本大震災でも、特にお年寄りは口腔ケアが生死を分けた例もあるのです。

非常時は食べられるものは限られますし、保存食はとにかく命をつなぐためカロリーを高く作られていますので味が濃く砂糖を多く使ったものも多く、普段の食生活よりもお口の中は不衛生になります。
お口のねばつきによる不快感はもちろん、お痛みに繋がる可能性も無いとは言えません。
長期化すればするほど口腔ケアに意識を傾けていただくことで、食べる楽しみ、話す楽しみが失われずに過ごせるのではないでしょうか。
歯ブラシが無ければふき取るだけ、うがいをするだけでも違いますがやはりブラッシングをしていただく事が最良です。
口腔ケアの重要性を頭の片隅に置いていただき、万が一災害に合われたときに思い出していただければ幸いです。

2つ目です。これは全ての方には当てはまりません。
入れ歯です。
入れ歯に関しては松本市防災訓練で院長が講演させていただいた中でもお伝えしておりますので、ご存知の方もおられるでしょうか。
阪神淡路大震災の時は発生時刻が早朝だったため、入れ歯を入れずに避難された方が多くたいへん苦労された方が大勢おられました。
避難時は食べることが大切になりますので、できるだけお使いの物をお持ちいただくのが良いのですが、もちろん作り変える前の古い物でも有ると無いとでは随分違います。
もし古い入れ歯をお持ちでしたら多少合わなくても処分せず、非常時持ち出し袋に入れておいていただく事をお勧め致します。

2018年11月26日