9.(7)星の王子さまは実在するか:実在とは何か2


8:05 PM Jun 1st mobile webから

我々の生活の基盤は科学技術に支えられた高度に組織化された社会制度に立脚しています。いまさら社会との関係を完全に絶って自給自足することは不可能です。この高度につじつまのあった世界に適合することが我々の生存の条件になっています。

8:21 PM Jun 1st mobile web

私たちは必要に迫られて、この科学技術文明にリアリティを感じているのです。本当に、分子や原子、電子やクォークにリアリティを感じているのでしょうか。よく分かりません。でも科学技術を否定したら生きていけません。分子その他は、私たちにとって、生存の必要に支えられて実在します。

8:24 PM Jun 1st mobile web

今、科学技術文明から切り離されて、身一つで、砂漠の真ん中に放り出されたら....

8:31 PM Jun 1st mobile web

そこでの生存のためには、科学技術文明は無力です。実在は生存の必要を求めてさまよいます。

8:39 PM Jun 1st mobile web

サンテグジュペリは、遭難したリビア砂漠で様々な現実に直面します。助けてくれるはずの人影が大きな岩に変わり、寝ころんだ人が木の幹に変わった後、大理石に変わる。助けに来たアラビア人は突然いなくなり、遠くを行くキャラバンと丘の上の教会は砂に消えます。

9:44 PM Jun 1st mobile web

彼が狂っている訳ではありません。最後、本当に助けてくれたアラビア人と、消えたアラビア人にリアリティの点で区別はありませんでした。唯一の違いは、最後のアラビア人は一緒に遭難した友人にも見えていたということだけです。

9:45 PM Jun 1st mobile web

彼が狂っているのではなく、実在の方が、現実の方が、必要を求めてブレているだけです。

10:26 PM Jun 1st mobile web

さて、科学技術文明に支えられた日常世界の基盤がなくなったとき、必要なものとして何が現れ、実在となるのでしょう。もちろん救出してくれる人は、その一つですが、それ以外では。

10:34 PM Jun 1st mobile web

井戸と。

10:45 PM Jun 1st mobile web

過去の自分です。

11:16 PM Jun 1st mobile web

私たちの日常世界の意味では真実の存在ではありませんが、砂漠の真ん中では、どちらも、現実です。今、私の目の前にあるビールのジョッキの実在性となんら変わることのない実在です。

11:42 PM Jun 1st mobile web

サンテグジュペリは文明に戻り、私たちとの共通の基盤でものごとを語ります。『人間の土地』を読む限り、私たちの実在は揺らぎません。ところが、彼は『星の王子さま』を書くことで、物語という乗り物に私たちを乗せ、砂漠の真ん中へ連れて行きます。

12:10 AM Jun 2nd mobile web

そのとき、私たちの生活世界は科学技術文明ではなく、砂漠の遭難者のそれになります。その場にいる私には、井戸も、星の王子さまも実在します。サンテグジュペリは物語を書くことによって、『星の王子さま』の実在を、みんなが認識できるという意味で客観的なものにしました。

12:27 AM Jun 2nd mobile web

そして、おそらく永遠のものにしたんだと思います。

1:13 AM Jun 2nd mobile web

私は平凡な人生を歩んでいます。天地をひっくり返すような大事件は起こりません。そして平凡な日常がとても大切だということを知っています。そんな私にとって、目の前のビールジョッキは、大切な日常の現実を構成するものです。

1:27 AM Jun 2nd mobile web

私は、目の前のジョッキの存在を相対化します。でも、それは、相対化という言葉が持つイメージである、Aは、不確かなBと同じように不確かだという意味ではなく、Aは、確かなBとおなじ資格をもった確かなものだという意味での相対化です。

1:41 AM Jun 2nd mobile web

目の前のビールジョッキは、『星の王子さま』が実在するのと同じように、確かに実在します。私の生活世界は面白味に欠けるもの、相対的なもの、かもしれませんが、大切なものです。(支配されているのかもしれませんが、私が選んだという実感を伴ったものでもあります。)

1:46 AM Jun 2nd mobile web

以上が、『星の王子さま』の読書感想文と、王子さまの存在証明の解説です。

1:48 AM Jun 2nd mobile web

あっ!忘れてた。実在は、必要の基盤の上に、ある種の刺激がなければ成立しません。全くゼロから脳が行った想像では、リアリティは限定的です。星の王子さまが現れたときに何かがあったはずです。隕石が落ちたのか、本当に星から来た人に会ったかは分かりませんが。

1:53 AM Jun 2nd mobile web

我々の日常的な意味から言っても、王子さまが実在した可能性は十分あると思います。私の夕空を笑顔で満たしてくれた人がいるはずですもんね。

2:00 AM Jun 2nd mobile webから

          おしまい。         興味のない方、本当にごめんなさい。字が壁のようですね。




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アップロード日 2010.11.13