【クランクマスの話】
・これもNV0BだったかCだったか朧げですが,最初のシェイクダウンテストで鈴鹿に行った時,ウオーム
アップのため初めてENGを掛けた(普段ならマシンが完成した時にはメカ自らシャーシダイナモに持ち
込んでロードロード(*1)で確認するがこの日は忙しくて完成車検査はテスト屋に任せていた)ので
すが,びっくりするほどレスポンスがいい!!どんなに急開してもついてくる.感動して同行したENG
設計者(N野氏)に「なんでこんなレスポンスええの?なにしたん?」と尋ねると,「クランクマスを
40% 落とした(だったかな? 不確かです)」とドヤ顏での返答.
早速テストライダーとして来ていた阿部ちゃん(故阿部孝夫氏,とってもいいひとでした)に乗っても
らうと1〜2周で帰ってくるなり「なんやこれ!こんなもん乗れるか!」と怒って降りてしまいました
彼曰く,コーナーで回転がギクシャクして開けられない,クランクマスは下げすぎるとこうなる.隅谷
守男(*2)もこれで失敗したんだぞ.とのこと
その日はそれでテスト終了してしまいました(鈴鹿を午前/午後貸し切ると結構高いんですがww)
*1: 強制的に後輪を回すのではなく,ローラーに実走行相当の負荷(走行抵抗分)をかけてミッショ
ンの具合やら各部の異常などを,実際にテストライダーがシャーシで乗って確認するための方法
*2:往年の名ライダー.私がSS(鈴鹿製作所)にいた頃,彼が出るレースをよく見に行きました.
「鈴鹿の主」と呼ばれ,特にS字の走りは圧巻でした.1975年,ルマンにて没,享年31歳
・カブのクランクも結構マスを減らしている人がいるようですが,限度があるのでご注意を!