エンジン改造編−1
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【コンセプトを決めましょう】

1:ホンダの横型エンジン(以下ENG)は各社から様々なキットパーツが売り出されており,やろうと思え

  ば(お金さえかければ)とんでもないものができます.が,そもそもこのENGは商用車として設計開発

  されており,カリカリチューンには向いていません.以下に理由を述べます.


 ・横型ENGであること:馬力とは大雑把に言うと,トルク×回転数です.トルクはボアアップでなんとか

  なりますが回転数はバランス率を上げないと回りません(その他のファクターも当然ありますが).

  で,バランス率を上げると振動のベクトルが上下方向に振られますのでハンドルバーやステップに不快

  な振動が伝わり快適性が損なわれるだけに留まらず,エンジンハンガー部に設計値以上の応力がかかる

  可能性がありますので同箇所のクラック・破損の心配がでてきます.


 ・油圧テンショナーのカムチェーン駆動であること:言うまでもなくカムチェーン駆動ではバルブタイミ

  ングは安定しません.ましてや油圧式のテンショナーでは全然安心できません.


 ・OHC2バルブであること:半球面の燃焼室にしやすいのは評価できますが,ワンカムOHCではロッカ

  ーアームが必要になり高回転型にはしにくい.また2バルブのため吸気・排気効率とも上げにくい.


 ・吸気/排気ポートの形状が悪い(特に吸気):設計上仕方ないが両ポートとも大きく曲がっている.

  またキャブへ繋ぐインレットパイプ(多くの人が間違って「インマニ」と呼んでるもの.マニホールド

  とは,辞書によると「多岐に分離させたり集合させたりする装置」であり1対1は違う)も長く,曲がっ

  ていますので吸気効率を上げにくい(初期のカブはヘッドに直接インシュレータを挟んだダウンドラフト

  キャブだった.この形でφ20くらいのキャブがあればいいのに・・・)


 ・そういう訳で以上の点を全て改造すると,カムギヤトレーン駆動のDOHC4バルブでクランクのバラン

  ス率も上げ,ケースの剛性も上げる ・・・ もう別物じゃん!?  となってしまいますww


2:それでは私の改造コンセプトを披露しましょうか

 ・50ccでは車の流れに乗りにくいので,まずそれをクリアする     ボアアップ


 ・ベースENGは手に入りやすく,そんなに飛ばしたくならない遠心クラッチの3速か4速で,ボアアップ

  も耐久性を考えて88ccまでとする(それ以上は売ったあとも色々とコストがかかるので)


 ・クランクシャフトも50ccのものはクランクピン径が小さくコンロッドも細いため,ボアアップENG

  には耐久性が心配なので,できれば70用のものと交換する(ピン径がφ20φ23,太コンロッド)


 ・追い越しは余裕を持ちたいので,そこそこ上は回るようにする(常用は禁止)   なのでバランス率は

  50%を目標に効率よく削る.つまりジャーナル軸中心より下は削らず,クランクピン周辺のみで圧入

  代を減らさないよう注意する.クランクマスは出来るだけ減らさない(閑話休題参照


 ・各パーツのスペックは記録し,必要箇所は測定し基準値に入るようにする(エンジン諸元表参照


 ・とにかく私の組んだENGでかっ飛んで怪我をしてもらいたくない.遠心クラッチでトルク感があり,上

  もそこそこ回れば割と快適なENGになるのではないか? というのが私が目標とするコンセプトであり

  ポリシーです.

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